「素敵な彼氏」はすぐそばに? 彼氏作りを頑張りすぎる女子高生の初恋はどうなる!?

マンガ

更新日:2018/4/5


『素敵な彼氏』1巻(河原和音/集英社)

 別にイケメンでなくてもいい。誰か一人の男性に心の底から愛されたい! 制服を着て、手を繋いでデートがしたい。放課後クレープなんかを一緒に食べたい。毎日LINEで「おはよう」「おやすみ」と送り合いたい。

 そう、胸が高鳴る恋がしたいっっっ……!!!

 女子の皆様は、学生時代にこんな願望を抱いたことはないだろうか? 実際、学生の時に素敵な彼氏ができたかどうかは別にして……。

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 単純に、損得勘定を抜きにして、「愛したいし、愛されたーい!」と素直に願うその心は、大人になった今思い返すと、とてもピュアで貴重なものだったのではないか、と思うことがある。

『高校デビュー』や『青空エール』『俺物語!!』などを手がけた河原和音の新作マンガ『素敵な彼氏』(集英社)は、まさにそんな、全力で恋と向き合う、天真爛漫な女子高生の様子が描かれている。

 主人公は高校一年生の小桜ののか。人の恋愛話が大好きで、年末の駅前のカウントダウンイルミネーションに彼氏と行くのが小さい頃からの夢という、「彼氏」への憧れが人一倍強い女子だ。ののかは高校生になれば、自然と彼氏ができると思っていたが、特に何もしないままぼんやりしていたら、12月を迎えてしまった。

 年末のカウントダウンまであとわずか! 焦った彼女は、友達の助けを借りて参加した合コンで、イケメンで気づかいもできるのに、ズバズバ核心に迫る物言いをする、桐山直也と出会う。クラスは違うものの、直也はののかと同じ高校に通っており、なんとバイト先まで一緒だった。

 直也はののかと何度目かに会った際に、ののかが自分にプレッシャーをかけるために、カウントダウンのカップルシートのチケットまで買っていることや、子供の頃カウントダウンで見たカップルがすごく幸せそうだったから、自分も彼氏がほしいと思い続けている話を聞く。

 また、

「カレシができるのって ふつーのことだと思ってたんだよね でも…ちょっとずつ…ふつーのことじゃないんだ 私にとっては…って 気がついてきてて……」

 と、うっすら涙を浮かべながら不安をもらすののかを見て、彼女に何かとちょっかいをかけてくるようになるのだ……!

 直也はコンビニのバイトも人一倍真面目に働きながら、連日、意気込んで合コンに行くののかを心配し、「なんかあったら連絡よこせよ」と自分の連絡先を教える。また、結局年末までに彼氏ができず、意気消沈するののかを誘い出し、カップルだらけのカウントダウンへも共に出かけた。おまけに、年明けの瞬間、直也はののかのファーストキスを奪ったのだ!

 さらに、ののかが憧れていたバレンタインにも付き合い、ホワイトデーには映画デートにも連れ出した。ののかには「ヒマだからさ」と理由をつけて。

 直也は恐らく、ののかに好意を寄せている。だがそれに気がつかず、彼氏作りに勤しむののかに、読者はやきもきさせられるかもしれない。しかし、ののかも直也と一緒にいるのが本当に楽しそうで「この人一生ヒマだったらいいのになあ」と、自分の気持ちにほんの少しだけ気づき始めている様子。

「一生に1回くらい私だけの男の子に愛されてみたい だれかのひとりだけの女の子になってみたい!!」

 と叫ぶののかに、「素敵な彼氏は、すぐそばにいるよ~!」と耳打ちしたくなる展開だが、相思相愛の恋を全力で探し求める、純真な心を持つののかが、何だかうらやましくも思えてくる。恋っていいなあ、愛されたいなあ、愛したいなあ……! と、学生時代確かに感じた、ピュアなトキメキがよみがえってくる物語だ。ぜひ読んでみてほしい。

文=さゆ