ラビットハウスの日常が帰ってきた!『ごちうさ』特集②・佐倉綾音(ココア役)インタビュー

アニメ

公開日:2020/10/24

ご注文はうさぎですか? BLOOM
TVアニメ『ご注文はうさぎですか? BLOOM』
TOKYO MXほかにて毎週土曜22:00~放送中
(C)Koi・芳文社/ご注文はBLOOM製作委員会ですか?

 もう、何回でも口に出したい言葉である――ラビットハウスの日常が帰ってきた! 間にOVAの劇場上映などを挟み、TVアニメ3期の放送がスタートした、『ご注文はうさぎですか? BLOOM』。ココアやチノたち、ラビットハウスに集まる面々の楽しい会話、作り手の情熱が全編からにじみ出ているかのような素晴らしい映像、ポップにはじけているけどどこか切れ味鋭い音楽――アニメ『ごちうさ』には、たくさんのものが詰まっている。これから3ヶ月間、その世界に浸れるなんて、至福である。

 今回の特集では、キャスト・監督・音楽(作詞)、3つの視点から『ごちうさ』を語ってもらった。いずれも、『ごちうさ』への愛情がたっぷり詰まったインタビューとなっているので、毎週の放送後に、ぜひチェックしていただきたい。第2弾は、太陽のように明るくポジティブで、まわりを巻き込むココアを演じる、佐倉綾音のインタビュー。長く隣を歩む「相棒」への想いを語ってもらった。

ご注文はうさぎですか? BLOOM

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『ごちうさ』の映像を観たときに、何も起こらないけど、世界を、人を、ひたすら全肯定されてる感じがした

――『ごちうさ』TVアニメ3期の放送が始まりました。改めてこの作品に参加できることについて、お話を聞かせてください。

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佐倉:世界にも変化があって、当たり前が当たり前ではなくなっている中で新作が作れる、そして参加できることが、どれだけありがたくて貴重なことなのか、いろんな人が噛み締めながらの3期になると思います。アフレコも少人数体制でやっていますけど、いろんな方の努力で、大切な人たちと一緒にマイク前に立てている状況が、改めて嬉しいことだなって思います。それは今までどおりのことでもあるけれど、作品を応援してくれるひとりひとりがいなければ、こうして作品を続けていくことはできないし、『ごちうさ』に関しては、本当に皆さんに育ててもらった作品、という想いが大きくて。わたしたち作る側と受け取る側が、いいものを交換し合えている感覚があります。

――TVアニメの1期が2014年放送だから、ココアとは6,7年の付き合いになりますね。長い時間隣を歩んできたココアは、佐倉さんの中でどんな存在ですか。

佐倉:わたしは、自分自身とキャラクターは基本的に別だと考えていて。同一視するのはキャラクターに失礼だなって思いますし、キャラクターだけが好きな人もいていいと思ってるんですけど、それでもここまで長いこと一緒にやってきていると、同一人物ではないにしろ、いつも横にいる相棒みたいな存在になってきていることは否めないです。もう、ライフワークに近くなってますね。ココアからもらうものはとても多いし、一緒に二人三脚している感覚はあると思います。

――水瀬いのりさんは、「ココアは太陽のようだ」って言ってました。

佐倉:わたしもそう思います。ココアは、第三者目線から見ていても、「ほんとにこんな子がいたとしたら、この世界で生きていくには最強だろうな」って思います。それこそ、太陽って何物をも凌駕してる存在じゃないですか。基本的には何の影響も受けずに、堂々とそこに存在しているものだから。そういう意味でも、不動ですね。もちろん、ちっちゃい惑星とぶつかったり、揺れもあったりするけれど、いつも安定感があって、見ればたちまち明るくなれる存在だと思います。

――『ごちうさ』ほど観る人を幸せな気分にしてくれる映像作品って、なかなかないなって思うんです。『ごちうさ』だけが持つ「幸せ感」について、作品に関わる演者、スタッフの方はそれぞれに言葉を持っている気がするんですけど、佐倉さんはどう感じてますか。

佐倉:わたしは最初、日常系アニメとはどういうものなのか、あまりちゃんと理解していなかったんです。お話の中でわりと何も起こらないことに対して、視聴者の方はどう思うのかな、楽しんでくれるのかなって、そのときのわたしにはわからなくて。だから『ごちうさ』の走り出しは、すごく不安でした。ただ、橋本(裕之)監督の「必ずいい作品にします」っていうポジティブなパワーと、音響監督さんのOKだけを信じて走り出した作品でした。

 でも、実際に完成した映像を観たり、お客さんの反応を聞いたときに、ビックリするくらい幸せな気持ちになったんです。それは自分が関わったものに対しての感想だったことも大きいと思うんですけど、それプラス、完成した『ごちうさ』の映像を観たときに、何も起こらないけど、世界を、人を、ひたすら全肯定されてる感じがしたんです。絶対に他人に対して悪意を向けないし――この作品には、誰かに悪意を向ける人が、出てこないんですね。で、誰かが自信をなくしたときは、しっかりと理論立てて、「こうこうこうだから、あなたのそういうところは素敵だよ」って説明してくれる。でもそれが説教臭くならずに、とても優しくてやわらかくて、ポジティブなんですね。そのときに、何も起こらないわけじゃなくて、何かが起こってるんだけど、何も起こっていないように見える楽しい日常が続いているんだよって、キャラクターたちが行動と言葉で説明してくれてるんだなあって感じました。たぶん、観ている方もそれを感覚で感じ取って、『ごちうさ』を毎週楽しみにしてくれてるんだな、心の拠り所にしてくれてるんだなって気づいてからは、他の作品とはまた違う、不思議な日常系アニメなんだっていう認識になりました。

――面白い話ですね。誰かが誰かを励ますときに、そこにはちゃんとロジックがある。理由もなくただ全肯定しているわけではない、と。

佐倉:そうなんですよね。それを小難しい言葉で表現していくと、『ごちうさ』の雰囲気から外れていくとは思うんですけど、そこがたぶん無意識下で説得力になっているんだと思います。そのことは原作からも感じ取れるので、Koi先生の才能と、それをしっかりアニメーションに落とし込んでいく橋本監督の才能が化学反応を起こして、アニメーションがたくさんの人に受け入れてもらえたんだと思います。

――橋本さんに別の日常系アニメでお話を聞いたことがあるんですけど、作品を作るときの考え方がものすごくポジティブで、「この人、聖者なのかな」って思いました(笑)。

佐倉:そうそう(笑)。ご本人もすっごいポジティブだし、コミュニケーションもすごくお上手で、しっかりと役者とコンタクトを取ったくださる方です。困ったらすぐに聞ける存在がいる支えは大きくて。『ごちうさ』では、わからないことはあまり起こらないんですけど(笑)。でも、もしものときの安心感があるから、橋本さんをすごく頼りにさせてもらってます。

――『ごちうさ』を収録している時期には、佐倉さん自身の内面にも何か変化があったりしますか。

佐倉:『ごちうさ』って、基本的に収録が朝なんですよ。朝からココアのテンションまで自分を引き上げていくのは、けっこう大変(笑)。だから『ごちうさ』のアフレコは、マイク前に立つまで、実は非常に不安なんです。「今日は、ココアちゃんと出てきてくれるかな」っていう不安と戦いながら臨んでいて。ただ、マイク前に立つと毎回ちゃんと出てきてくれるので、ホッとす、みたいな(笑)。それくらい、ココアという存在が自分からはかけ離れていて、真逆の相棒なんですね。だからこそ楽しいし、だからこそ不安もあって。

――真逆とは?

佐倉:わたしとココアって、たぶん性格が真逆なんですね。わたしは超絶ネガティブですし、物事は最悪の可能性を想定しながら動いちゃうタイプなので。ココアは、基本的に何かが起きてからそのことを考え始める性格だと思うんですけど、それはわたしにはできないことです。ココアって、基本的に感情のベクトルが一方向で、明るい、楽しい、ポジティブな方向にしか向いていないので、それ以外のことを考えることは無駄になるんですよ。ポジティブな方向にとにかく伸ばすことを、いつも意識しています。

――確かに、ここまで一方向に特化したキャラクターは、なかなかいないですよね。

佐倉:いないですね。現代人は悩んだり苦しむことも多いので、そういう部分を持ってるキャラクターじゃないと、本来は共感されにくいはずで。ここまで吹っ切れたキャラクターで、なおかつ愛されてることについて、わたしもその理由を考えたり、言語化しようと思うんですけど、どこかもう理屈じゃない、何か感性的なものが、演じている側、作っている側、受け取る側に発生していると思います。

――話を聞いていて思ったんですけど、ココアってある意味とてもフィクショナルなキャラクターじゃないですか。もっと言えば、「こんな子、いる?」っていう要素を持っている。だけど同時に、みんなが「こんな子がいてほしい」と願っている人物像でもあるのかな、と。

佐倉:そうそう! そうだと思います。

――大げさな言葉になるけど、「大衆の無意識の具現化」みたいな存在というか。

佐倉:確かにそうかも。でもそれって、「こんなキャラにいてほしいでしょ」って発信する側が押しつけると、受け取る側も逃げていきますよね。生々しさがなさすぎて、現実にいたら、とか考えられないし、ちょっと狙いすぎだよって言われちゃうかもしれないけど、ココアはそこをスルッとすり抜けて、観ている人の心に届いているので、不思議なキャラですね。狙ってもなかなか生み出せないキャラクターだと思います。

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これからもココアにしっかりとついていきたい

――今、全員での収録はできない状況だと思うんですけど、3期の現場に入って「『ごちうさ』ってやっぱりこれだよね」って思ったシーン、セリフはありましたか。

佐倉:いっぱいあったなあ。やっぱり、誰か『ごちうさ』のキャラの声が聞こえてくると、一気に『ごちうさ』の世界に入る感じは、今回もとても強く受け取りました。他の人に聞くと、「ココアの声を聞くと、一気に帰ってきた感じするね」って言ってもらえたりするし、その相互作用は大きいなあって、毎回思います。あとは、変な歌(笑)をアドリブでやったりすると、「そうだ、こんな感じだった」って思います。『ごちうさ』は、たぶんアフレコをしていて一番身体が動くんですよね。最初のほうはそんなに動いてなかったと思うんですけど、年々身体を動かした反動じゃないと声が出なくなってるのかも(笑)。

――(笑)最初にやっていた頃と今では、ちょっとお芝居の感じが違ってたりするんですか。

佐倉:最初は、わたしが日常系アニメのくくりに囚われてすぎていて、迷っていた部分や手応えがなく進んでいた部分もありました。たとえば、自分が気持ちのいいロジックで考えると、独り言のシーンはまわりに聞こえないように、自分だけに聞こえるように演じたりするけど、「いや、そんなに声を潜めなくていいです」「まわりにアピールするくらいの気持ちでいいです」って言われて。それは、第1期の第1羽の最初のセリフで、けっこう衝撃でした。「うわあ、すごい。木組みの町」みたいな独り言のセリフを、「もっとやっていいです」「もっと明るく」って言われたときに、困惑した記憶があります(笑)。

 そこからは、ココアには独り言のセリフもけっこうあるんですけど、「この子は独り言といいつつ、まわりに聞こえても大丈夫な子だし、それを拾ってくれた誰かとコミュニケーションを積極的に取っていくタイプなんだ」って考えるようになりました。だからそこは吹っ切って、「独り言だから自分にしか聞こえない声じゃないとダメでしょ」っていう理論は、自分の中でいったん破綻して、『ごちうさ』用の理論で臨む、みたいな感じにどんどんなっていったと思います。

――1期1羽の最初のセリフで、理論が破綻したと(笑)。

佐倉:そうです(笑)。デビューして3年目とかの多感な時期に、そういう経験をできたのはよかったなって思います。19歳とかだったので。

――3期の1羽の最初、ココアはだいぶテンション高いセリフからスタートしてましたね。和装で出てきて「へい、らっしゃい」っていう。

佐倉:1羽から、かなり振り切ってましたね。振り切ってたし、「ココアちゃん、最初っからフルスロットルで大変だね」って、千夜役の佐藤(聡美)さんに言われた覚えがあります。「5年ぶりのTVアニメなのに、いきなりこんなことさせられるんだね」みたいな(笑)。

――(笑)『ごちうさ』の2期って、15年の10月番組だったじゃないですか。で、その手前の7月番組で、佐倉さんは『Charlotte』の友利役を演じていた。ある役が他の作品に影響を及ぼすことはあまりないとは思うんですけど、役者として大きな経験をした上で『ごちうさ』の2期に臨んだことは、佐倉さんにとってどんな体験だったんでしょうか。

佐倉:自分の経験値って、邪魔になるときもあるんですね。初期にやっていたキャラクターを今やれと言われると、本当は当時に戻らないといけないんです。そのときにわたしが演じていたキャラが、視聴者さんにとっては正解だから。もちろん、成長が活かせる場合もあるんですけど、『ごちうさ』に関しては、基本的に経験値が邪魔になる作品です。だからこそ、ちゃんと引き出しにしまうものと出すものの切り替えをしないといけなくて。自分が気持ちいい、やりやすいものって、どうしても積み上がっていっちゃうので、新しく来た作品を受け止めようとすると、自分の成長とともに変わっていっちゃう。成長しろとも言われるし、時間を止めろとも言われる。声優は難しい職業だなって改めて思います。

『ごちうさ』は、作品の中の彼女たちにとっては1期と2期の間でそんなに時間が経っていないし、2期から3期も1年くらいしか経っていなくて。でもわたしたちの時間は5年経っていて、4年分の人間としての時間を止めて臨まないといけないのは、なかなかこの職業じゃないと体験できないと思いますし、これだけ長くひとつの役を演じさせてもらえることは、声優冥利に尽きるなあって感じます。

――ちなみに、佐倉さんが『ごちうさ』の世界で1日を過ごすとしたら、何をしたいですか。

佐倉:ココアとチノと、いっぱいしゃべりたいですね。わたし、ココアは自分の人生にとても必要な人だと思っていて(笑)。真逆だからこそ、ココアに「どうしてそうやって生きていけるの」って、すごく聞きたいですね。ココアの感性が欲しいから。自分の声としゃべるのはなかなか気が引けますが、でもそれはしてみたいです。あと、チノは個人的にすごく好きなので(笑)、一緒に過ごしてみたいです。

――ココア以外で、『ごちうさ』の中で推しのキャラは?

佐倉:女の子だとチノで、あとはお父さんたちがすごく好きです。タカヒロさんと、リゼパパ。出てくると、見入っちゃうんですよね。すごく目を引くというか、『ごちうさ』にはない世界観に急に移行する感じがするんですけど、それでもどこか根底に流れてる『ごちうさ』イズムが、しっかりお父さんたちにも存在しているのが、とても素晴らしいと思っていて、お父さんたちをずっと推しています。

――『ごちうさ』は毎回音楽が素晴らしくて、キャラソンも多数リリースされてますけど、特に気に入っている曲、思い入れのある曲はありますか。

佐倉:今パッと思い浮かんだのは、リゼとのデュエット曲の“Rabbit Hole”。それとココアのソロ曲で、ジャズ調の“COCOATIC BAR”です。ずっと「ジャズ調の曲が好きです」ってスタッフさんに話をしていたら、ほんとにココアでそういう曲を作ってくれたんです。作曲がジャズのアーティストさんで、しかも当時高校生だったのかな? すごくクオリティの高い楽曲で――。

――作曲の奥田弦さん、2001年生まれですね。

佐倉:えっ? 10代っ!?(笑)。書かれたとき、ココアたちと同じくらいだったっていうことですよね。わたしも、今までにないくらい曲を覚えるのが早かったですし、手応えをつかむのも早かった曲でした。難しい曲ではあったけど、楽しかったです。わたし自身はあまり歌が得意じゃないですけど、レコーディングがすごく楽しかった記憶があります。あとは、イベントでチマメ隊が“ぴょん’sぷりんぷるん”という曲を歌っていて、曲調がちょっとテクノポップっぽいんですけど、すごくかわいくて、背中がムズムズする感じの楽曲で、好きになりました。

――主題歌の畑 亜貴さんの歌詞も、『ごちうさ』の中では印象的ですよね。キラキラしているし、楽しいんだけど、どこか現実を教えてくれるような歌詞だって水瀬さんが話していて、確かにそうだな、と。

佐倉:「急にここで現実投げ込んでくるんだ」みたいな感じは、畑さんの歌詞の独特なところですね。現実的な歌詞が急にポンって入ってきて、「現実について考えないといけないかも」って一瞬思った次の瞬間に、明るくてキラキラして楽しい言葉が押し寄せてくるので、「なんだったっけ?」って(笑)。それが、すごく不思議です。

――「いつかこの日常が終わるかも」っていう部分でエモーションを発生させることはよくあるけど、『ごちうさ』って逆じゃないですか。ずっとこれが続くんだよ、終わらないよ、がメッセージになっていて。

佐倉:そうなんですよね。それをこんなに自信満々でアピールしてくる作品って、なかなかないです。もの悲しさゼロですもんね。終わりを感じさせる暇も与えない朗らかさ、みたいなものがあるのかも。

――今回、キャストでは水瀬さんにもお話を聞いているんですけど、ココアとチノを一緒に演じてきた彼女に、佐倉さんからメッセージをいただきたいです。

佐倉:ええ~っ? そうですね、わたしにとって水瀬いのりという存在は、本当に珍しいぐらい、出会ったときから姉妹になれる気がしていました。最初は、いのすけが緊張しながら、わたしにメールアドレスを訊いてきたところから始まったんですけど――当時、お互いがモブで入っていた現場があったんですね。水瀬いのりが1年目、わたしが2、3年目くらいのとき。で、なぜかふたりで同時にスタジオを出て、一緒に帰ることになったんですけど、駅のホームで、たぶんすごく勇気を振り絞って、「佐倉さんのラジオを聴いていて、とても好きです。メールアドレス教えてください」って言ってきたのが、関係の始まりでした。次にいつ会えるかわからない状況だったけど、また他の作品でお互いにオーディションを勝ち抜いて出会って、さらにこの『ご注文はうさぎですか?』でも一緒に歩いていくことになって。「出会うべくして出会ったんだろうな」っていう感覚が、とても強い人のひとりだと思っています。常にベタベタ連絡を取っているわけではないけど、わりと大事な局面にちゃんといてくれたり、ふと連絡を取っても、以前と同じように接してくれる家族感は、手に入れようと思っても手に入れられるものじゃないので、非常に感謝しています。たぶん、これを腐れ縁って呼ぶのだろうと(笑)。これから、一生付き合っていこうものなら、よろしくお願いします、という感じです(笑)。

――(笑)その出会いを経て、この作品で長年ココアとチノを一緒にやってるって、熱い話ですね。

佐倉:ほんとですね。あのときはほんとにお互い何者でもなかったですから。しかも水瀬いのりは、あの頃は今よりもコミュニケーションが下手だったので、他人にメールアドレスを聞くって、けっこうな勇気だったと思います。だから、そのときすごく嬉しかったのを覚えています。

――では、佐倉さんにたくさんのものを与えてくれて、これからも一緒に歩んでいくココアにも、メッセージをお願いします。

佐倉:もうどこまでも、ネガティブお姉ちゃんは頑張ってついていきます(笑)。ココアにとっては、わたしはだいぶお姉ちゃんになってしまったので。ココアがどんどん明るく前向きに歩を進めていく中で、わたしは基本的にあまり歩き出せないタイプだから、もし同じ次元に存在していて、同い年だったとしたら、たくさん手を引っ張ってもらっていると思います。これからもココアにしっかりとついていきたいと思いますし、あなたがやることなすことにしっかり声をつけていきたいな、と思います。これからも、自由に生きていってほしいです。

第3回は10月31日配信予定です。


『ご注文はうさぎですか? BLOOM』公式サイト

取材・文=清水大輔

佐倉綾音(さくら・あやね)
2010年に声優デビュー。代表作に、TVアニメ『神様になった日』(佐藤ひな役)、『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』(可知白草役)、『SHOW BY ROCK!!STARS!!』(モア役)、『五等分の花嫁』(中野四葉役)など。