金子大地さんがおすすめする1冊は 「不器用で損をする……そんな人たちを肯定してくれる物語」

あの人と本の話 and more

更新日:2022/1/4

金子大地さん

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、金子大地さん。

(取材・文=松木智恵 写真=諸井純二)

 スーパーで働く平凡な中年男性・伊澤春男の日々を描いた、つぶやきシローの小説『私はいったい、何と闘っているのか』。金子大地さんは読み終えた後、主人公を「弱き者たちのヒーローだ」と感じたという。

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「つぶやきシローさんは相当頭が良くて、きっとすごく優しい人なんだろうなと思いました。主人公が素敵なんですよね。生き方はきっと不器用だろうけど、すごく真っ当で。こういう思いやりがあって気を使う人こそ損をしがちですし、僕も含めて世の中の人は大体、自分のコンプレックスや性格に対して『ここが嫌だ。何でうまく行かないんだろう』って悩んでいると思うんです。この本はそういう人たちを肯定してくれる物語になっていると思いました」

 人助けだと思ってしたことが、結果的に自分の首を締めてしまう伊澤。全て黙って受け入れる彼は家族だけには本音を打ち明け、家族もそんな彼を全て受け入れる。

「主人公の家族がみんな、なんだかんだ言いつつ優しいのがいいんです。僕の家族も昔から対等に話してくれて、この仕事をやりたいと言った時も『いいんじゃない?』と背中を押してくれました。肯定してもらえたことに感謝しています」

 現在配信中のHuluオリジナル『未来世紀SHIBUYA』では、2036年に生きる孤児の主人公ミツル役を演じている金子さん。動画配信サイトの「WeTuber」として活動し、友と共に人生逆転の一攫千金を狙う。

「ミツルは、とにかく純粋で明るい人。演じる時は毎回ギアを上げてなければならない作業は新鮮でした。自分から出たことのないようなセリフの言い回しも多くて、ここまで苦戦した演技は初めてかもしれないです…。僕の中では相当、攻めた役になっていると思います」

 監督はホラージャンルで根強いファンを持つ白石晃士。全てスマートフォンで撮影し、白石監督が自ら全編カメラを回したという。

「衣装も全て白石監督のアイディア。36ページ分の1シーンを1カットでやると言われた時は、さすがにビビりました(笑)。白石監督がニコニコしながら『覚えてきてくださいね!』って言うんです。演じるのには体力が要りましたが、これを乗り越えたら何か見えるものがあるはずだと思って臨みました。作品自体は気軽に見られる内容だと思うので、本当にYouTubeを見る感覚で楽しんでいただきたいですね」

ヘアメイク:吉田太郎(W) スタイリング:千野潤也(UM) 衣装協力:シャツ4万4000円(ユウキ ハシモト/サカス ピーアール TEL03-6447-2762)(税込)

かねこ・だいち●1996年、北海道生まれ。近作に映画『猿楽町で会いましょう』『サマーフィルムにのって』ドラマ『#家族募集します』など。映画『私はいったい、何と闘っているのか』が12月17日に、映画『Pure Japanese』が2022年1月28日に公開。ドラマ『しもべえ』、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』への出演も決定。

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Huluオリジナル『未来世紀SHIBUYA』

Huluオリジナル『未来世紀SHIBUYA』

監督:⽩⽯晃⼠ 出演:⾦⼦⼤地、醍醐⻁汰朗、篠原悠伸、Hina/藤森慎吾、宇野祥平 Huluにて全話配信中 
●舞台は2036年のシブヤ。ミツル(金子大地)とカケル(醍醐虎汰朗)、カメラマンの田中(篠原悠伸)は、〈正義マン〉としてスラム化した裏シブヤで活動する動画配信「WeTuber」のユニット。3人は人気WeTuberとなることを夢見ていた。そんなある日、女性のマネキンを抱えた通称マネキンおじさん(宇野祥平)に遭遇。そこから彼らは、不可解な事件に巻き込まれていくことに――。
(c)HJホールディングス