カンブリア宮殿にて特集! 「食べチョク」代表・秋元里奈が初の著書について語るインタビューを公開!

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公開日:2021/5/13

 全国の生産者と消費者をつなぐオンライン直売所「食べチョク」。創業者の秋元里奈さんは今、最も注目されている起業家の一人だ。ついに発売となったその初著書『365日 #Tシャツ起業家 「食べチョク」で食を豊かにする農家の娘』と、ユーザーを拡大し続ける「食べチョク」について聞いた。

(取材・文=五十嵐 大 写真=川原崎宣喜)

三浦崇宏

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トレードマークのTシャツを着続ける理由

 トレードマークは胸元に「食べチョク」とプリントされた、紺色のTシャツ。秋元里奈さんはそれを文字通り毎日着て、全国を飛び回っている。「食べチョク」とはオンライン直売所の名称。全国の生産者と消費者がつながり、こだわり抜かれた野菜や魚、肉などを購入することができる。同サービスを立ち上げた秋元さんは、若手起業家の中で今、最も注目を集めている人物だ。そんな秋元さんが、自身の半生を綴った初めて著書『365日 #Tシャツ起業家 「食べチョク」で食を豊かにする農家の娘』を出版した。

秋元里奈氏(以下、秋元):自分の人生をこうして一冊の本にできたことで、あらためて初心を思い出すことにつながりました。一人目の社員を採用したときのことや、初めて投資家さんから連絡をもらったときのことなど、たった数年前の出来事ですが、時間が経つと当時の感覚は薄れてしまうもの。それを忘れないためにも、何度も読み返そうと思っています。

 最近はメディアへの出演も重ねている。しかし本書を読み進めると、その素顔は意外にも控えめで、引っ込み思案なところもあることがわかる。

秋元:特に子どもの頃は人付き合いが苦手で、絵ばかり描いていたんです。『名探偵コナン』が大好きで、オリジナルストーリーを作っていました。下手くそな二次創作みたいな感じで(笑)。今思えば、当時から、なにかを生み出したいという創作意欲は強かったんだと思います。

 ものづくりがしたい。秋元さんの中で膨らんでいった欲求は、「食べチョク」につながった。同サービスを通じて彼女は、「生産者が正当に評価される世界」という新しい価値を生み出そうとしている。その姿は、常に全力疾走。コロナ禍で悲鳴を上げる生産者の元に駆けつけたり、SNSを駆使することで彼らの現状を懸命に伝えている。だからだろうか。秋元さんを見ていると「応援したい」という気持ちが湧いてくる。実際、本書には生産者からの応援メッセージも収録されている。ただし、中には頑張りすぎる秋元さんを心配する声も。

秋元:「食べチョク」にとって、生産者さんたちはお客様。それなのに、みなさん私たちのことを応援してくださるのがとてもうれしい。「一次産業を支えたい」という私の思想に共感して、会社を一緒に成長させようとしてくださっているんですよね。全国にいる生産者さんたちは、まるで家族みたいな存在です。だからこそ期待を裏切っちゃいけないし、もっともっと頑張らなくちゃ、と思ってしまうんです。

 本書を通じて、読者に知ってもらいたいこと。それは「生産者には、それぞれのストーリーがある」ということだ。

秋元:日常生活の中で、生産者さんたちのことを意識する瞬間って少ないですよね。でも、たとえばトマトひとつとっても、必死に作っている方たちがいる。手のひらにあるトマトの向こうには生身の人間がいて、彼らの思想や生活がある。今、目の前にある生産物には、どこかの誰かのこだわりが詰まっている。それを知ってもらいたいんです。そうすると、食卓も豊かになります。ただのトマトが、何十倍も美味しく感じられるんですよ。

 本書の出版は、秋元さんにとってひとつの節目になっただろう。しかし、まだまだ満足はしていない。むしろ、ここから更に走り出さなければいけないとさえ思っているという。

秋元:最近、音声SNSのClubhouseを活用して、生産者さんの声を消費者さんにダイレクトに届ける取り組みにチャレンジしています。先日は、い草農家さんをお招きして、たくさん話していただきました。今後もそれは続けていきたいですし、逆に、消費者さんの意見を生産者さんに届けられる場も提供したい。双方向に交流することで、一次産業の素晴らしさがもっと広まっていくと思うんです。

 最後に、ちょっと意地悪な質問を。Tシャツではなく、オシャレをしたいと思ったことはない?

秋元:もちろん、オシャレをしたくなることはありますよ(笑)。でも今は事業が一番大事ですし、Tシャツを着ていると私なりの覚悟を感じ取ってもらえるんです。だからもうしばらくは“Tシャツ起業家”でいたい。なにより、そんな自分が大好きなんですよ。ただ、同時にわたしも“ふつうの人”ということを知ってもらえるとうれしい。起業家ってすごい人だと思われがちですけど、そもそもわたしは人前に出るのが苦手な性格です。それでもどうにか頑張っているということを、この本から感じていただけるとありがたいですね。

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