直田姫奈「私にとってはアニメの世界に入るための手段が声優でした」【声優図鑑】

アニメ

更新日:2021/7/19

直田姫奈

 キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチニュースの恒例企画『声優図鑑』。第265回目に登場するのは、アニメ業界に入るために、保育士から転身して声優を志した直田姫奈さん。今では、『BanG Dream!ガールズバンドパーティー!』の桐ヶ谷透子役を演じ、リアルバンド・Morfonicaのギターとして活躍しています。
運命を切り開くために欠かせなかった友人との出会い、「友だちとご飯に行くのがいちばん好き」という言葉や、「ファンの人たちとゆる〜くおしゃべりしていきたい」と語る今後など、大切にしている人たちについても話してくれました。

声優になったのはアニメの世界に入るため

——2018年に声優デビューした直田さんですが、声優に興味を持ったきっかけは?

直田:アニメが好きすぎて、アニメの世界に入るためにはどうしたらいいのか考えた時に、声優になることしか浮かばなかったので。もともとアニメを観るほうじゃなかったんですけど、仲の良かった中学の友だちが好きで、話をしたいからと思って観始めたらハマってました。アニメは、中学の頃は『銀魂』『BLEACH』『ONE PIECE』とか、高校になってからは『うたプリ』『Free!』あたりが好きでした。

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——幼少時はどんな子どもでしたか?

直田:めちゃくちゃ元気で、何でもやりたがるような子どもでした。妹がいたし、近所に年齢の近い子が多かったので、みんなで家の前でお店屋さんごっこをしてたのを覚えてます。当時はモーニング娘。が好きで、私は辻ちゃん(辻希美)とか石川梨華さんになりきって過ごす…みたいなごっこ遊びもしてましたね。

——学生時代にはまっていたことは?

直田:高校生くらいの時、アコースティックギターにどはまりしました。YUIさんが大好きで、YUIさんになりたくて、お小遣いを貯めてアコギを買って、ひとりで永遠に練習するのが高校生の時の放課後の過ごし方でした。

——その経験が今の仕事に生かされてるんですね。弾き語りしていたのみYUIさんの曲ばっかり?

直田:そうですね。一番好きな曲は、1stシングルの『feel my soul』。原点っていう感じです。誰かに聴いてもらったというより、ただひたすら1人で弾き語りをするのが楽しくて、毎日気づいたら3時間くらい弾いてました。弾いて歌って、その世界観に入っているのが楽しかったです。

——自分の声の特徴は、どんなところだと思いますか?

直田:特徴がないから、このままではどんなキャラクターにもはまらないって思ってたんですけど、それを人に話したら「いや、その声はその声で誰にも真似できないから。変えないでいい」と言われて。ああそうなんだ、と今は思ってます。

——保育士さんからアニメの業界に入っていますね。そこまで直田さんの心を駆り立てたものは何ですか?

直田:芝居も音楽も、自分とは違うものを表現している気がして、それは他であまりできることではないので魅力を感じますね。

メンバーと一緒にやりたいことが増えてきました

——それだけアニメへの想いが強い、と言えそうですね。『BanG Dream!ガールズバンドパーティー!』の桐ヶ谷透子役は、この役を演じるために何が必要だと感じていますか?

直田:リアルバンドでギターを弾くことになって、でもエレキギターはイチからのスタートで。ただ弾くだけならプロのギタリストを選ぶと思いますけど、声優である自分を選んでもらった意味をすごく考えました。

透子ちゃんは派手で目立つことをしたいキャラクターなので、弾くだけじゃなくて体と表情のパフォーマンスでどれだけ透子のステージを見せられるか、というところを一番気にしています。

——ステージ上では透子なんですよね。

直田:私自身なら「ここは止まって弾きたい」って思うんだけど、透子ちゃんだったら止まらないだろうなとか、どうやって弾くんだろうな、とか。うまくギターを弾けばいいだけじゃないっていう部分と、つねに戦っている感じですね。

——『BanG Dream!』シリーズは大人気作品ですけど、携わってみて良かったと感じることは?

直田:透子ちゃんを演じられることがまず喜びですし、『BanG Dream!』に出ているとなれば、だいたい話が通じることが多くてありがたいです。最初に聞いた時は、楽しみより不安のほうが大きかったんですけど、最近はメンバー同士の絆もどんどん深まっていて、「この人たちとやってみたい」と思えることが増えてきたなって思います。

——たとえば、どんなことですか?

直田:主にライブのステージでできることですね。私と対の場所にいるのがヴァイオリンのAyasaさんなんですけど、ずっとヴァイオリニストとして生きてこられた方だから、演奏力のレベルがとても差があり、そこでパフォーマンスを揃えるとなると私が追いつかないことには難しくて。最近はようやくできる事が増えてきたので、一緒にステージを作っていくのが、今いちばん楽しいです。

——『けものフレンズ3』カムチャッカオオヒグマ役は、いわゆる可愛いタイプの女の子ですね。

直田:大きいものが大好きな、ひたすら可愛い子ですね。口調にかわいい特徴があって、台本にハートや音符のマークがめっちゃついていたので、びっくりした記憶があります(笑)。自分の今まで演じてきたキャラクターの中でも1番テンションが高く、エネルギーが必要だったので、自分としても挑戦でした。今できる精一杯の「キラッ」とか「るん♪」を出せているかなって思います!

道をよく聞かれるので困ります(笑)

——プライベートでよく会うような声優さんはいますか?

直田:声優デビュー作になった『消滅都市2』でユニットを組んでいたSPR5のみんなは、今でもずっと仲が良くて。4月の誕生日に連絡をくれたり、おうちにケーキを持ってきてくれたりして、みんな大好きです。お仕事で出会ったけど、今では友だちの印象が強いというか、東京での私の友だちって感じですね。

元22/7の帆風千春さんも、大学からの友だちで。声優になる前に知り合って、フタを開けたらお互いに声優になりたいことがわかって、じゃあ学校通ってみようかとか、オーディション受けてみようとかしているうちに、2人とも声優になって。彼女なしでは私の人生は回らなかっただろうなって思える子です。

——運命のような出会いだったんですね。

直田:彼女が1年早く上京して、私が追いかけて、それからずっと支え合ってました。大学の時はどちらかしか声優になれないだろうって思ってたのに、奇跡だなと。

——では、最近ネットショッピングしたものを教えてください。

直田:最近は生活周りのものを一新していて、枕元に電気のついたベッドに買い替えました。といっても、見た目は白いベッドが白いベッドに変わっただけで、そういう自分にしか喜びがわからないものを買ってます(笑)。

母の日は入浴剤をあげました。「母の日ですが何も送られてきません」みたいなLINEがくるので、あ、ごめんごめんって。いろんな入浴剤が入ったのを3キロくらい送りました。これ、いいやつだよって。母とは仲がいいですね。

——寝る前についしてしまうナイトルーティーンはありますか?

直田:元保育士なんですけど、赤ちゃんを見るのが好きで。最近、YouTubeで追いかけている家族がいて、その子の成長を見守るのが最近の欠かせないルーティーンです。配信が毎日じゃないから、過去に戻って「今日はこれ見よう」って。めっちゃ可愛い。赤ちゃん抱っこしたい! それが今いちばんしたいことかもしれない。

——大好きなのが伝わってきますね(笑)。他にYouTubeで観る動画は?

直田:料理動画を、料理をしないのに観るのが好きで。包丁で切る音とかが好きなんです。観ると、いい眠りにつけます(笑)。簡単にできるのをアップしてくれてる人が多いから、最近は「作ってみるか」にも発展してます。油揚げに餃子のタネを詰め込む“油揚げ餃子”みたいな料理は、めっちゃおいしかったです! 晩酌にぴったりで、私は梅酒を合わせたんですけど、日本酒とか、どんなお酒にも合うと思います。

——最近の些細な困りごとはありますか?

直田:悩みはあんまりないほうで…。あ、でも、道を聞かれることが多くて困ります。おばあちゃんががんばってGoogleマップ見てるから、そりゃあ若者の私ががんばらねばって思うんですけど、実際に歩いてみないと道がわからないタイプなので。説明するより行ったほうが早いから、一緒に練り歩きます。わかりやすい道まででたら「あとはまっすぐ行くだけです」って。1ヶ月に一回くらい声かけられるから、それは悩みかもしれない(笑)。

——コロナ禍が明けたら何をしたい?

直田:友だちとご飯を食べるのが、いちばんっていうくらい好きなので、落ち着いたら誰かとすぐにご飯に行きたいです!

イベントも配信もみなさんと作り上げる時間が楽しい

——アニメに出るために声優になって、見事にその夢は叶いましたね。これからどんな声優になりたいですか?

直田:もっとたくさんアニメに出たいです。最近は吹き替えのお仕事もいただくんですけど、特に外国の方って考え方も行動も違うから、自分とは違う人になれるだけでもおもしろくて。だから今は、幅広く活動していくことがいちばんの目標になってます。

——ファンの方に伝えておきたいメッセージをお願いします!

直田:いつも温かく見守っていただいてうれしいです。ファンイベントでは、みなさんを名指しするくらい距離が近くて。私にクイズを出してもらったり、ファン同士のグループでイラストを完成させてもらったり。

配信でも、みなさんとゆる〜くおしゃべりしていきたい。みなさんの顔を見たりコメントを読めたりするのがうれしいから、その時間を大切に、これからも一緒に素敵な時間を作り上げていけたらって思います。

——直田さん、ありがとうございました!

【声優図鑑】直田姫奈さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

直田姫奈

直田姫奈(すぐた・ひな) アニモプロデュース所属

直田姫奈(すぐた・ひな)Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=麻布たぬ、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト