「こち亀」第1話の両さん初登場シーン、69巻収録のニセ最終回は覚えてる? 最終200巻の中川が冷や汗を垂らす困惑必至のオチを見逃すな!

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更新日:2016/9/23


『こちら葛飾区亀有公園前派出所 200巻』(秋本治/集英社)

 『こちら葛飾区亀有公園前派出所 200巻』(秋本治/集英社)が、ついに最終回を迎えた。それを知ったとき私は、始めは信じなかった。というのも、69巻のある回にて、ニセの最終回が収められているからだ。したがって、今回もニセの最終回かと思っていた。しかし、いつまで経っても撤回されない。「これはマジかもしれない…」と思っていると、とうとう9月17日が訪れ、本当に最終回を迎えてしまったのである。連載期間はなんと40年に及ぶ。私が生まれる前から続いていた「こち亀」。それがとうとう終わった。本書の最終回を読んで、「私も歳をとったな」と思ってしまった方は多いのではないだろうか。

 こち亀の第1話の両津勘吉の初登場シーンをご存じだろうか。なかなか衝撃的である。道を聞きに派出所へやって来た市民を怒鳴りつけている。極悪警官だ。それだけではない。両津がドラネコに拳銃5発を発砲。中川もライトバンに向かってM29(ヤバい銃)を発砲。さらに両津と中川の2人で花札を始める。極めつけは、勤務中にビールを飲み干し、できあがっているところを巡査部長(第1話では大原部長の名前はなかった)に見つかる。オチは、国後島が良く見える断崖絶壁の場所に建てられた派出所へ2人が左遷されるというものだ。ムチャクチャにもほどがある。100巻以降から「こち亀」ファンになった読者は、現在との作風の違いに腰を抜かすだろう。

 『週刊少年ジャンプ』42号と同時に発売された200巻。本書は最終話までしっかり収められており、最終話にて両津はこれを「ジャンプとコミックスの同時中継」と銘打って解説している。しかもジャンプ版とコミックス版では話のオチが違うのだ! 相変わらず秋本氏の発想力には舌を巻く。最終話は「40周年記念大イベント! 復活キャラベスト10」と銘打ち、こち亀の復活希望キャラクターを続々と登場させていく内容だ。もちろん、こち亀お得意の脱線話がいくつも描かれているのだが、ブラックジョークが効いているので、ここでの紹介は危ないから避けよう。復活希望キャラクター第3位は中川圭一。理由は、初期とキャラが全く違うから。第2位は日暮熟睡男(ひぐらしねるお)。理由は、4年に1回の登場だから。そして第1位は…!? ここからジャンプ版とコミックス版でオチが違うのだ! ジャンプ版のオチならネタバレしても大丈夫だろう。「40周年記念大イベント! 復活キャラベスト10」復活希望キャラクター第1位は…星逃田(ほしとうでん)だ!……。あれ? 読者の反応が薄い気がする。もう一度発表しよう!「40周年記念大イベント!復活キャラベスト10」復活希望キャラクター第1位は…星逃田だ!!!……。読者の「誰?」というつぶやきが聞こえる…。読者はご存じないだろうか。「ほしにげた」と名前をバカにされる星逃田を。いつも眉毛に力が入りすぎてハゲてしまった星逃田を。オープンカーで女性とデート中、高速道路を走行していると星逃田のかつらが吹っ飛び、女性に「危ないから目をつむって!!!」と絶叫した星逃田を。…まあ確かに…最終話にふさわしいレアキャラでもないし…私も思い出すのに時間がかかった。ちなみに、コミックス版のオチで中川が冷や汗を垂らしながら言うセリフを紹介しよう。「200巻の最終話なのにすごいオチだ…」。『こちら葛飾区亀有公園前派出所 200巻』は、最終話のオチ以外は素晴らしい出来栄えの一冊となっている。

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文=いのうえゆきひろ