『劇場版 呪術廻戦 0』キャストインタビュー 乙骨憂太役・緒方恵美さん

アニメ

公開日:2022/1/10

ダ・ヴィンチ 2022年2月号

出版社:
KADOKAWA
発売日:
緒方恵美さん

 映画化が発表されるなりファンの間で話題騒然となったのは、“乙骨憂太を誰が演じるのか”。そしてその名が発表されたとき、SNS上では凄まじい歓声が巻き起こった。呪いと化した里香に憑かれ苦しんでいた乙骨の“愛と呪いの物語”のさなかで、乙骨憂太その人になりきった緒方さんが、感じとっていたこととは――。

(取材・文=河村道子 写真=山口宏之)


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「この人の芯はどこにあるのか」乙骨憂太に感じた“わからなさ”

「なぜ突然、私に?」

 原作者・芥見下々が思い描くイメージを受け、監督をはじめ、アニメスタッフ満場一致だったという乙骨憂太役のオファー。「これほど大きな作品の主人公役は普通ならオーディションがあるだろう。どうして私に?」という驚きと戸惑いのなか、緒方さんは原作コミックスのページを一心にめくっていったという。

「骨太なストーリー、そのセンターがしっかりしている、すごく魅力的なお話だと感じました。さらに劇場版の原作『呪術廻戦0 東京都立呪術高等専門学校』は、『呪術廻戦』よりも先に短期連載されていたとお伺いし、本編が始まる前からこれほどみんなキャラクターが立っていたのかと。素晴らしいなと感じました」

 ひとりの読者として夢中になったストーリー。だが自身が演じる乙骨憂太の目線で読み返してみたとき、緒方さんのなかに生じてきたのは「この人の芯はどこにあるんだろう?」という“わからなさ”だったという。

「微妙なことで成立しなくなるキャラクターのように感じました。成長の過程を描いたものであるということを考慮に入れても、乙骨はシーンごとの印象がすごく違う。この間まであんなことを言っていた子が、なぜここでこの言葉が言えてしまうんだろう?とか。どんなキャラクターにもすべてのセリフやシーンをつなぐ線があるのですが、乙骨はそれがすごく微妙なラインで、いろんな方向に行く可能性を持っていた。どこを芯にすれば、この人を成立させられるかということを探るのが大変な人物だなと思いました」

『劇場版 呪術廻戦 0』
©芥見下々/集英社 © 2021「劇場版 呪術廻戦 0」製作委員会

「“芯を持つ”ということは、その人になるということ」。この言葉はきっと声優・緒方恵美、その人を表しているのではないか。乙骨憂太となるべく臨んでいったのは、「演じていくなかで見つけること」。

「役にどうアプローチしていくかということより、他のキャストの皆さんとの掛け合いのなかから見つけていったところが大きかったですね。自分の心が動くままに。呪いと化した里香の存在についても、私自身がどう捉えるかではなく、里香を演じる花澤香菜さんの芝居、そこから出てくるものを受け止めることで感じとっていきました。乙骨にとって里香の存在とはただひと言、呪縛だと思います。その言葉からイメージされるネガティブな面だけではない、いろんな意味での」

“愛ほど歪んだ呪いはないよ”。それは乙骨が“僕は呪術高専で里香ちゃんの呪いを解きます”と宣言する直前に、五条 悟が放った言葉だ。

『劇場版 呪術廻戦 0』

「愛情というものは本来、呪いのようなものだと思うんです。たとえば結婚も契約ではあるけれど、ひとつの縛りであり、呪いのようなものじゃないですか。そこでは日々の生活のなか、相手に対し、“こういう風にあってほしい”という思いも生まれる。“一緒にいたい”と好きな相手に言うことだって、もうある種の呪縛。ただ、縛り、縛られるということは決して悪いことじゃない。こうしてほしいとか、こうなってほしいとか、自分勝手に相手に何かを押し付けているときは悪い面が出てきてしまうけど、相手のことを考え、その立場に心を寄せれば、その縛りは人と人との関係を良好にしていく。呪縛を良くするのも、悪くするのも自分次第なのではないのかなと思います」

 そして“自分次第”は、緒方さんが乙骨を演じるなかで見出したキーワードでもある。

続きは雑誌『ダ・ヴィンチ』2022年2月号で!

緒方恵美
おがた・めぐみ●東京都生まれ。声優・歌手。1992年、アニメ『幽☆遊☆白書』蔵馬役でデビュー。社会現象となった『新世紀エヴァンゲリオン』碇シンジ役をはじめ数多くの作品に出演し人気を博す。歌手としても楽曲リリースやライブ活動を精力的に行う。著書に初の自伝『再生(仮)』。

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KADOKAWA
発売日:
ISBN:
4910059870225