汐入あすか「応援してくれるみんなの前で暗い顔は見せられません」【声優図鑑】

アニメ

公開日:2021/9/6

汐入あすか

 キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチニュースの恒例企画『声優図鑑』。第268回目に登場するのは、声優ユニット「サンドリオン」の紫担当として活動し、YouTubeやTVアニメで展開する『プラオレ!~PRIDE OF ORANGE~』ではオーディションで獲得した高木尚実役を演じるなど、お仕事の幅が広がっている汐入あすかさん。

ファンの間では「かわいいキャラ」と思われがちですが、自身が憧れるタイプは違っているようで!? 子どもの頃からの自信のなさが払拭されてきたという話や、お風呂上がりのアイスなどプライベートのエピソードも聞きました。

自分にはないものを求めているのかも

——ドイツ生まれなんですね。

汐入:はい。でも国籍は日本だし、生後1年もいなかったのでドイツ語は喋れないんですけど。小学生の時に一度だけ、生まれた街に行ったことがあって、住んでいた家と生まれた病院と、両親の思い出の地をぐるぐる回りました。

——そうだったんですね。声優に興味を持ったのはどんなきっかけでしたか?

汐入:母がお芝居好きで、小さい頃から観劇に連れて行ってもらったこととか、国語の授業で音読の順番が回ってくるのが楽しみだったりとか、そういうことから自分で表現することに興味を持って。でも自信がなくて、表に立つ姿が想像できなかったから、声だけでお芝居をすることに興味を持ちました。アニメも好きだったし、1人の声優さんが老若男女、幅広い役を演じているのはすごいな、とどんどんのめりこんでいって。

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——その頃に観ていたアニメの思い出は?

汐入:お兄ちゃんがいたので少年漫画系が多くて。5年生くらいからは友だちの影響で深夜アニメも観るようになりました。そこから中学生くらいまではピークで、容量いっぱいに録画してたので親に怒られてました(笑)。幅広く観ましたけど、『バクマン。』は初めて自分で買った少年漫画だったし、話の中に出てくる声優を目指す女の子のストイックさに憧れて、その子みたいになれるようにがんばろうっていう気持ちで観てたのを覚えてます。

——学生の時にはまっていたことはありますか?

汐入:勉強は嫌いだったけど、塾はがんばってました。中学で通っていた塾は、先生がすごく親身に寄り添ってくれて、友だちも仲が良くて、その頃だけは勉強が楽しかったですね。私、公立と私立の違いがわかってないくせに私立の高校に進みたいと言って、公立の学校専門の塾だったのに、私立に合格できるよう先生が親身になってくれたんです。大学受験の勉強に使う時間をお芝居を勉強する時間に使いたかったので、高校と大学との一貫校に進んで、高校と養成所でダブルスクールしてました。

——そこで初めて、念願のお芝居をしたんですね。

汐入:養成所の見学の時に母から言われたんですけど、そんなに楽しそうな姿を見たのは初めてだったそうです。私は緊張していてあまり覚えていないんですけど(笑)。お芝居って自分ではない誰かになれるので、こんな考え方もあるんだなって新しい発見があるし、キャラクターと一体になれる瞬間があって、それが楽しいです。

——自分のアピールポイントは、どんなところだと思いますか?

汐入:あんまりイメージないかもしれないんですけど、実は地下アイドルが好きだったりします。自分にはないものを求めているのかもしれない。本当は髪の色を明るくしてみたくて、2年前に一度だけオリーブっぽい色にして気に入ってたんですけど、やっぱり自分に似合うのは暗い色かなと思って、それからは暗めをキープしてます。

サンドリオンは、今の距離感のまま巻き込む人を増やしていきたい

——サンドリオンの活動が始まってから4年半。メンバーはどんな存在になってきていますか?

汐入:私はお兄ちゃんがいるし、養成所でも年下だったし、年下ポジションになることが多かったんですけど、サンドリオンはいい意味でそういう気遣いがなく、自然体でいられる環境だなってすごく思います。事務所に入ったばかりの頃は1週間毎日くらいの感覚で会っていたし、家族とは違うけど、普通の友だちでもないし、かといってお仕事だけの関係でもない特別な存在です。

——2017年の結成当初はどんな感じでしたか?

汐入:最初からなんとなく…メンバー同士が似ているところがちょこちょこあって、深く関わりすぎることなく、いい距離感をお互いに大切にしていたと思います。メンバー全員根暗で…。たとえばマネージャーさんから「全員集まったので話があります」と言われると、みんな「何かしたかな?」ってマイナスに考えちゃうんですよ(笑)。

—— (笑)。全員揃ってマイナス思考だからこそ団結力が高まりそうですね。

汐入:そうですね。だいたいリーダーの小山百代か、黒木ほの香が引っ張ってくれます。私が不安そうにしていると、小山が「あすかには笑っていてほしい」と言ってくれたり、黒木が直接的ではなく間接的に心が軽くなるようなことを言ってくれるので、すごく助かってますね。

——それぞれのやり方で励ましてくれるんですね。団結力が固まったサンドリオンで、これからどうなっていきたい?

汐入:去年10月のワンマンライブでも言ったんですけど、メジャーデビューしたいねって話を、ここ1年間はしていて。

——メジャーデビューを掲げると、パフォーマンスに向かう気持ちも変わってきますか?

汐入:私はサンドリオンの手作り感のある雰囲気が好きなので、急に大きく変わって、ファンの方とビジネスオンリーの関係になるのは好きじゃないんです。だから今の距離感を保ちつつ、もっと応援してくださる方を含めて巻き込む人を増やしていきたい。ファンの方も、スタッフさんとかお仕事で関わってくださった方にも、サンドリオンに愛情を持ってもらえるような存在になりたいです。

——『プラオレ!~PRIDE OF ORANGE~』は、10月からのアニメ放送の前に、YouTubeでも番組を配信していますね。

汐入:以前、音響監督の藤田亜紀子さんの別作品のオーディションで、いいところまでいったのに合格できなかったことがあったので、リベンジのつもりでオーディションを受けたんです。前回は自信のなさが出てしまったと思うから、今回は自信満々なフリをしようと思って。自分で決めたことを実行できたオーディションだったので、役が決まった時はやっぱり嬉しかったです。アイスホッケーの話なのでアイスホッケーをするのかなと思ったら、「YouTuberになってもらいます」と言われて(笑)。

——それでYouTuberに(笑)。演じる高木尚実役は、引っ込み思案でシャイな性格ということですが。

汐入:もともと「あすかみたいなキャラクターがいるから」と言われて受けたオーディションで、実際に似てるところがたくさんあるんですよ。台本で一番似てるなって思ったのは、尚実ちゃんがアイスホッケーを始めたきっかけです。私も似たような経験があったので。でも、引っ込み思案だけど自分の意志を周りにしっかりと伝えるところは、尚実ちゃんを見習っていきたいなと思います。

応援してくれるみんなの前では笑顔で

——プライベートについて伺います。よくコンビニで買うものは?

汐入:アイスはほぼ毎日買っていて、毎晩の楽しみです。アイスって年がら年中新商品が出るから、SNSとかで新製品の情報を集めてコンビニをはしごしたり。最近好きだったのは、DANDY ホワイトクランチチョコレート。チョコモナカってミルクチョコレートが多いのに、これはホワイトチョコのクランチなんですよ。コンビニで見つけて食べたら大正解でした。

——いつ食べることが多いんですか?

汐入:お風呂の後か、次の日に撮影があるような日は、お昼に食べます。お気に入りのアイスは5個くらいストックして、外に出ない日に食べたりとか。Twitterによく写真を載せるんですけど、同じアイスを求めて探し回ったっていうファンの子がいると、可愛いなって思います(笑)。

——可愛いですね(笑)。いつも寝る前にしてしまうナイトルーティンは?

汐入:なんだろう…。海外ドラマを一気見するのが好きです。先が気になったら、夜更かししてでも一気見しちゃいます。ドライヤーをかけながらとか、爪を切りながらのタイミングでも見ちゃいますね。最近はNetflixで観た『クイーンズ・ギャンビット』っていうチェスのお話がおもしろかったです。

——声優さん同士の交友関係はどうですか?

汐入:声優を目指している頃から、河瀬茉希ちゃん、松井南波ちゃんと仲が良くて。頻繁に連絡を取っているし、お仕事が決まったら「おめでとう」って言い合うような仲ですね。去年の自粛期間は、夜な夜な『どうぶつの森』で通信してました。松井南波ちゃんが「私の島で釣り大会があるから来ない?」って誘ってくれたので。

——心地良さそうな関係ですね。同じお仕事の仲間にいい友人がいて、お仕事の幅も広がってきて。子どもの頃にあった自信のなさは、払拭されてきたと思いますか?

汐入:そうですね。まだまだマネージャーさんから指摘されることもありますけど(笑)、サンドリオンの活動が始まってから少しずつプラスに考えられることが増えてきたような気がします。それに、自信がないような姿を応援してくれるみんなには見せられないじゃないですか。みんなには明るくパフォーマンスしているところを見てほしいし、実際にファンの子が見てくれるから自信を持ってステージに立てるというのはありますね。

——いろんな意味で、ファンの方の応援が自信を押し上げていると。

汐入:ありきたりな言葉ですけど、すごく支えられてるなって思います。Twitterのリプとか、どんなに小さなことでもありがたいし、元気をもらってます。サンドリオンのイベントで撮った写真でも、イベント前より後のほうがいい顔なんですよ。みんなにパワーをもらってるからだなって。

——素敵ですね。これから、どんな声優になっていきたいですか?

汐入:お仕事だからっていう感じではなく、一つ一つのキャラクターと作品に愛情を注いで、このキャラは汐入さんに任せたい、と思ってもらえるような役者になりたいです。ただお芝居やパフォーマンスを届けるだけでなく、応援してくださる方への感謝の気持ちも一緒に伝えられたらいいなと思います。声優として嬉しいお知らせができるように、もっともっと頑張りますので、これからもよろしくお願いします。

——汐入さん、ありがとうございました!

【声優図鑑】汐入あすかさんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

汐入あすか

汐入あすか(しおいり・あすか) スターダストプロモーション所属

汐入あすか(しおいり・あすか) Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト