「スーパー猫の日」記念! 人気猫コミックエッセイ作家3名による、猫愛ダダもれ対談を開催!

マンガ

公開日:2022/2/20

 今年の2022年2月22日は2(ニャン)が6つも並ぶ「スーパー猫の日」! そこで今回は3名の人気猫コミックエッセイ作家さんの対談を開催。『茶トラのやっちゃん』シリーズの類さん、『黒猫ろんと暮らしたら』シリーズのAKRさん、猫の日に『ねこ連れ草 うずらとかんたろう徒然ニャッ記』を刊行する仁子さんに、猫漫画執筆の裏話や作品作りへの思いについてお話ししていただきました。


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――まずは、皆さんの経歴について教えてください。

:地元の造形大学を卒業し、7年間印刷会社でデザイナーとして働いていました。現在は会社を辞め、フリーランスとして漫画やイラストを描いています。

AKR:大学は芸術系列の学部でデザインを学んでいましたが、現在はフリーでWEB系システムを構築する仕事をする傍ら、SNSで「ろんの絵日記」を更新しています。

仁子:大学で心理学を学びながら美術の通信教育を受講していました。卒業後はアルバイトしながらイラストの売り込みをして、徐々にイラストメインにシフトチェンジしていった感じです。普段は「ねこのきもちWEB MAGAZINE」(株式会社ベネッセコーポレーション)にて『ねこ連れ草』の連載と、児童書の挿絵や教材のイラスト制作などをしています。

猫連れ草 うずらとかんたろう徒然ニャッ記
『猫連れ草 うずらとかんたろう徒然ニャッ記』より

――皆さん、多種多様な経歴をお持ちですね。イラストは昔から描かれていたんですか?

:小さい頃から絵や漫画を描くのが好きで、ずっと趣味で描いていました。高校では美術部に入ったり、大学では似顔絵のバイトや同人誌を描いたり……常に何か描いてました。似顔絵のバイトでは、一日に30人くらい描いたこともあります!

――今のお仕事につながっている部分もありますね。動物のイラストは昔から描かれていたんですか?

:大学生くらいまでは、飼ったことのあるラブラドール、クサガメ、ジャンガリアンハムスターなどをちょこっと描く程度でした。猫は、お迎えするまでほぼ描いたことがなかったので、猫漫画を描いて暮らしている今の生活が時々不思議に思えたりします。

仁子:私も子どもの頃から生き物を描くのが好きでした。観察日記や図鑑のようなものを書いたり。猫漫画を描き始めたのはねこのきもちWEB さんから、「猫漫画を連載する企画があるので描きませんか?」とお誘いを頂いたのがきっかけです。

猫連れ草 うずらとかんたろう徒然ニャッ記

AKR:私も昔からたくさん描いていました。ただ、イラストを描くのが好きというよりも元々メモ魔な子どもだったので、「文字でメモするより絵で描いた方がわかりすいじゃ〜ん!」という感覚で描いていたように思います。図解目的のイラストって感じですね。

メモ好きが高じて、ろんとの日々をしっかりした形で残そうと思って始めたのが「ろんの絵日記」です。

――そうだったんですね。ちなみにメモはデジタルとアナログ、どちらでされるんですか?

AKR:スマホに毎日あったことをメモしています。アナログでもメモしますよ。ノートは1年で20冊くらい消費してしまいます。日記とイラストをメモするのですが、イラストがあるせいで1日5ページとか使うこともあります。小学校からの習慣です。

仁子:それはすごい! 私もメモはとりますが、4年間で小さいノート1冊埋まってません(笑)。しかも短文で書くので、後から見返すと解読不能なこともあります(笑)。

AKR:後で見返すと本人もわからない……メモあるある(笑)。

:私は、メモはあんまり得意じゃなくて、写真や動画をこまめに残すようにしています。運良く覚えていたことはふせんに描き殴って保管していますが、おふたりに比べると少ないと思います。

茶トラのやっちゃん
類さんのネタが描かれたふせんメモ。

――スマホのデータ量すごそうですね。

:クラウドまでパンパンなので、microSD何枚も買ってます!

AKR:私もすぐに写真がいっぱいになってしまうので、クラウドに課金して容量を増やしてますよ。カメラロールはひたすら(ろんの色で)真っ黒です(笑)。仁子さんの家にも黒猫のうずらちゃんがいますし、カメラロール真っ黒なのでは?

仁子:実は暗闇であまり撮れなくて……。うちの猫たち写真察知が鋭いので、カメラを向けると後ろを向いてしまいます。寝ているところは撮れるのですが、どうしたら起きているところを上手に撮れるのかが悩みです。

:それは家もですよ! お迎えして半年くらいは「それ(スマホ)なに?」って感じでカメラ目線くれるのですが、大きくなると嫌がっちゃいますね。

なのでシャッター押すまではスマホと私の目線を猫から外して、「撮るつもりじゃないよアピール」をしたり、シャッター音を消したり、口から変な音を出して気を引いたり……色々工夫しています。ろんちゃんは撮影に協力的なんですよね?

AKR:ろんはカメラを向けると動かず撮らせてくれますね。でも黒猫なので背景と同化してしまうのはどうにもならず……。いろんな角度から撮りまくっています。

黒猫ろんと暮らしたら
『黒猫ろんと暮らしたら③』より

黒猫ろんと暮らしたら
『黒猫ろんと暮らしたら③』より

ねこ連れ草 うずらとかんたろう徒然ニャッ記

――皆さん、苦労しながら奇跡の一枚を撮られているのですね。では、猫漫画を描く上で苦労している点は?

仁子:私は漫画を描き始める上で、まず悩んだのがコマ割りですね。読むのと描くのは全然違いました。ねこのきもちWEBの担当さんにアドバイスを頂きながら。大好きな猫の話だったので楽しみながら試行錯誤することができました。

:私は、大体毎回1コマはリアルな描写を入れるようにしているので、忙しい時だと「何でこんなルール作っちゃったんだ!」って思うことがあります(笑)。

モノローグの文章を書くのにも四苦八苦しますね。主語が大き過ぎないか、面白さを優先しすぎて読者の方を嫌な気持ちにさせないかなど、表現の仕方には注意しています。

茶とらのやっちゃん
『茶とらのやっちゃん』より

AKR:私は3コマに収めるのに苦労していますね。4コマ漫画より1コマ少ないので。

仁子:それ気になってました!なぜ4コマではなく3コマなんですか?

AKR:4コマだと、4コマ「漫画」って感じを受けると思ったので、これは漫画じゃなくて絵日記だよ〜!という主張?のために3コマにしました。あとは、オリジナリティが出るかなと思って。あのフォーマットだと、私の絵日記だってすぐわかって頂けるんじゃないかな〜と思って、統一しています。

黒猫ろんと暮らしたら
『黒猫ろんと暮らしたら』より

――あのフォーマットはそこまで計算されて作られたものだったのですね。では皆さん、猫ちゃんのキャラはどのように作られたのですか? 特に、複数猫を飼っていると描き分けが大変なのでは?

仁子:うちは、2匹の性格がまったく違うのでけっこう簡単です! おおらかなかんたろうはマズルをふっくら描いて口角を上げるように、神経質なうずらは眼光を鋭く、口元をちょこんとさせるなど性格が見た目から伝わるようにデフォルメしました。

ねこ連れ草 うずらとかんたろう徒然ニャッ記

ねこ連れ草 うずらとかんたろう徒然ニャッ記

AKR:『ねこ連れ草』カバーの2匹のイラストの時点で、お顔の描き分けがすごいですよね。

:対象的な2匹の特徴がとてもわかりやすいですよね。私もあのカバー大好きです。

仁子:いえいえ、類さんは同じ茶トラの描きわけすごいですね!

:そうですね、ちーちゃんをお迎えした当初は小さく描いておけば差別化できていたのですが、少し大きくなってきたら2匹が似てきたので「どうしよう!」って思いながら毎日キャラデザインを練っていました。

ちーちゃんは洋猫の血も入っているみたいでセミ長毛なので、全体的にムチモコ感を強調して描いてます。同じ茶トラでも色味や模様の出方や骨格も違うんですよね。

「どちらかにしかないものは何か」を考えてキャラクターに落とし込んでいます。

根がオタクなので、無意識に人間に例えてるというのはあるかもしれません(笑)。

茶とらのやっちゃんとちーちゃん
『茶とらのやっちゃんとちーちゃん』より

AKR:私は、キャラデザは全くの行き当たりばったりですね(笑)。元々、SNSに漫画を描いて投稿しよう!と思って書いたものではなかったので……。

黒猫ろんと暮らしたら
『黒猫ろんと暮らしたら』より

仁子:行き当たりばったりであんなにキャッチーなイラストを描けるなんて凄いです……!

類さんは、鳴き声とか擬音の表現が特徴的なのですが、どうやって決めてますか? とても豊かで面白いです!

:恥ずかしいんですけど、猫が話しかけてきた時に同じ鳴き声をマネして返すっていう遊びを毎日やっています(笑)。「プルンパン」とか「パップ……」とか。動画に残して音声をリスニングする時もあります! 我が家の猫たち、総じて声が高いので、プルンプルン鳴いてます(笑)。

ちーちゃんは濁点混じりの声も多いかな? 「ブワン」とか。声に出せないオノマトペですが、フィーリングで理解してくださる方が多くてありがたいです!

茶とらのやっちゃん
『茶とらのやっちゃん』より

――類さんの使う擬音語については編集部でも話題になっていました。

:ありがとうございます! 絵や漫画でしか伝わらない瞬間もありますよね。そういうのを読者の皆さんにお届けできたらいいなと思って描いてます。

仁子:写真やメモだけでは記憶からこぼれ落ちちゃいますもんね。ちっちゃくても楽しい出来事が山盛りなのに。私も猫漫画を描き始めて、猫と暮らす面白さと奥深さをより感じるようになったので、それが伝わればいいなと思っています。

AKR:私も、ろんと過ごしながら癒されたり幸せだと思う気持ちを表現したいと思いながら描いてます。読んでくださった皆さんにもそんな幸せな気持ちが伝わったらうれしいです。

――皆さんが猫漫画を描かれる上での工夫や苦労、猫ちゃんたちへの愛情を強く感じました。本日は楽しいお話をありがとうございました。では皆さん、よい猫の日をお過ごしください!

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