気がつけば30歳目前…。そんな女性たち4人の悲喜こもごもを描く 『ひとりで生きるはままならぬ』作者・津野みぞ子さんインタビュー

マンガ

公開日:2021/9/15

 今が楽しければそれでいい。そう思ってなんとなく過ごしてきたけど、ふと気がついたら30歳はもうすぐそこ……。『ひとりで生きるはままならぬ』(津野みぞ子/オーバーラップ)はそんな同世代から多くの共感が寄せられている作品です。わかりみ満載の本作について、著者の津野みぞ子さんにお聞きしました!

ひとりで生きるはままならぬ
『ひとりで生きるはままならぬ』(津野みぞ子/オーバーラップ)

advertisement

――この作品はどのようにして生まれたのでしょうか。

津野みぞ子さん(以下、津野) 「女性のリアルなお悩み解決的なお話が書きたい」と思っていたところ、編集さんから「アラサー女子4人ルームシェアもの」のご提案をいただき、「素敵!描きたい!」と思ったところから誕生しました。私もアラサーな年齢になりこの年の時にしか描けないものを描きたいと思ったこともきっかけです。

ひとりで生きるはままならぬ

ひとりで生きるはままならぬ

――主人公の前田しゅう子と、彼女とシェアハウスをしている松木瑛香、川瀬田みさき、桃山志緒。この4人のキャラクターはどのように生みだしたのでしょうか。

津野 「アラサー女子4人ルームシェアもの」というテーマから、日頃から悩みがちな「生活」「仕事」「結婚」それぞれに焦点を絞ってキャラクター像を考えた結果、この4人が生まれました。瑛香は「仕事」、みさきは「結婚」、志緒は「生活」、に絞ってキャラクターを作りました。そんな濃い性格の3人に囲まれた主人公のしゅう子は、読者に一番近いところに立つキャラクターと意識して描いています。

ひとりで生きるはままならぬ

――4人の個性がバラバラで、でも魅力的で、誰かに自分を投影したくなります。先生に近いのはどのタイプでしょうか。

津野 魅力的と言っていただけて嬉しいです、ありがとうございます!ネット通販で散財しちゃう点では、桃山志緒ちゃんタイプですね……(笑)。ただ志緒ちゃんの、自分の思うままにマイペースに生きている姿や、悩むならとりあえずやってみるという考え方は「すごいなあ」と感じています。憧れですね。

ひとりで生きるはままならぬ

――この4人の物語を描いていく中で、気を付けていることや、難しいと感じることを教えてください。

津野 4人のお話を同時に進めているため、1話に対してどれくらいのお話を入れるかを決めるのが難しいなあと毎回感じています。4人とも性格もやりたいこともバラバラだし……。悩んだり突き進んだりで、キャラクターの描きわけも楽しい半面、難しいと感じます。少しでも疑問に思ったら、一度立ち止まって考えたり、編集さんと相談したりしていますね。

――合間合間に出てくる料理が、登場人物だけでなく、読んでいる私たちの心もほっとさせてくれる気がします。料理を描くことにこだわりや意図はあるのでしょうか。

津野 嬉しいお言葉をありがとうございます! 私自身食べることが好きなので、料理は美味しそうに見えなきゃと、毎回気合を入れて描いております(笑)。そんな料理の描写でほっとしていただけたならとても嬉しいです。

ひとりで生きるはままならぬ

――おいしい料理があると、しゅう子たちのように会話も弾みますよね。さて4人それぞれのもとに登場する男性がいますが、どのような位置づけとして描かれているのでしょうか。

津野 4人それぞれの何か気づきや成長につながるようなタイプの男性陣を描いています。4人の個性に負けないくらい、それぞれ印象に残るキャラクターになれるように意識して描いていますね。

ひとりで生きるはままならぬ

――コミックス1巻が8月に発売しましたが、先生の印象に残っているエピソードを教えてください。

津野 お話とは異なるのですが……。コミックス1巻の校正作業中に、無意識に各話で必ず食べ物を描いていたことにかなり驚いたことが印象に残っています(笑)。本当に無意識で描いていたんです。私って食べ物描くの好きなんだ……と新たな気づきを得ました(笑)。

ひとりで生きるはままならぬ

――言われてみると確かに!料理に注目して読み直したくなりました(笑)。また、コミックス1巻には描き下ろしも収録されていますが、どのような内容として描かれましたか。

津野 本編では描き切れなかった4人のシェアハウス生活の日常を1ページ漫画形式で描いています。しゅう子は恋活用写真撮影を面倒くさがる様子や瑛香の食生活、みさきの作曲方法、志緒の家庭菜園などなど。本編で少しだけ登場した志緒の彼のお話もあります。どれもサクッと読めますので、是非ご覧ください!

――本編はこれからどのようなストーリーを検討されていますか。

津野 1巻では4人の現状や思いを描いてきましたが、今後は各々がどう感じてどう進んでいくかを描いていきたいと思っています。しゅう子は南坂さんと出会ってからその後のこと、瑛香は大きな仕事前にかなり忙しそうで、みさきも木田とあまり上手くいっていない様子……。そんな3人を見守る志緒は、元クライアントさんのお話も進んでいきます。今後の4人を見守っていただければと思います。

――最後に、作品を応援してくれている方、これから作品を読まれる方に向けてメッセージをお願いします!

津野 この頃「学生の時はこんな悩みなかったのにな~」と思ったりすることが多々あるのですが、同世代の友人達と話してみると実は同じ心境の人がたくさんいたりして、驚きでもありました。そんな悩みをもつ方々にとって、4人の物語を通して新たな気づきや発見があるような作品にしていきたいと思っていますので、これからも楽しんでいただけると嬉しいです!

ひとりで生きるはままならぬ