蔵書1万冊以上! フィッシャーズ・シルクロードに影響を与えた漫画は!?

エンタメ

公開日:2021/7/21

Fischer's-フィッシャーズ-のリーダー・シルクロードさん

 総再生回数100億回突破! 2021年7月時点でチャンネル登録者数670万人を超える大人気クリエイター、Fischer’s-フィッシャーズ-のリーダー・シルクロードさんが、自身の誕生の瞬間(!)からYouTuberになるまでを描いた自伝的小説『全力少年ドモラ』(KADOKAWA)を上梓。

 主人公シルクロードとちょっと「変わった」、しかし愛すべき家族や友人たちが繰り広げる“嘘のようなホントの話”がユーモアたっぷりに綴られた本書について、漫画好きの著者に影響を与えた神漫画について、遊び心が随所からうかがえるご自宅を訪ねて聞いてきました。

(取材・文=鷲頭紀子 写真=後藤利江)

advertisement

『全力少年ドモラ』(シルクロード/KADOKAWA)
『全力少年ドモラ』(シルクロード/KADOKAWA)

文章にしてみて、「こいつ変だな」って気がついた(笑)

文章にしてみて、「こいつ変だな」って気がついた(笑)

――エッセイではなく“自伝的小説”を出そうと思った理由は?

シルクロードさん(以下、シルクロード)「どんな子ども時代を送っていたんですか?」だとか「どんな環境で育ったんですか?」といったことを聞かれることが多かったので、そんなに気にしてもらえているなら、気になってもらっているときにやったほうがいいなというのが一番の理由です。今26歳なんですけど、最初はこの歳で自伝を出すというのはどうなんだろうとも考えたのですが、もったいぶることでもないなと思って、自分自身半生を振り返りながら自伝的に語ってみるのも面白いんじゃないかと挑戦してみました。

――YouTubeでもご家族のことや学生時代のエピソードなどプライベートなお話をされていますが、動画と文章に違いはありましたか?

シルクロード 本だからこそ普段、動画で見せづらい部分も書けるかなということは感じましたね。表情が画(え)として見えない分、伝わる書き方をしなければというところは意識しましたが、それがゆえに文章のほうが伝えやすいと思うこともありました。特にいろいろ葛藤していた時期に考えていたことなどは文章で伝えられたらなと。

――動画で語っていない話も結構ありますか?

シルクロード そうですね。初期からのフィッシャーズのファンの方でも聞いたことがないようなエピソードが結構出てくるんじゃないかと思いますね。とくに家族に関しては、仲が良くて、家族がみんな全力で僕のことを応援してくれているという見え方だと思うんですよ。それも間違いではないんですけど、最初から手放しで応援してくれていたかというとそうではなかったし、僕も親を心配させてしまったことがあったので……。そういったことも本ではかなり率直に書いています。

――この本を書いたことで気づくことも多かったのでは?

シルクロード そうですね。今回、本を書くために振り返ったことで、意外とこういうところが今に生きてるんだなとか、これがあったからこそここで踏ん張れたんだなとか、気づくことがたくさんありましたね。それでいうと、ずっと無我夢中だったのであまり人からどう見えているか気にしたことがなかったんですけど、文章にしたものを客観的に見て、「こいつ変だな」って気がつきました(笑)。

――ご家族をはじめ登場人物が全員個性的ですよね。

シルクロード そこに関しては、「おかしい」とはよく言われてましたけど、本当におかしかったっていう。まずそもそもなんですけど、“決闘”するって今の時代あんまり聞かないと思うんですけど、僕の中学では日常的にありましたからね。決闘の合図もバカっぽいですし(笑)。だから環境的におかしいんですよ。僕らのいた中学自体個性の強いやつらばかりだったんですけど、その中でも濃いやつらがフィッシャーズなので、そりゃ変だわなっていう(笑)。まあ、だからこそ一緒にいて飽きないやつらだなっていうのはありますね。

本屋さんにこの表紙が並んでいたら、絶対買う!

本屋さんにこの表紙が並んでいたら、絶対買う!
©UUUM

――フィッシャーズが勢揃いしたカバーイラストも印象的ですね。「このマンガがすごい!2019」オトコ編第1位にランクインした『天国大魔境』の石黒正数さんが装画を手掛けられていますが、やりとり等はあったんですか?

シルクロード 個人的にフィッシャーズが集合している絵がいいなというイメージはあったんですけど、石黒さんにお任せしたほうがきっといいものになると思って、本をお渡しして描いていただいたら、僕が思っている“まんま”の絵が上がってきたので、「ああ、これこれ!」って感動しました。僕自身すごく漫画が好きで表紙買いするタイプなんですけど、本屋さんにこの表紙が並んでいたら絶対買いますね。メンバーも「おおっ、すげえ。似てる~」って喜んでくれましたけど、モトキとかほんと、似てるんだよなあ。

――1万冊を超える漫画を所有するほどの漫画好きであるシルクロードさんに影響を与えた漫画は?

シルクロード うわーーーー! (頭を抱えて)めっちゃあるから難しいなあ。

――ではベスト5ではいかがでしょう?

シルクロード わかりました! 1位…2位…ここは固いんですよ。あとは見ながら考えるのでちょっと待っていてくださいね。(廊下の漫画コーナーから声が聞こえている)これかなー。ああ、こっちか。いやー、めっちゃムズいわ。(数分後)決まりました!

漫画好きであるシルクロードさんに影響を与えた漫画

シルクロードさんに影響を与えた漫画ベスト5は!?

影響を与えた漫画ベスト5は!?

――では、フィッシャーズ・シルクロードさんに影響を与えた漫画、第5位は?

シルクロード 『CLANNAD-クラナド-』(Key:原作、しゃあ:作画/KADOKAWA)です。ファンの間で「CLANNADは人生!」と言われているぐらい、めっちゃ感動的なんです。家族や友情、恋愛の悩みといった学生のちょっとした日常を描いているんですけど、人との繋がりってこんなにドラマになるんだなというのを教えてもらった作品ですね。僕、ゆるっとした日常系ってあんまり読まないんですけど、これはドンピシャでハマりました。

――では第4位。まだ悩んでいる感じですね(笑)。

シルクロード 選ぶのが難しすぎるので今の4位ということだと『ホーリーランド』(森恒二/白泉社)ですね。自信のないいじめられっ子があるときボクシング教本を見つけて、部屋で引きこもりながらワンツーの練習だけをひたすら繰り返すんです。それを続けていたある夜、街に出て不良たちに絡まれてワンツーを繰り出したら、バカ強くなっていた。それで夜のスリルにハマりヤンキー達に勝ち続けていくって話なんですけど。ひとつのことを突き詰めていって自分より強い相手に勝ったときの喜びが純粋に描かれているのが好きで。そこでの達成感であったり、そこからもっと上を目指す感じが僕とどこか似ているし、頭でっかちにならずにまず行動するということを学べた漫画です。

――いよいよ第3位です。

シルクロード ここからは不動なんですけど、まず3位が『アイシールド21』(稲垣理一郎:原作、村田雄介:作画/集英社)。アメフトが題材の漫画で、主人公と同じチームのヒル魔というキャラクターから、頭の切れる人間が上にいてメンバーを的確に動かすことができれば真の最強チームが作れるというのを学びました。僕もそうなんですけど、ヒル魔も情報収集をめちゃくちゃするんですよ。彼の戦い方を見て、僕も頭で戦えるようにならなければと思いましたね。

――そして、第2位、第1位は?

シルクロード この先は同率1位になるんですが、『SLAM DUNK』(井上雄彦/集英社)と『ONE PIECE』(尾田栄一郎/集英社)。僕はこれで作られていると言っても過言ではないですね! まず『SLAM DUNK』ですが、これを超えるバスケットボール漫画は出てこないと思っています。っていうかスポーツ漫画で最強ですよ。何を学んだかといったらバスケットなんですけど、他にも純粋であることの大切さですね。(桜木)花道がシュートフォームを録画したビデオを確認して「明日オヤジに聞いてみよう」ってつぶやく名シーンがあるんですけど、純粋な人ほど成長が早いんですよ。わからないことを素直に人に聞けるとか、そういう面を僕も持ち続けないといけないなって思いました。『ONE PIECE』からは仲間を作るってことですね。麦わらの一味ってキャラクターが全員違うし、人種の違いどころかガイコツがいたりトナカイがいたり魚人がいたり。そんなチーム普通はないと思うんですけど、それぐらい一見バラバラなやつらが手を取り合うことでめちゃくちゃ強くなったりする。自由にやるという部分もかなり影響受けています。

自由にやるという部分もかなり影響受けています

 

頭でっかちにならずに、行動することが大事

頭でっかちにならずに、行動することが大事

 

――将来、『全力少年ドモラ』に影響を受けました……という人もきっと出てくると思いますが、どういう人に読んでほしいですか?

シルクロード 小説を読み慣れてない人にもめちゃくちゃ読みやすいと思うので、文字を読むのがあんまり得意じゃないという人たちにも読んでもらいたいですね。この本の中では漫画みたいなことがたくさん起きているんですけど、「そんなことありえないよな」で終わらせるんじゃなくて、「自分にもありえるかも」って思えたらどんなことにでも挑戦できるんじゃないかなって。

――ご自分の半生に満足されていますか?

シルクロード 後悔はないですね。あるとしたら、学生時代に部活をもっとちゃんとやればよかったなってことなんですけど、それが今のYouTubeに生きているので……。どこかに「あのときもっとちゃんとやっていればもっと強くなれたのに」って気持ちがあるからこそ、じゃあ今死ぬほど努力したらどこまで行けるのか気になっていろいろ頑張れているところがあるから、それでいうと後悔はないんです。

――夢がある人はその夢を信じて突き進む勇気を、まだ夢が見つからないという人も焦らず目の前のことを全力で楽しめばいいとこの本が教えてくれますね。

シルクロード 頭でっかちにならずに、目の前のことに向かって行動することが大事だと僕は思うんです。先に効率を求める人ってたくさんいるんですけど、「これがやりたい!」って思ったことに素直に向かっていって、行動を起こしつづけていればそれがいつの間にか習慣になって、もっと上があるなと思い始めてから効率ってものが生まれると思っているので。そういう前進する勇気をこの本から受け取ってもらえたらうれしいです!

あわせて読みたい