五十嵐雅「面白がれるものに忠実であることが役者業に還元されています」【声優図鑑】

アニメ

公開日:2022/3/7

五十嵐雅

 キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、ダ・ヴィンチWebの恒例企画『声優図鑑』。第283回目に登場するのは、『KING OF PRISM』鷹梁ミナト役、『A3!』シトロン役などを演じる五十嵐雅(いがらし まさし)さんです。

役者の他にも、独自のプロジェクトやイベントを立ち上げるなど、一ヶ所にとどまることなく活動を続ける五十嵐さん。そこにはどのような想いがあるのでしょうか? アニメ、舞台、落語など、これまでの活動を振り返りながら、プライベートやこれからの展望などをうかがいました!

自分が面白がれるものに忠実でありたい

——最近は、音楽プロジェクトやコントユニットなど役者以外のお仕事も目立っていますね。

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五十嵐:いろいろやらせていただいていますね。この前も、主宰しているオドルンパッ!企画の第3回公演で、音楽やアナウンスを自分で編集したり、スタジオを借り切って撮影したりして、納得がいくまで作り込みました。役者と同じで100%は難しいけれども、80点満点中60点は取れたかなと。でも餅は餅屋で、プロの技術はなかなか超えられない。基本は役者なんだとつくづく気付かされます。それでも、自分自身が面白がれるものに忠実でありたいし、モノづくりがしたいんですよね。いずれはこの経験が役者に還元されていくと思うし、いつかは道が1本になるはずだと思いながらやっています。

——いまは、その道を見つけている最中ということでしょうか。

五十嵐:そうですね。音楽編集にしてもスタジオ撮影にしても、作品作りのひとつの道具であって、それをいま磨いているんだろうなと思います。過程が一通りわかっていれば、これから自分でキャスティングして作品づくりをすることがあったとして、アイデアが生まれやすいと思うんですよ。スタッフさんのやり取りで心遣いもできるだろうし。作品のベースってスタッフ力がすべてだと思うので。

——作品というと、目指すところはどんなジャンルですか?

五十嵐:僕自身が小劇場から役者を始めているので、舞台のようなライブ空間は好きですね。お客さんの声を肌で感じられる場所でエンターテイメントを作っていきたい。いま、僕のすべての気持ちを汲み取ってくれて、なおかつプラスのアイデアを生んでくれるようなチームが出来上がりつつあるんですよ。これから、さらに一段階上がったところで面白いことを作っていきたいなと思ってます。ひとつの作品から、またさらにご縁が広がっていくので、そういうご縁をどんどん繋いでいる最中ですね。

運命の起点となったキンプリ、芸を磨く技を学んだ落語

——セルフプロデュースユニット『おこさまブランチ』には、声優の寺島惇太さんも参加されています。

五十嵐:そうそう、惇ちゃんは僕の声優デビュー作である『KING OF PRISM by PrettyRhythm』(以下、キンプリ)からの付き合いで。舞台挨拶みたいなイベントでも2人でコンビを組むことが多かったし、息が合うなと感じていて。やっぱり信頼していますし、惇ちゃんがいてくれると安心ですね。

——キンプリから始まったご縁だったんですね。

五十嵐:惇ちゃんみたいな人たちとのご縁もそうだし、キンプリがあったからこそファンレターをいただけるようになって、仕事として役者を続けていけるようになりました。まさに僕の役者人生の運命を変えてくれた、起点となった作品だと思っています。オドルンパッ!企画の『全身全霊!オドルンジャー』も、キンプリをリスペクトしたボイスアクションショーなんですよ。応援上映というムーブメントは一つのお祭りで、本当に楽しかったですから。

——村上喜紀さん、横井翔二郎さんと一緒に出演された朗読劇でした。

五十嵐:お客さんたちに好きなタイミングで鳴り物を鳴らしていただくんですけど、応援上映のスタイルをとりながらも、ここまで鳴り物を鳴らすステージって他にはあまりなかったなと。新しい価値を見つけられた気がします。

—— 『A3!』でも、声のお芝居にイベント出演と幅広く活動されています。

五十嵐:僕は春組の所属なんですけど、やっぱり結束が強いし、大好きなんですよ。ファンミーティングイベント『A3! THIRD BLOOMING FESTIVAL』でも、自分の回が終わってからLINEグループで、次の日のメンバーに「がんばってくださいね」と声を掛け合ったりとか。キンプリをきっかけにさらにご縁が広がって、A3!でもまた違った人のつながりができていきましたね。

——『声優落語天狗連』では落語に挑戦されていますね。

五十嵐:ちょうど落語を始めたいと思っていた時、舞台のキンプリの本番中にオファーをいただいて。2週間後に本番と言われて不安はありましたけど、ここで諦めたら願いが叶わないかもしれないと思って挑戦しました。難しかったですけど、立川志ら乃師匠からは「まずは私になりなさい」と教わりました。じつは師匠の完コピをするのが早道だと。役者を初めてから「憧れの人は誰ですか?」と聞かれてもピンとこなかったし、お芝居は自分で築き上げていくものだと思っていましたけど、それだけでは幅が広がらない。何かを模倣した先に広がる芝居もあるという、芸を磨く方法を教えてもらった気がします。

役者は日常のすべてがパフォーマンス

——オフの日はどのように過ごしていますか?

五十嵐:天気が良かったらお散歩をするのが好きですね。あとは、キーマカレーをスパイスから作るようなちょっと凝った料理をしたり、録画していたテレビドラマをまとめて観たり。前の週の朝ドラが溜まってしまった時は焦ります(笑)。1日のうちどこかで芝居に触れていたいので、ドラマは最近よく観ますね。そもそも、こんなふうに朝の情報番組やバラエティ番組を観るようになったのはコロナ禍で生活が変わってから。今、ようやく人間になれてます(笑)。

——今まではどんな生活だったのでしょうか(笑)。

五十嵐:ハスキー犬を5頭シャンプーすれば格安で家に住まわせてあげる、みたいなおうちに住んでいたりとか。六本木で韓国人の知り合いとシェアハウスに住んだりとか。家がなくて漫喫生活をしたりとか、転々としていたので。

——現実的に人間の生活に戻っていると(笑)。では、最近食べて美味しかったものを教えてください。

五十嵐:人形町の今半かなあ。ステーキがちょっとあって、すき焼きがあって、ありがたくいただきました。すき焼きはもう、お肉2枚でいいですね。お寿司の大トロもそうですけど、いい脂は少しでいい。お酒も、以前から飲んではいましたけど、最近は料理と酒の組み合わせを覚え始めました。ちょっといいものを少しずついただきたい、という食事に最近は移行していますね。

——大人の楽しみ方という感じがします。

五十嵐:いいものにはちゃんと値段がつくじゃないですか。カウンター越しに食べるお寿司だって、職人さんが握った時の温度や、出す時のタイミングを計算してくださっているからこそ、その技術にお金を払って元気になれる。これは芝居も同じだなと。そのチケット代で、本当にお客さんが満足してくれるものを提供していきたいんです。いいものを食べるというのが、そういうところにつながっていきますね。役者は日常のすべてがパフォーマンスですから。

——すべてが還元されていくのですね。次に、ご褒美に何でも買ってもいいと言われたら、何がほしいですか?

五十嵐:ええっ、嘘だろう!? そうですね、自社ビルが欲しいです(笑)。地下が劇場で、1階が稽古場で。ほかにも撮影スタジオや事務作業をする部屋があって、最上階が自分の部屋。いつでも稽古できるし、芝居もできる。夢は、行政を巻き込んで街ぐるみで劇場を作りたいですね。

——最後に、これからの展望を教えてください!

五十嵐:野望はあるし、その方向には向かっているんですけど、その先に何が待っているのかはまだわからないんです。だから、常に魅力的であることを目指しています。自分が魅力的じゃないと、お客さんが注目してくれないと思うし、お仕事でのご縁も生まれないと思うから。今回はこうして声優図鑑に載せていただいたのも、応援してくださるみなさんや、関わってくださるみなさんがいるからこそ。引き続き、五十嵐雅を何卒、何卒、何卒! よろしくお願いいたします。

——五十嵐さん、ありがとうございました!

【声優図鑑】五十嵐雅さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

五十嵐雅

五十嵐雅(いがらし・まさし)アクロスエンタテインメント所属

五十嵐雅(いがらし・まさし)Twitter

◆撮影協力

撮影=山本哲也、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト