遺伝子組換え、イーストフード、無水カフェイン…。その食品や日用品は大丈夫? 安心して食品や日用品を選ぶための成分表示の知識

食・料理

2016/6/1


『知っていると安心できる成分表示の知識 その食品、その洗剤、本当に安全なの?』(左巻健男、池田圭一:著/SBクリエイティブ)

 何か食べるものはないかと冷蔵庫を開ける。納豆が入っている。手に取ると賞味期限が1日切れている。でも私のお腹は大丈夫なはず。食べる。ほらほら、特に異常なし…。このような経験、誰でも一度はあるのではないだろうか。こうした時に確認する「賞味期限」だが、あなたはその意味を説明できるだろうか。特に、「消費期限」との違いはわかるだろうか。当然知っているという声が聞こえてきそうだが、念のため解説を。納豆やスナック菓子などに印字されている「賞味期限」はおいしく食べられる期限という意味で、期限を過ぎてもすぐに捨てる必要はない。一方、「消費期限」は、腐敗など安全性を欠くおそれがあるので、期限を過ぎたら食べないほうがよい。こちらは、惣菜や調理パン、生鮮食料品に印字されていることが多い。

 このような商品の成分表示、毎日目にしているはずなのに、表示されている成分の実態を知っている人は少ないのではないだろうか? そこで『知っていると安心できる成分表示の知識 その食品、その洗剤、本当に安全なの?』(左巻健男、池田圭一:著/SBクリエイティブ)から、食品の成分表示について学ぶことにした。

 さて、先の納豆には原材料名として「大豆(遺伝子組換えでない)」と書いてある。遺伝子組換え作物とは、例えば、害虫やウイルス病に強い遺伝子を味の良い種に組みこむなど、生産者や消費者の求めに合わせて遺伝子操作をした種のことだ。安全性が心配されるところだが、厚生労働省のホームページには「食べ続けて問題はありません」と書いてある。ただし、私たち消費者には使用の有無を知る権利があるということで、2001年から表示が義務付けられ、商品選びの参考にできるようになった。

 しかし、すべての食品に遺伝子組換えの有無が表示されているわけではない。実は、表示義務の生じない場合が2つある。ひとつ目は、検出が困難か不可能な場合。代表的なものは、サラダ油、醤油など。2つ目は、その遺伝子組換え作物が「おもな原材料」ではないとき。「おもな原材料」とは、「原材料の上位3位までで、かつ全重量の5%以上を占める」もの。例えば、ある食品を作るのに使う、遺伝子組換え作物Aは、原材料の上位3位だが、すべての重さを量った時の5%に達していなければ、Aは表示しなくてもよいことになる。

 遺伝子組換えの是非は、安定した生産と味の良さを求める私たち社会全体の問題なので、ここでクロかシロかを言うことはできないし、本書にも言及はない。ただ、“それが何を意味するのか、また表示されていなくても使われていることがある”ことを知っておくのは、私たちが主体的に生活していくのに必要なことだろう。

 他にも本書には、食品添加物の知識、健康食品の疑問、洗剤などの日用品のラベル表示の見方などが書かれている。表示されている成分が良いか悪いかといった判断はなされず、客観的に知識を教えてくれるのが特長だ。健康への関心が高まる中、テレビなどではひとつの成分や食品が大々的に取り上げられがちだが、「まあここはひとつ冷静に」と頭を冷やしてくれる一冊であることは間違いない。

 最後に、よく見かける表示成分3つを簡単にご紹介しよう。

「安定剤」=食品の粘り気を増し、食感を良くする働きがある。サトウダイコンやオレンジからとれる「ペクチン」、海藻類からとれる「アガロース(カンテン)」、「カラギーナン」のこと。

「イーストフード」=パンの袋に見かける。イーストのことではなく、パンの発酵に必要な酵母の栄養源のこと。「硫酸カルシウム」や「リン酸カルシウム」「塩化マグネシウム」など、16種類の食品添加物の使用が許可されている。

「無水カフェイン」=栄養ドリンクによく使用される。天然のカフェイン(含水カフェイン)から水分子ひとつを取り去ったもの。ドリンクではカフェインを原料段階で使うため、このように表記しているだけ。体内での働きは含水も無水も同じ。

 どうやら私たちは、かつては存在し得なかった食品原料の数々を口にしているようだ。各成分については、安全性も含めてさまざまな意見があり、何を信じるのかは個々にゆだねられている。特定の食品が危険だと騒ぐ前に、まずは、身近な表示成分を知ることから始めてみるのはいかがだろうか。

文=奥みんす