【10/2公開!】最強バディ結成! 初共演のふたりは、お互いの内面に何を見たのか――特集『BURN THE WITCH』①:田野アサミ×山田唯菜インタビュー

アニメ

公開日:2020/10/2

BURN THE WITCH
『BURN THE WITCH』10月2日より、全国35館にて2週間限定イベント上映、「Amazon Prime Video」「ひかりTV」にて同日独占配信開始 (C)久保帯人/集英社・「BURN THE WITCH」製作委員会

 最高にワクワクする、新たなコミック&アニメが誕生! ダ・ヴィンチニュースは、5人のメインキャストへのインタビューを含む特集で、『BURN THE WITCH』をガッチリ追いかけたい。全世界での累計発行部数が1億2,000万部を記録したマンガ『BLEACH』。その傑作を生みだした久保帯人が満を持して世に放つ新作が、魔女とドラゴンの物語『BURN THE WITCH』だ。本作は、週刊少年ジャンプで2020年に全4話でシリーズ連載され、10月からは劇場版中編アニメとして全国の映画館でイベント上映されるという、ビッグプロジェクトでもある。

 メインキャストインタビューの第1弾は、本作の主人公=ニニー・スパンコール&新橋のえるを演じる、田野アサミ・山田唯菜のふたりが登場。対照的なパーソナリティながら、互いに信頼し合う最強のバディ=ニニー&のえるの劇中のコンビネーションは、どのように生まれたのか? 出会いのエピソードから、『BURN THE WITCH』に懸ける熱い想いなど、幅広く語り合ってもらった。

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アサミさんは現場でもムードメーカーみたいな感じで、ほんとに引っ張っていってくれた(山田)

――『BURN THE WITCH』は『BLEACH』の久保帯人さんの新作で、連載開始から話題にもなってましたけど、おふたりは久保さんの作品にどんな印象を持っていましたか。

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田野:久保先生の描く女性は、すごく魅力的で。わたしはニニーを初めて見たときに、「こういう女の子に振り回されたかったんだ」って、夢が叶った気がしました。わたし自身がけっこう自由奔放というか、子どもの頃からヤンチャ気質があるんですけど、それ以上にニニーは突っ走るし、勝ち気で、でもすごくクレバーな女の子で、今まで出会ってきた中で断トツでした。だから第一印象は、「久保先生の描く女性って、なんて魅力的なんだろう」です。あと、『BLEACH』も『BURN THE WITCH』には呪文だったり、「久保帯人辞典」に載っているような、素敵な言葉がたくさんあるので、それがこれからも増えていったらいいなあ、と期待しています。

山田:『BURN THE WITCH』は、久保先生のお洒落な世界観がすごく詰まってると感じますし、いろいろなこだわりがちりばめられてます。『BLEACH』でいうと、卯ノ花隊長の胸の傷が見えないようにずっと描かれていた、みたいなところとか。「そういうことだったのか」といい意味で裏切られて、もう一度読み返してみると、また違う楽しみ方ができます。そういう緻密な設定の中で流れていくストーリーが面白いし、戦闘シーンもギャグもあって、もう「ザ・ジャンプ作品」だなって思います。

――今のお話を聞くと、おふたりは『BURN THE WITCH』の話がくる前から、久保さんの作品に親しんでいた感じですね。

山田:はい。だから、嬉しい気持ちもありつつ、緊張もありましたね。でも絶対に成功させたい、という気持ちは強かったですし、のえるを魅力的に演じたいなと思いました。

田野:久保先生は、オーディションにも関わってくださっていたんですよ。それは、オーディションが終わったあとで教えていただいたんですけど、絶対にニニーをやりたいとは思いつつ、もしニニーになれなくても、少しでも先生に自分のお芝居を見てもらえたことが嬉しかったです。先生自身がオーディションに来てたと知って、「本気なんだ」って思ったからこそ、「選ばれました」ってなったときには、もうガッツポーズでした。先生は、アフレコもわたしたちより先に入って、最後までいてくださったんですよね。すごくフランクな方ですけど、きちんとしていて、愛があって。なんかもう――あってほしい像すぎました(笑)。

山田:(笑)そう。わたしがアフレコでちょっと悩んでいたときに、先生が「のえるはこういう子だよ」って教えてくださって、それがすごく助けになったこともありました。

田野:アフレコの最後にお話したんですけど、「最初から僕は見てるし、もう絶対だと思って決めているので、自信を持ってください。キャラクター任せました」って言ってくださったんです。人の心を鷲掴みにする才能の塊だなって思いました。

――おふたりにとってこの作品で一番大事だったことって、「一緒に組む相手は誰?」だったんじゃないかと思うんですけど、お互いがニニー役・のえる役と知って、どんな印象がありましたか。

田野:わたしたち、しょっぱなから面白エピソードがあって――ちょっと語って(笑)。

山田:(笑)オーディションのとき、偶然わたしが受けたあとにアサミさんが受けてらして。そのときに、絵コンテを参考に見させてもらって、わたしが先に読んでたので、アサミさんに「こういうのがあるので、どうぞ」って会話をしてたんです。で、オーディションを終えて、PV撮影がはじめましてだったんですけど、わたしの中では「すごくきれいな方がいるなあ」って印象的に残ってたので、「オーディションで会いましたよね」って言ったら、「あっ、うん」みたいな、ちょっとよくわからない感じだったんです(笑)。「髪の毛、ストレートだったよね?」って言われて、オーディションのときは髪の毛を巻いてたんです。「赤い服着てたよね?」って言われたけど、赤い服は着てなくて(笑)。

田野:(笑)。

山田:そこで、砕けた感じはありました。

田野:そう。でも、彼女は全部受け入れてくれて、ほんとにのえるみたいなんです。わたしはいろんな方向に行きがちだけど、それを微笑ましく見守ってくれる感じがあります。全部を包んでくれる空気感があるし、「癒し」という言葉がすごく似合いますね。

山田:アサミさんは現場でもムードメーカーみたいな感じで、ほんとに引っ張っていってくれるんですけど、かわいらしい一面もあるんです。

――収録に入る前から、思い入れある大事な作品になる予感はあったと思うんですけど、どんな準備をして臨んだんでしょうか。

山田:わたしは、2018年に出ている読み切りでアフレコをしてました(笑)。それでイメージを膨らませる、というか。

田野:こうやって『BURN THE WITCH』ができたのは、『BLEACH』があって、久保帯人先生が新しい作品を描いてくださったからこそ、ここにわたしたちがいるんですよね。『BLEACH』のファンの皆さんだったり、久保帯人先生が描く作品を愛してくださってる方にガッカリされないように、自分たちができることは全力でやらなきゃいけないなって思ってました、それはいい意味でプレッシャーでしたし、絶対に裏切らないぞっていう熱い気持ちで臨みました。

――いま田野さんが話してくれたように、『BURN THE WITCH』は大きな作品だし、緊張感を持って現場に入ったと思うんですけど、実際にふたりはセリフの量も多いですし、フィジカル的にも大変なところはあったのかな、と。ひと通り収録を終えたとき、どんなことを思いましたか。

田野:「終わりたくな~い!」って思いました。「えっ、もうちょっとニニーとしていたいんですけど」って思う気持ちはやっぱりありましたね。アフレコが終わると、普通はみんなスッと帰るんですけど、わりとみんなゆっくり帰りの支度をしてましたもんね(笑)。それを見て、「みんな同じ気持ちなんだなあ」って感じました。

山田:わたしもアサミさんと一緒で、「もっとのえるをやっていたかったな」って思いました。終わってみるとすごく楽しかったし、制作の方々の、ひとつひとつのセリフに対するこだわりがすごくて、納得がいくまでリテイクをしてくださったので、そういうところからも愛を感じました、本当にいい現場に出会えたなって思います。

田野:監督(川野達朗)が、映像が完成したときに「あのとき言おうと思ったけど」って後悔するのがイヤなんです、とおっしゃってたんです、だから、もしかしたらしつこいと思われるかもしれないけど、100%納得いくものができるまでやらせてください、ということで、みんなでキャッチボールをさせていただいて。作品に関わる誰もが「ま、いっか」なんて思っていない現場でした。

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きっと世の男性の理想は、のえるみたいな子なんだろうなって感じる(笑)(田野)

――この作品は、とにかくキャラクターが魅力的だと思うんですけども。

田野:いやあ、ほんとにそうですね。絶対に皆さんにもハマるキャラクターがいると思うので、そういう意味でも観ていただきたいです。

――中でもニニーとのえるは、この作品における最高のキャラクターだと思うわけですが、演じるうちに気づいた彼女たちの好きなポイントを聞かせてもらえますか。

田野:ニニーは、パッと見からもわかるように、すごく快活だし、まっすぐで強い女の子なんですけど、実はすごく冷静な部分もあって。きっと頭の回転が速くて、クレバーな女の子なんだなって、演じていくうちにわかってきました。ニニーは、のえるに言われたことは、わりとしっかり守ってるんですよ。「作戦会議しましょ」って言われたときに「なんで?」じゃなくて「わかった」ってすぐ言ったり。絶対的な信頼があるから、肝心なところでは反発せずに尊敬して、のえるが言うことに賛同できる。尊敬する人には賛同できるし、ついていく。人の意見にもちゃんと耳を傾けられる、突っ走るだけの子じゃないんだなって、演じていて感じましたね。

――ニニーの根っこにあるのえるへの信頼って、何が背景にあると思いますか。

田野:自分にないものを持ってるから、だと思います。自分にないものを持っているのえるの意見を聞いて、ひとりではできないことも、その意見を聞くことによって大きな力になるし、支え合えるし。ニニーは頭がいいし、小悪魔チックなところもありつつ、同時に相手をきちんと尊敬する気持ちを持っている子なんだろうな、と思います。

山田:のえるは、すごく冷静で理路整然と物事をとらえているんですけど、オスシちゃんに向ける視線がとても優しかったり、ニニーとの信頼関係が垣間見えるところだったり、バルゴのことをなんだかんだ助けるところに人間味が見えてきて、冷静な部分とそういう部分の両方が、彼女の魅力的なところだと思います。あと、ジト目なのがいいです(笑)。あの目が好きです。

田野:山田さんがのえるを演じている姿を見ているときも思ったし、完成した映像を観たときにも思ったんですけど。きっと世の男性の理想は、のえるみたいな子なんだろうなって感じるんですよ(笑)。女性の最終形態、じゃないですけど、たどり着く最終的な場所はここだよねっていう、究極のヒロインなんですよね。ヒロインでありウィッチであり、ニニーからしたら戦友だけど、ふとした仕草とか、同じ女性でもドキッとさせられる久保先生の絵を見ていても、それを感じます。

山田:ニニーは明朗快活で、ズカズカものを言ったりするんですけど、すごく頭がいい子なんですよ。「おとぎ話なんかクソでしょ」という独白があって、そこがすごくカッコよくて。そのニニーがいてこその、のえるなのかなって思います。

――では、この作品で初めてバディのキャラクターとして共演してみて、お互いに「ここが素敵だな」と感じたのは、どういう部分ですか。

田野:とにかく癒しの効果がすごいです。アフレコ中もそうですけど、わたしがポロッと言ったことも全部拾ってくれて、ちゃんと会話にしてくれたり。根本がすごく優しい人で、その優しさがのえるにも乗っていると思います。わたしは持っていないものを持っているし、実は振り幅があって弾けるところはバーンと弾けて、一緒に合わせてくれる部分もあるから、尊敬してます……これ、告白タイム?(笑)。

山田:(笑)。

田野:なんか恥ずかしいんですけど! わたしのことは言わなくていいよ(笑)。

山田:(笑)本当に、わたしにないものを持っていて、太陽みたいな人だなって思います。現場にいるだけでまわりのムードを作ってくれるし、引っ張っていってくれて――ね? ありがとう(笑)。

田野:いやいやいや! もう、そっち見れないわ(笑)。

山田:(笑)第一声を聞いた瞬間に、「ニニーにぴったりだな」って思いました。

田野:今、ふと思ったんですけど、今回は映画じゃないですか。だから、1クールのアニメみたいに毎週会ったり、長く一緒にいたわけじゃないんですよね。言ってしまえば、2,3日で集中的にグッと顔を合わせて、一緒にお芝居した関係性なんだけど、それが2,3日に感じないくらい、長く一緒にいた感じがします。気持ちを通わせることができたと思うし。こういうのって期間の長さじゃないんだなって思いました。ずっと一緒にいるわけじゃなくても、グッとわかり合える関係性の人っているんだなって。

――なるほど。そして結果、山田さんのほうを見られなくなった(笑)。

田野:はい(笑)。

山田:恥ずかしくなっちゃう(笑)。

――そして『BURN THE WITCH』には、他にも楽しいキャラクターが多数登場するわけですけど、おふたりが印象的に残っている共演者の方のお芝居は?

田野:そうですね、やっぱりチーフ(平田広明)はすごいなあ、と思いました。

山田:うんうん、思った。ピッタリしました。飄々としてるけど、決めるとこは決めるっていう。

田野:確かに。平田さんはまんまチーフで、アフレコのときも「じゃあ平田さん、ここね」「はいは~い」みたいな感じで(笑)、もうそのものだなって思いました。ニニーとチーフが掛け合うシーンが多いんですけど、そのときには引っ張っていってくださるし、こっちもテンポが上がっていっていい風が吹く感じがしました。たぶん、チーフが平田さんじゃなかったら、また違うニニーになっていたと思います。

――チーフとニニーの会話って、緩急が素晴らしいですよね。とにかくチーフが緩める役割で。

田野:そうなんですよ。「そ~うお」とか言われたりして(笑)。そこはすごく楽しかったですね。

山田:チーフもそうですし、メイシー役の早見沙織さんは、さすがの演技力だなあって思いました。叫ぶシーンを後ろで聞いていて、ひとりで「うお~」ってなってました(笑)。

――(笑)川野監督も話してたけど、メイシーがなかなかヤバい人で。

田野:ヤバいですよ。どこのボタンを押したら怒っちゃうのかが、わからないから。ニニーさえも振り回されちゃって、「ヤバい、わたしが冷静にならなきゃ」ってなるくらい、メイシーは振り幅が広い人ですね。でも、きっと人は、一度はメイシーみたいな感情になったことがあるんじゃないかなって思います。人から見えている自分と、「ほんとはこうなんだけどな」っていう自分。わたしにもそういう感情はあるから、メイシーの言うこともわかるんです。だから、メイシーと会話するシーンでは、わたしも感情移入したし、力が入りすぎて、ちょっと震えてました。

――山田さん的には、このシーンを演じられて楽しかったな、というシーンはありますか。

山田:好きなシーンは、「ダセえメッシュですね」って言うところです。

田野:いいよねえ~。

山田:あと、ニニーとのえるのふたりで呪文を合わせるところが、すごく印象に残ってますね。ふたりで言うときに「合わせよう」とか言ったわけでもなく、お互いの呼吸を聞きながら言った感じでした。

田野:うん。わたしが「ふっ」と息を吸ったら、のえるは合わせてくれるだろうなって思っていたら、ぴったり合いました。そのときにも、お互いがお互いを感じ取れたら、長さは関係ないんだなって感じましたね。

――『BURN THE WITCH』は日本国内だけでなく海外でも広く楽しまれるはずで、おそらくおふたりにとってニニーとのえるは長く向き合っていくキャラクターになると思うんですけど、この作品に関わった経験は自分の中にどういう存在として残っていくと考えていますか。

田野:やっぱり、日本だけじゃなく世界に発信できるありがたいチャンスをつかませていただいたことが、わたしの中で人生の分岐点になると思います。世界中にいる久保帯人先生のファンの方に、『BURN THE WITCH』を通して、田野アサミを知ってもらえること自体が奇跡みたいなことで。だからこそ、わたしがみんなをガッカリさせたくないなっていう気持ちは、さらに強まってます。あと、欲を言えば、わたしたちもロンドンに行って聖地巡礼もしたいですね。『BURN THE WITCH』を通して、田野アサミの夢を広げてくれてもらえたなって思います。

山田:『BLEACH』とのコラボで生配信をさせていただいたときに、世界中の方から作品が愛されてるんだなって、改めて感じました。久保先生の作品というだけで素晴らしいですけど、その魅力をもっと足していけるように、わたしも頑張っていかないといけないなって思います。

田野:これから、検索したら「BURN THE WITCH 山田」とか「BURN THE WITCH 田野」って出てくるんだよ? もう、そんなことある?っていう。しかも、世界中でそうなるわけじゃないですか。この……嬉しさとプレッシャー(笑)。そこはもう、寄り添っていく覚悟を決めてます。

――では最後に、最高のバディ役としてめぐりあったお互いにメッセージをお願いします。

田野:これからも、たぶんとてつもなく突っ走ることもあると思うんですが、間違ってるときは指示をしていただいて、どうか共に支え合ってもらって――わたしはこの作品の中で、ニニーとして空を飛べたことがすごく嬉しくて、夢がかなったんですけど、『BURN THE WITCH』はそうやってひとつひとつ夢を叶えてくれるすごい場所なので、ここで止まらず、ふたりでいろんな世界を見て、いろんな夢を叶えていきましょう!

山田:はい! 『ジャンプ』で女性の主人公というだけですごく特別だし、しかもアサミさんとこうやってバディを組めたことがほんとに――。

田野:バディって、めっちゃいいね。

山田:はい。それがほんとに嬉しいし、心強いなって思うので、これからも末長くよろしくお願いします。

田野:お願いします――なんなの、このお見合いみたいな感じ(笑)。

山田:(笑)。

田野:でも、あまりこういうことってないから、嬉しいです。

取材・文=清水大輔

作品HPはこちら


●田野アサミ(たの・あさみ)
女優、声優。アミューズ所属。2011年、声優としての活動をスタート。代表作に、TVアニメ『スマイルプリキュア!』(日野あかね/キュアサニー役)、『ラブライブ!サンシャイン!!』(鹿角聖良役)、『ゾンビランドサガ』(二階堂サキ役)など。

●山田唯菜(やまだ・ゆいな)
アクセント所属。2016年、声優デビュー。代表作に、TVアニメ『アイドルタイムプリパラ』(幸多みちる役)、『アニマエール!』(有馬ひづめ役)など。

BURN THE WITCH

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