長谷川玲奈「コンプレックスだった“声”を褒められたのが一番うれしかった」声優図鑑

アニメ

公開日:2020/10/12

長谷川玲奈

 キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチニュースの恒例企画『声優図鑑』。第252回目に登場するのは、中学3年生からアイドルとして活動し、約3年の活動を経て、2019年6月から声優として本格的に始動した長谷川玲奈さん。『IDOL 舞SHOW』掛川こころ役、『電音部』犬吠埼紫杏役など、幅広く活動しています。

「声優さんは一番なりたかったお仕事」と語る長谷川さん。小さな頃から好きだったアニメ系のアイドルユニットやラジオ番組、声優になってから発見したことなど、目を輝かせながら語ってくれました!

——声優を志すことは、いつ頃から決意を固めていたんですか?

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長谷川:中学3年からアイドルに入って、高校に入ったタイミングで声優になりたいと思い始めました。それこそ、アイドルの活動中に、3位以内に入るとアニメのキャラクターを演じられるイベントがあって、ファンの方と力を合わせて1位になったんです!

——声のお芝居はほぼ経験がなかったけれど、トレーニングを受けながら経験を積んでいるとか。初めてアフレコに参加したときの印象はどうでしたか?

長谷川:収録する前から何度か見学させていただいた現場で、割とリラックスしていたと思うんですけど、ディレクションにうまく対応できなくて。別録りだったから、無音で自分の声しか聴こえないような状態も初めての感覚だったし、本当に難しかったのを覚えています。

——今演じているのは、『IDOL 舞SHOW』の掛川こころ役。お芝居はもちろん、キャラソンにも初めて挑戦した作品ですね。

長谷川:キャラソンを歌うのが夢だったから、ライブに向けてすごく練習しました。私をキャラクターとして見てくださる方がいることもうれしくて。高めの声を出しているんですけど、あんまり高くするとガラガラになってしまうタイプで。事務所の先輩にテクニックを伺いながら練習して、スムーズに出るようになってきたと思います。

——ちなみに、キャラソンを歌うときに、他のアニメ系ユニットを参考にすることは?

長谷川:もちろんあります! もともと好きで、ホームステイ中はYouTubeで配信されていた『ラブライブ!』のライブ映像をチェックしていました。アイドル活動をしているときは、みんなパフォーマンスが似てしまうことが気になって、『アイカツ!』を見ながら「カメラがこう来たらこう動くといいのかな」と研究したり、メイクを真似したり、ひとりで遊んでました(笑)。特に、虹野ゆめちゃんが主人公の『アイカツスターズ!』は、最初から観ていた作品です。

——アイドル時代の映像を見返すと、新たな発見があるかもしれませんね(笑)。アイドルを演じる一方で、男の子役も担当されています。

長谷川:『蛇道スナイパー』の主人公、新太くんを演じたのが初めてでした。「男の子ボイスのほうが合ってる」って言ってくださった方がいて。もともと低くてハスキーな声がコンプレックスだったけど、男の子役なら生かせると知ったときは、うれしかった。その後、韓国でドラえもん的存在だという『ポロロ劇場版 雪の妖精村大冒険』でも主人公のポポロ役で男の子役を演じました。この声を生かせる場が広がったようでうれしかったし、演じるのも楽しかったです。

——素敵な声だと思っていたので、ちょっと意外でした。

長谷川:小学校のころから低くて、卒業式で女の子の標準のメロディも歌えなかったんです。同じように声が低かった友だちと一緒に「男子パートのほうに入れてください!」って先生にお願いしたくらい(笑)。周りより低いのが本当にイヤでした。

——子どもの頃って周りと自分を比べがちですよね。

長谷川:そうなんです。でも中には、その声を褒めてくださる方もいるから。アイドル活動をしているとき、ラジオ番組の中で、萌え声でしゃべるコーナーを勝手に作ったんですよ。それがリスナーの方に好評で、その声を通じてファンになってくださった方もいたんです。“声”で好きになっていただく感覚が、すごく心地よかったんですよね。そんなことがあってから、声に関わる仕事は特に頑張りたいなと思い始めて、歌い方やトーンを変えるようになりました。

——これまでも“声”にこだわってきたんですね。鍛錬すると、滑舌だけではなく声質まで変わるって聞きます。

長谷川:私も、去年から上京したんですけど、久しぶりに新潟に戻ると、お父さんやお母さんから「声変わったね」「聞き取りやすくなった!」って言ってもらえることが増えました。自分のほうが驚いてます(笑)。

——では、お休みの日は何をしていますか?

長谷川:本当に家から出なくて。次の日がお休みだってわかっていれば、前日にスーパーやコンビニに寄って、翌日に外に出なくていいように準備します(笑)。フルーツは、好きだからだいたい買っちゃいますね。

——自宅といえば、事務所の先輩である小坂井祐莉絵さんと同居しているとか。

長谷川:そうなんです。私も自炊するんですけど、先輩も料理上手で。お互いが作りたいときに作って、食べたかったら食べてもいいよ〜って感じです。料理って一人分を作るのが難しいじゃないですか。だから多めに作れるのはありがたいし、食べてくれるとうれしいですし。

——ちなみに、最近作ったものは?

長谷川:お好み焼きを作りました! 「粉物が食べたいなー」と思ってYouTubeで調べていたらお腹がすいてきて…明日作ろう!と。ちょうど仕事で先輩と一緒だったので、「私が作るんで先輩休んでていいですよ〜」って感じで、一緒に食べてもらいました。大好きなキャベツとお肉と、キムチとチーズを入れました!

——絶対おいしい組み合わせですね! 同じ声優の先輩と暮らしていると、心強いことも多いですか?

長谷川:普段の生活もそうですけど、お仕事でわからないことをすぐに教えてもらえるのはありがたいなって。最初、台本の読み方がわからなかったんです。映画や舞台とはちょっと違って、見方がよくわからない番号が振られていたり…。

——頼りになりますね。ほかにも、声優さんは私服が必要になることが多かったり、アイドルの頃から生活面で変わってきたことはありますか?

長谷川:お洋服ってもともと興味がなくて、着れればいいと思うほうだから、感覚は変わってないと思うんですけど。ただ、前髪もなかったような以前はクール担当ってイメージが強かったみたいで、それも嫌いではなかったけど、着たいお洋服の傾向が違っていたので、今は何も気にせずに好きな服を着られるのがうれしいですね。

——事務所の先輩をはじめ、声優さんの交友関係も広がってきましたか?

長谷川:今はやっぱり事務所の先輩が多いですね。上下関係はもちろんありますけど、体育会系という感じではなくて。お仕事では先輩だけど、プライベートでは友だち感覚で接していただけるような、本当にいい関係なんです。ほかの事務所の先輩も一緒になってご飯をする機会も多くから、そこで距離感が一気に縮まることもあります。

——もし不安なことがあっても、ぶつけられる場所がありそうですね。

長谷川:イヤなことがあっても全部鵜呑みにして抱えることはほとんどなくて、次の日には忘れるタイプですけど、それでもミスをして落ち込んでいるようなときは、先輩方が感じ取ってくださるんです。仕事終わりに「ご飯いきましょう!」って。お話してすっきり!って状態を作ってくださるので、本当にありがたいなって思います。

——最近お気に入りのリフレッシュ方法はありますか?

長谷川:最近に限らず、疲れたーってときは無意識に声優さんのラジオを聴いてます。昔から聴いているので落ち着くし、やっぱりおしゃべりが上手な方が多いので、楽しく聴いているうちに、心がフラットになるというか。「ハイキュー!!」「銀魂」「七つの大罪」あたりが多いですけど、ラジオをつけて流れているものは何でも聴いちゃいます♪

——ご自身もラジオ番組『ねづっち・長谷川玲奈の声優さん、整いました!』でパーソナリティを担当していますね。

長谷川:もう1年くらい出させていただいていて。この前、本名陽子さんをお招きしたときには、初代のプリキュアとか、まさしく小さいときからお世話になっていた方だったので、頭の中が真っ白になって、お名前を噛んでしまいました…。でも、ものすごく優しい方で、同じ業界に入ったんだと思うとあらためて気が引き締まりました。

——先輩声優さんとの出会いや、キャラソンなど、声優になってから、いろんな憧れや夢を実現していることが伝わってきます。

長谷川:声優になって一番良かったのは、一番なりたかった職業につけたことです。それができるのは一握りの人だと思うので。生涯の仕事にしたいと思っているので、もっともっと技術を磨いていきたいなと、すごく思います!

——近い将来、声優として挑戦してみたいことは?

長谷川:声優さんのトークイベントに出てみたいです。もちろん作品ありきだと思いますけど、本当におしゃべりが面白いじゃないですか。あの中に混じってお話するのが憧れです。演じてみたい役はいろいろありますけど、バトル系のアニメでビームを出したりパンチをしたり、してみたい! 私は野球の選手を経験したことがあるので、スポーツアニメに出られるなら、今度はマネージャーになりたいです。

——最後に、読者へのメッセージをお願いします。

長谷川:ほとんどの方が私のことを知らないと思いますので、まずは名前を知ってもらえるようにいろんな作品に出演したいですし、まだまだ技術がないので、そこに注目してゲーム感覚で成長を見届けていただけたらと思います(笑)。今はなかなかお会いできませんが、ぜひお会いしてお話するような機会があれば。これから活動をチェックしていただけたらって思います!

——長谷川さん、ありがとうございました!

【声優図鑑】長谷川玲奈さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

長谷川玲奈

長谷川玲奈(はせがわ・れな)クロコダイル所属

長谷川玲奈(はせがわ・れな)Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=麻布たぬ、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト