腐女子、吸血鬼、ショタ、ツンデレ、オネエ……。濃厚キャラ満載の『池袋†BLood』がおもしろすぎる件

マンガ

公開日:2016/6/1


『池袋†BLood』(奥田薫/KADOKAWA)

 腐女子、吸血鬼、ショタ、ツンデレ、オネエ……。字面だけでも相当濃いこれらの面々が一堂に会した作品があったとしたら、あなたは読んでみたいだろうか? え、胸焼けしそう? いやいや、これがまたおもしろいのだ。どうしても信じられないというのならば、6月1日(水)に発売された『池袋†BLood』(奥田薫/KADOKAWA)をぜひ読んでみてもらいたい。

 本作の主人公は、美形とBLが大好きな女子高生・リカコ。美形を目にするやいなや、すぐさま興奮して鼻血を噴出してしまう、非常に残念な女子高生である。そんなリカコがバイト帰りに出会ったのは、超美形の吸血鬼・エドワード。血に飢え行き倒れていたところをリカコの鼻血によって救われるという、人類史上稀に見る最低な出会い方をするのだ。

 けれど、鼻血だろうが何だろうが、自分の生命を救ってくれたことに変わりはない。エドワードにとって、リカコは女神だ。そして、美形好きのリカコにとっても、エドワードは無視できない相手。たとえ吸血鬼だろうが、「君のような女性をずっと探していた……。生涯私と共に生き、その血を与えてはくれないか……?」なんて言われたら、断れるはずがない。こうして、腐女子と美形吸血鬼のおかしな同居生活がスタートするのである。

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 エドワード以外にも、リカコの周りには一風変わった人物たちが集まってくる。自分に惚れている男を使い女性の血を集めようとする、金髪毒舌ショタのユージーン。彼はリカコを見て、「すっげーブス」「気持ち悪い女」と吐き捨てるが、リカコにはそれがたまらない。見目麗しいショタは、何をしても許されるということか。

 また、リカコが通う高校の保険医・高円寺と、教師・二階堂も強烈なインパクトを持っている。常に咥えタバコでダルそうな雰囲気を醸し出す高円寺。女子生徒から「今日もカッコイイー」と黄色い声援を浴び、ひとり悦に入っているのだが、その実、女子生徒の大半からは「高円寺先生は絶対に受け。ブチ犯したい」と思われているのである。そんな女子生徒たちの妄想のなかで高円寺の相手となるのが、二階堂。高円寺に対してもドS発言をする彼は、「鬼畜攻め」として認定されており、女子生徒たちの教師BL妄想は加速するばかりだ。

 また、新任としてやってきた美術教師・ローズは、メイクもキャラも濃いバリバリのオネエ系。みんなが戸惑ってしまうのは仕方ないところだが、その理由は「受けか攻めかわからない」から。もはや、すべての判断基準がBLなのである。

 このように、強烈なキャラクターばかりが登場する本作。一人ひとりを掘り下げていけば、それだけで一作品できてしまうのではないかというくらい、惜しげもなく特殊な設定がぶっ込まれている。けれど、食材の味を殺すことなく、巧みに調理されているところがすごい。胸焼けどころか、おかわりしたくなること間違いなしだろう。

 キャラクターの宝石箱、とも言えそうな『池袋†Blood』。騙されたと思って、試しに一度読んでみてほしい。きっとやみつきになるはずだから。

文=五十嵐 大

『池袋†BLood』は、連載型新作マンガ配信サービス「GANMA!」で連載中
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