Twitterで話題騒然の「会計ファンタジー」がマンガに! 戦うのは、経理のお姉さん……!?

マンガ

公開日:2016/2/24

 消費税に所得税、そして確定申告……。ぼくらの生活には、どうしたってお金の問題がついてまわる。あ~、いっそそんなことを考えずに済む、ファンタジーの世界で生きられたらなぁ。なんてことを妄想する、そこのあなた。まずはこちらのツイートをご覧ください。

勇者「ふーっ!ダンジョンで集めたアイテムを売ったら、結構いいお金になったぞ!」
役人「売上総額の8%を払ってください」
勇者「え?」
役人「売上総額のうち8%は『仮受消費税』です」
勇者「仮受消費税」
役人「仮払い消費税と相殺した残額を納付してください」
勇者「仮払い消費税」

 ……なんてことだ。勇者が消費税に苦しめられているなんて。

 これは、Twitter上で人気を博すRootport氏の投稿。ファンタジー世界と会計ネタを融合させた巧みなツイートは瞬く間にバズり、閲覧数は550万Viewにも昇った! そしてついに、一連の投稿を原作としたマンガまで登場したのである。それが『女騎士、経理になる。』(Rootport:原作、三ツ矢彰:作画/幻冬舎コミックス)だ。

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女騎士、経理になる。
(Rootport:原作、三ツ矢彰:作画/幻冬舎コミックス)

 本作は、無料で読めるWebマンガ誌『デンシバーズ』にて連載中。読者からは「ファンタジー世界でも消費税があるのか、世知辛い」「これにもう少し早く出会っていれば、もうちょい簿記が身近だっただろうに」「うちの若い者にこれ読ませたいw」など、賞賛が相次いでいる。

 ぼくも早速読んでみたが、第1話からその変わった世界観に引きずり込まれてしまった。主人公となるのは女騎士・シルヴィア。仕事のため、単身魔国へ乗り込んでいった彼女は、魔物・オークに捉えられてしまう。もはや命もこれまでか、と覚悟をするシルヴィア。それに対しオークはこう告げる。「今日から貴様はウチの会社の経理のお姉さんだ!」。こうして女騎士は「経理のお姉さん」として生きていくことになるのだ。

 “法人成り”を計画するオーク一族、帳簿の金額が合わず悩む女騎士……。ファンタジー世界に会計ネタが混ざりこむことで、こんなにもおもしろいストーリーが生まれるとは! その設定の巧みさは、誰もが舌を巻くほどだろう。それにしても、どうやって本作は生み出されたのか。ということで今回、原作者・Rootport氏と作画担当・三ツ矢彰氏がインタビューに応じてくれた!

――そもそも、なぜファンタジー世界と会計ネタを融合させようと思ったんですか?

Rootport氏「会計がテーマのお話を書くのはこれが初めてではなく、以前からいろんなカタチを試していたんです。そこで今回、ファンタジー世界と組み合わせてみたら、想像以上にうまくハマって。ファンタジー世界を舞台にすると、現代の複雑な会計制度をとりあえず脇に置いておいて、基礎的な考え方が書けるというメリットがあります。会計や金融の諸制度が生まれた過程を書きつつ、歴史の授業のように退屈なものにはしたくない。そういう意味でも、今回の舞台設定はぴったりだと感じています」

――本作の原型となるツイートを投稿したきっかけは?

Rootport氏「タイムラインで、勇者と魔王が“国税局”について話しているツイートがまわってきたんです。それに触発されて、私もファンタジー+会計ネタを連投し始めました。すると思いがけずバズったんです。読者からは褒めてもらってばかりで、こそばゆい気持ちにもなりますが、そういった方々を裏切らないように今後もお話をおもしろくしていきたいなと思っています」

――本作の魅力は、その設定の巧みさのほかに、作画の緻密さにもあると思います。その点で苦労はありますか?

三ツ矢彰氏「白黒原稿は完全にアナログなので大変ですが、ずっとファンタジーものを描いてみたいと思っていましたし、苦労だと感じることはありませんね。とても楽しく描かせていただいているんです。ただ、本作には魅力的なキャラクターがたくさん出てくるので、それぞれのキャラクターの良さが絵からも滲み出るようには意識しています」

――今後の見どころを教えてください。

Rootport氏「私たちがより自由で豊かな生活を送るために、簿記・会計の知識はもっと広まった方が良いと考えています。それを大勢の方に知ってもらうために、本作を描いているんです。今後のストーリーは教科書的な内容が少なくなっていき、よりドラマチックな展開になると思います。それを楽しみながら、会計をもっと身近に感じてもらいたいです」

三ツ矢彰氏「世界観がどんどん壮大になっていくにつれて、絵もすごいことになっていく……と思います。お金が好きな人はもちろんですが、新しいジャンルが好きな人や、これから社会人になる人たちにも読んでいただければうれしいです」

 一見、難しいテーマを扱っているようにも思える本作。しかしながら、ファンタジー世界を生きる人物たちがわかりやすく解説してくれるため、自然と知識が身につきそうだ。ちなみに、2月24日(水)にはコミックス第1巻が発売される。壮大な「会計ファンタジー」の幕開けを、ぜひその目で確かめてみてほしい。さぁ、シルヴィアの戦い(?)を追いかけながら、ぼくらも「会計」という武器を磨いていこうではないか!

文=前田レゴ