鶴嶋乃愛「本は自由。現実世界を離れたいときには本を読むようにしています」
更新日:2021/2/12

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、雑誌『Popteen』の専属モデルを経て、『仮面ライダーゼロワン』のヒロイン・イズ役でドラマデビューを果たし、注目を集めている鶴嶋乃愛さん。「毎日自分が何が好きで、何が嫌いかを研究しています」という深いこだわりをもつ鶴嶋さんが、大好きな作家・千早茜さんと本のこと、更にはファッションについて語ってくれた。
趣味は読書という鶴嶋さん。2018〜19年は『仮面ライダーゼロワン』や雑誌の撮影で、寝る暇もないほど忙しい時期もあったそうだが、そんなときでも「なるべく本が読みたい」のだという。それほどまでに本好きな彼女だが、読むようになった理由が面白い。
「本に興味を持ちはじめたのは小学校4年生の頃。私、どちらかというと読むのが早い方なので、マンガだとすぐ読み終わってしまうんですよ。同じマンガを繰り返し読むこともしますけど、小説なら長い時間読めるからいいなと思って。小学生のときは、ずっと図書室に行ってましたね。なぜか『アンネの日記』を何回も読んでいた記憶があります。中学生になると、苦手な数学の授業のときは、机の下に隠して本を読んでいました(笑)」
以来、ずっと読書が趣味。忙しいときもなるべく本が読みたいという鶴嶋さん。
「ある意味、本は現実逃避というか、“もしこの中に私がいたらどうなんだろう?”と考えたりすることで、現実からいったん離れることができるじゃないですか。ドラマや映画を観るのも好きですが、やっぱり本が一番自由でいい。自分の中で、視覚的な映像を全部つくれるのが楽しいですね。子どもの頃から空想するのが好きだったので、本は自分に合っているんだと思います」
乱読で、本屋さんに行っては棚を眺め、タイトルが気に入ったものを10冊くらいまとめ買いするタイプ。そんな中でも千早茜さんの作品は、特別に心に刺さったそうだ。
「最初に読んだのは『正しい女たち』という作品。とにかくいろんな女性が出てきて、それぞれの目線で、それぞれの気持ちが深く描かれているものだったんですが、読み終わったあと、切ないんですけど心が晴れやかになったんです。私は、ハッピーエンド過ぎるものは苦手なんですが、千早さんの作品はスーッと入ってくるというか、素直に受け止められます。それから千早さんの小説やエッセイ、Twitterまで読んで、千早さんの人間性や暮らし方までもがすごく好きになりました。『西洋菓子店プティ・フール』とか、最新作の『透明な夜の香り』でもそうですけど、千早さんの世界って、お菓子やお茶の描写がたくさん出てくるんですよ。私も紅茶やお菓子が好きなので、憧れます。『透明な夜の香り』に出てくる薔薇のジャムも、読んだ後、探しに行きました(笑)」
ちなみに鶴嶋さんが好きな香りはローズ。様々な種類のローズの香水を集めているという。けれど「忘れられない香り」は地元の自然の香りだそうだ。
「地元が高知なんですけど、おうちの前に川があったり、ちょっと歩くと森があったりと、本当に自然に囲まれていたんですね。中学校のとき、私は帰宅部で、友だちと一緒に帰るんですけど、その帰り道で嗅いだグランドの土と空気が混ざったような匂いが忘れられません。今でもすごく思い出しますし、地元に帰ったときも、空気に漂う香りで中学時代のその風景を思い出します。香りって、すごい。本当に脳の中に残っているんだなって思いますね」
鶴嶋さんは、もともと詩を書き溜めていたそうだが、小説を読んでいるうちに自分でも書いてみたいと思い、昨年からストーリーものも書きはじめたそうだ。
「外にいるときでも、パッと思い浮かんだらiPhoneにメモして、家に帰って書いてみています。でも難しいです。構成とかオチを考えるんですけど、“ここをどうひねったら面白くなるのかな?”とか、つなげ方が分からなくて、自分では納得できてない。自分で書くようになって、あらためて『作家さんって本当にすごいな!』って思いました。なんとか完結させて、いつか発表したいですね。同世代の女の子に共感してもらえるようなものにしたいと思っています」
鶴嶋さんが今、もうひとつ創作しているのが洋服だ。自身のファッションブランド『Romansual(ロマンシュアル)』を間もなくリリースするという。ファッションとの関わりも、やはり子どもの頃に遡る。
「ものごころつく前から、お母さんが結構いろんなお洋服を着せてくれていたので、生活とともに服はあった感じです。今思うと、小学校で浮いていただろうと思うような格好をしてましたね(笑)。自分自身で『こういうのが着たい』って、いろいろ考えて組み合わせて着るようになったのは、中学生くらいかな」
その後、すぐにモデルになり、ファッションのことを考えることが本職になった。
「ファッションは私にとって“日常”です。でも、これまではコーディネートを考えたり、ブランドさんとのコラボで商品作りに関わらせて頂くという形だったので、いちから服を作るのは今回が初めて。パターンを引く以外のことは、デザインから出来上がりのチェック、ロゴ作りまで全部やらせていただきました。“Romansual(ロマンシュアル)”という名前のわりに、結構エッジが効いていると思われるかもしれません。男性も着れるように、Tシャツなどはサイズ大きめにしてありますし、私のことを知らない年上の女性の方にも着ていただきたいなと思いながら、“Romansual(ロマンシュアル)”にしかないデザインを意識して作っています」
『Romansual(ロマンシュアル)』の由来は“ロマン(=夢への憧れ)”と“センシュアル(=気品を感じる美しさ)”を掛け合わせた造語。“夢への強い憧れを抱きながらも、知性や気品を感じる一輪の花のような美しさも兼ね備えた女性”という思いが込められているそうだ。それは、まさに鶴嶋さんそのもの。彼女が作り出す新しい表現世界に期待だ。
『Romansual(ロマンシュアル)』はオンラインストアにて販売。第1弾の春コレクションは、2月から販売スタート。
■先行予約:2021年2月5日(金)17:00~2月14日(日)23:59
通常販売:2021年22日(月)17:00~
■Romansual(ロマンシュアル)オンラインストア
https://wegoec.jp/shop/brand/romansual
取材・文:逸村弘美 写真:山口宏之
ヘアメイク:サイオチアキ(Lila)
『鶴嶋乃愛カレンダーブック 2021.04-2022.03』

撮影:中里謙次 2500円/メイキングDVD付き3500円(いずれも税別)発行:東京ニュース通信社 発売中 ●鶴嶋乃愛の初めてのカレンダー。モーニングルーティン風の部屋着ショットや色香漂う赤いワンピース姿など、シチュエーションごとに変わる多彩な表情を収録。カレンダー本体に掲載しきれなかったアザーカット(全5種類)を使ったポストカードが一冊につき1枚封入。
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