大型メディアミックスプロジェクト『takt op. タクトオーパス』が始動!朝雛タクト 役 内山昂輝インタビュー

アニメ

更新日:2021/10/6

takt op.Destiny
TVアニメ『takt op.Destiny』テレビ東京系6局ネット・BSテレビ東京にて、10月5日より毎週火曜24時より放送 (C)DeNA/タクトオーパスフィルハーモニック

芸術の秋にふさわしい、音楽を題材にした大型プロジェクトが始動! 『takt op.』は、クラシックの名曲をモチーフにした儚くも美しい物語。10月からTVアニメ『takt op.Destiny』が放送され、スマートフォンゲーム『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』も配信が決定している。主人公・朝雛タクト役の内山昂輝さんのインタビューをお届けしよう。

(取材・文=野本由起 撮影=山口宏之)

回を追うごとに顔を変えていく物語

内山昂輝さん

 ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」、マーラーの交響曲第1番「巨人」。そんなクラシックの名曲が、もしも少女の姿になったら──。『takt op.Destiny』は、クラシック音楽をモチーフにした少女たち「ムジカート」が戦いを繰り広げるTVアニメ。大ヒットゲーム「サクラ大戦」シリーズを手掛けた広井王子氏を原作者に迎え、壮麗なドラマを描き出している。

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「音楽を題材にしたアニメやゲームはたくさんありますが、クラシック音楽をテーマにした作品は珍しいですよね。変わった企画だなと新鮮に受け止めましたし、オリジナル作品ならではの醍醐味も感じました。小説やマンガを原作にしたアニメは、演じるにあたって『読者はこの役にどんなイメージを抱いているんだろう』『アニメに期待されているのはどんなことだろう』と、シンプルに演じることに加えて考えるべき要素が増えます。でも、オリジナル作品は明確な答えがないので、スタッフのみなさんと一から作品を作り上げていくことができるんです」

 内山昂輝さん演じる朝雛タクトは、ムジカートを指揮するコンダクター。音楽を禁じられた世界で、ピアノを愛してやまない少年だ。

朝雛タクト
朝雛タクト
CV:内山昂輝
ムジカート「運命」と契約したコンダクター。「音楽は全てにおいて優先される」との考えを持つ。

「音楽に対して強いこだわりを持つタクトは、ピアノを存分に弾けない現状に対して憤りと悶々とした気持ちを抱いています。一見するとクールな主人公に見えますが、けっこう毒舌だし、不平不満を表に出していくタイプなんですよね。感情の変化がわかりやすいので、自然に表現できました」

 第1話では、異形の怪物「D2」と戦いながら、車でニューヨークを目指すタクトと運命、アンナの姿が描かれる。

「第1話は圧巻のアクションシーンで、先の展開からも目が離せない作品だなと思いました。いきなり大変な事態が起こるので、僕もびっくりしました。突然旅が描かれて、新しいキャラクターが登場して。作品がどんどん顔を変えていくので、この先どうなるんだろうと僕も毎回楽しみにしています。第1話はロードムービーのようですが、この先にはまた違う展開も待っています。実は僕も先ほど話を聞いて『え、そうなんだ!』と驚きました(笑)」

コンダクターとムジカートがともに戦うバトルシーンも圧巻。タクトはただ指揮棒を振るだけではなく、ムジカート「運命」の力を引き出しながら戦うことになる。

「バトルでは、タクトが肉弾戦に挑むのかというとそうではなくて。指揮棒を動かしてムジカートと意思を交わし合うという、独特の戦い方なんですよね。タクトの動きに合わせて息遣いを乗せていくのですが、アニメならではの誇張した表現も取り入れつつリアリティも出せるよう毎回試行錯誤しています」

 パートナーとして描かれるコンダクターのタクトと、ムジカート「運命」。それぞれの成長や関係性の変化にも期待が高まる。

「とある事情で『運命』とともに戦うことになったものの、タクト自身もまだ彼女とどう接していいか測りかねています。でも、必要に迫られて彼女と一緒に戦わざるを得ない。自分の思いをどう落ち着けていいのかわからないまま、刻一刻と状況が変化しているという感じです。現状、目の前にいる『運命』にどんな感情を抱いていいのか正解が見つからないという戸惑いを、そのまま表現しています」

運命
運命
CV:若山詩音
L.V.ベートーヴェン『交響曲第5番ハ短調Op.67』――『運命』をその身に宿したムジカート。

 完成した映像の迫力には、内山さんも圧倒されたそう。

「いやもう、すごい映像だなという感想に尽きますね。今アフレコを進めているエピソードも、バトルやアクションはもちろん、キャラクターの表情の変化やしぐさまで情感豊かに表現されているんです。声をあてる立場としてはとても演じやすくて。僕らがキャラクターを作りあげる工程は、アニメーターをはじめとする制作スタッフとの共同作業です。キャラクターの動きや表情の変化を見て、『こう演じたらどうかな』とお互いに歩み寄っていく作業なので、完成度の高い映像を作っていただくとモチベーションもさらに上がります。本当にありがたいですね」

ロックもポップスも元をたどればクラシック

 タクトは音楽を愛してやまない少年だが、内山さん自身はどんな音楽に親しんできたのだろう。その音楽遍歴を聞いてみると……?

「親が大学時代にバンドを組んでいて、子どもの頃からAOR系の音楽を大音量で聴かされ続けてきました。当時のサークル仲間が出演するライブハウスにも連れて行かれましたね。でも、子どもって大きい音が苦手じゃないですか。だから、もう嫌で嫌で(笑)。あとは母親の意向で、中高生くらいまでピアノも習っていましたが、やる気もないのでさほど上達もしなくて。全然ダメでしたね」

 だが、高校生になると、自分の意思で音楽を聴き始めるようになったという。

「CDをレンタルして、どんどん自分の趣味に合う音楽を掘っていきました。日本のバンドだったら、くるりが一番好き。そこから同時期にデビューしたアーティストをたどったり、小沢健二さんにハマって、フリッパーズ・ギターとかCorneliusもひと通り聴いたり。そんな風にあらかた掘り終わったところで、違う趣味に興味が移っていきました。今はそこまで音楽好きとは言えないですね」

 ちなみに、クラシックを聴くことはほとんどなかったそう。

「普通の人……いや、普通の人以下の知識しかありません(笑)。難しそうだな、1曲が長いなというくらいの印象でした。でも、音楽をいろいろ掘っていく中で、ロックやポップミュージックの手法の源流がクラシックにあると多くの人が言っていて。今後さらに音楽を掘っていくなら、クラシックにも手を出すことになるだろうな、と」

 この作品に携わったこと、そして自宅に新たな機材を導入したことで、あらためてクラシックへの関心も高まっているとか。

「最近、いくつか音響機材を買い揃えたんです。自分の声を録音するためのコンデンサーマイクとか、それをパソコンにつなぐためのオーディオインターフェイスとか。オーディオインターフェイスを挟むと、録音だけでなく再生の音質も抜群に良くなるんですよね。そうなると楽しくなって、ちょっといいヘッドフォンも買ったりして。こういう機材を活かせる音楽となると、やっぱりクラシックかジャズ。良質な音を鳴らせる環境が整ったので、クラシックも聴いてみようかなという気持ちが高まっています」

 クラシック楽曲の奥深い魅力、流麗なバトルアクション、そして先の読めないストーリー。さまざまな要素が融合された『takt op.Destiny』を、内山さん自身も楽しみながら演じている。

「第1話の時点では、どういう作品なのかつかめない方もいると思います。でも、それは当然のことですし、実を言えば僕もそうでした(笑)。第2話以降では、ストーリーはめくるめく展開を見せていきます。ですから、振り落とされずに最後まで見続けてください。僕自身も、どこに着地するのかワクワクしています」

内山昂輝
うちやま・こうき●1990年生まれ、埼玉県出身。劇団ひまわりに所属。主な出演作品にアニメ『機動戦士ガンダムUC』(バナージ・リンクス役)、『呪術廻戦』(狗巻 棘役)、『月とライカと吸血姫』(レフ・レプス役)など。

TVアニメ 『takt op.Destiny』

テレビ東京系6局ネット・BSテレビ東京にて毎週火曜深夜0時から放送中
原作:DeNA・広井王子 監督:伊藤祐毅 シリーズ構成:𠮷村清子
キャラクター原案:LAM キャラクターデザイン:長澤礼子
制作:MAPPA×MADHOUSE 声の出演:内山昂輝、若山詩音、本渡 楓、伊藤美来 ほか
異形の怪物「D2」を引き寄せてしまうため、音楽が禁忌とされる近未来。クラシック楽曲の力を宿した「ムジカート」たちは、音楽の力で「D2」と抗争を繰り広げていた。コンダクターとしてムジカート「運命」と契約した朝雛タクトは、指揮棒を手に「D2」を迎え撃つ。

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