猫はルームシェア仲間!? 癒やされながらハプニングに強くなる!5匹の保護猫と暮らすとよた真帆の「もふもふ生活」のルール【画像あり】

エンタメ

2016/11/3


『もふもふ猫まみれ とよたさんちのマブ猫 22のハッピールール』(とよた真帆/講談社)

 芸能界きっての動物好きでも知られる女優のとよた真帆さんが、猫の本を出版した。タイトルは、『もふもふ猫まみれ とよたさんちのマブ猫 22のハッピールール』(講談社)。もうタイトルだけで癒やされてしまいそうだが、パラパラめくっただけで温かい気持ちになり、読了すれば芯からほっこり愛に満ちてくる。

 どこをめくっても“もふもふ”な気分にさせられる理由の1つは、猫たちが実に「自由」だから。「いいなあ、猫は自由で」なんて猫に憧れることがあるけれど、まさにここにいる猫たちはその「自由」をこれでもかと満喫している様子。それぞれが好き好きに食べて寝て遊んで、お腹をみせて転がっては、他人(猫)の迷惑も顧みず寄っかかる。

 そんな自由を謳歌している幸せそうな「とよたさんち」の猫だが、生い立ちは不憫だった。ドラマ撮影所ちかくの溝にはまっていたり、車の下にうずくまっていたり、往来のはげしい道で車に轢かれそうになっていたり。とよたさんが手を差し伸べなければ、命が危なかった。つまり、みんな保護猫ばかりなのだ。

夫・青山監督も猫好きに。愛情の源と「表情の豊かすぎる」猫たち

 とよたさんと猫とのかかわりは幼い時から。動物好きな母親の影響もあり、物心ついた時には家には猫だけでなく、犬やウサギ、ニワトリなど様々な動物たちに囲まれて育った。猫は多いときで8匹がいたことももあるという。

 母親や10歳違いの兄がかわいそうな仔猫を拾っては、もらい手を探したり、自分たちで引き取ったりしてきたので、とよたさんも同じようにしてきた。「こうやってずっと猫を飼ってきたので、猫や他の動物がいない生活がどんなものか、今では想像することはできません」と同書で語る。

 ずっと猫に囲まれてきたとよたさんは現在、1階に母親と彼女の5匹の猫たち、2階にとよたさん夫婦と同書で紹介されている5匹の保護猫たちとで暮らしている。

 見るからに心を許し、素の姿をさらけ出しているとよたさんちの猫たち。カメラ目線の写真は、甘えた顔だったり、何かつぶやいていたり。添えられた吹き出しのセリフも絶妙で「ああそう言ってる!」と笑みがこぼれてしまう。そんな「自由な姿」を惜しげもなく披露しているのは、撮影したのがすべてとよたさん本人だから。猫たちの豊かな表情には、その満たされた暮らしぶりが滲み出ている。

 映画監督で小説家の夫、青山真治さんも猫まみれ。それまでは猫を飼ったことがなく、特に猫好きでもなかったが、とよたさんと付き合うようになって「こんなにかわいい生き物がいるのか!」と猫の魅力を知ったのだそう。

 とよたさんと運命の出会いを経てやってきた猫たちは、今やのびのびと暮らし、とよたさん夫婦に毎日喜びをもたらしているのだ。

人間も解放される?「猫目線」で何でもOKにしてみると…

 私も犬と猫を飼った経験があるので分かるのだが、猫はとても“自立”している。犬のようにリーダーも散歩も規律も必要なければ、トイレも大体すぐに覚える。トイレを綺麗にし、生活環境がストレスのかからないようにしておけば、犬ほどは手がかからない。

 とはいえ、猫はよく吐くし、高いところや狭いところにも行くので、予想外の物を倒されたり汚されたりといったハプニングはつきもの。でも、それも「猫目線」で受け容れると、こっちの「人間力」が試されるようで、楽しくも思えてくるから不思議だ。

 とよたさんちは、本人も言うように猫天国。すべての部屋が開けっ放しで、猫はどこでも出入り自由。お風呂に入っていると、浴槽の縁に3匹くらいのっていることもあるとか。棚の奥や換気扇フードの上にいてぎょっとすることもあるほどだが、それも日常のスパイスと語る。

 ハプニングを予期したリスク管理(?)もばっちり。とよたさんちの各部屋には、猫が吐いた時にすぐに掃除できる掃除用具一式がセットされているそう。だからといって神経質になっているのではなく、むしろその逆。

 ルール7の「猫と暮らすならモノに執着してはいけない」とあるように、何か汚されても、「仕方ないや、猫だもの」と寛大そのもの。

 何でもありとハプニングすら受け容れ、あえて猫のペースに巻き込まれているとよたさん流の暮らしは、その人の許容量が大きくなければできない。猫と生活することは、ともに暮らす人間を心豊かで大らかに育ててくれる。

うちの“子”ではなく“マブ猫(だち)”。見えてくる色んな生態

 イギリスの動物学者が発表した研究によると、猫は人間を「大きな猫」と思っているのだそう。それが正しいなら、とよたさんの猫との接し方はとても理に適っている。

 例えば、とよたさんちの猫は5匹ともオスだからか、時にケンカが起きるそう。それでも、ルール16にあるように、「猫同士のケンカは猫にまかせる」と基本とよたさんは関与しない。大げんかになりそうになったときだけ、間にわざと入って「イェーイ」と“空気の読めない人間”になって気をそらすそうだが、たぶん猫たちは“大きな仲間”の妨害に「しようがないなあ」と納得しているに違いない。

猫はルームシェアをしている「マブ猫」と思うこと

 とは、ルール9。マブ猫と書いてマブダチと読む。よく飼い主がペットを語る時に「うちの子」と我が子のように言うが、とよたさんは猫の「ママ」と呼ばれたら、ゾーッとするそう。世話係はするけれど、毎日元気や癒やしをもらっているのだから、あくまで対等な関係と語る。

 親友なので、いつも話しかけるのは当たり前。そうすると、猫たちは驚くほど色んな言葉を覚え、ますます猫たちの表情も豊かになり、共同生活も楽しくなる。ただし、猫も千差万別。とよた家には1匹かなりの「KY」で、とよたさんも猫同士すら「会話」が成り立たない、ペト君という猫がいる。人それぞれ、猫それぞれなのだ。

責任を持って飼うこと、社会で取り組むこと。活動を広げるとよたさん

 一見とても自由なとよたさんちの猫との暮らしは、理に適っていたり、はっとさせられたりすることが多い。でもそれは、とよたさんに経験があるからだけでなく、自ら継続的に猫や犬のことを学んでいるからだ。

 同書の出版記念イベントで話を伺ったが、とよたさんは、2020年の東京オリンピック開催までにまずは東京で、ひいては日本国中で、不幸な境遇に追い込まれる犬や猫を「ゼロ」にしていくことを目指す「TOKYO ZERO キャンペーン」の呼びかけ人の一人。同書の売上げの一部は、同キャンペーンに寄付されるという。

「なんでも聞いて下さい」とメディアの囲み会見に臨んだとよたさんは、豊富な知識をもとに、理論的かつ温かな言葉で動物たちへの理解と命を尊ぶことの大切さを訴えた。学んだことを吸収し、広めるため、定期的に勉強会に参加しているという。

「一応オリンピックまでという題目がありますが、日本はすごく(犬や猫の)殺処分がされています。地域によってはゼロというのもありますが、東京もそうしていって、東京以外にも波及していって、動物に対して、愛情のある先進国になればと思うんです」

 環境省の統計によると、犬猫の殺処分の数は全国で10万規模。2015年で始めて82,902頭と10万を下回ったものの、依然としておびただしい数の犬猫たちが全国のガス室で殺されている。

 原因は、飼い主が捨ててしまうことだけでなく、ビジネスとしてモノのように扱われるペット産業の流通の問題や、野良猫の不妊手術がされないこと、飼う人と保護された犬猫との出会いの場が知られていないことなど根深く多岐に渡る。

 TOKYO ZEROの呼びかけ人として、とよたさんは「ぜひとも小池百合子東京都知事にも直接お会いして話したい」と意気込む。知事は、殺処分ゼロに意欲的なことから、行政からの改革が行われることが期待されている。

 それと同時に、とよたさんは「個人的にこれからも自分の生活に余裕がある限りは、保護猫・保護犬を受け容れていきたい」と明かす。

 出版記念イベントの後にも勉強会が行われた。すると、訪れた人からこんな質問が上がった。
「自分も何かしたい。けれども、何から始めれば…」

 すると、とよたさんは応えた。
「まずは、たくさんの保護された犬や猫が、飼い主になってくれる人を待っているという話をいろんな人にしてください。驚くほど、知らない人がたくさんいるんです」

 知っている人には常識かもしれないが、知らない人が多すぎるために、ペットショップで「可愛い!」と“買う”人が絶えないのもまた事実だ。全国には数多くの保護団体や里親捜しに奮闘する人たちがいる。もし犬や猫が飼いたくなったら、「里親制度を利用する」よう周囲の人に認知させるのも大切な活動の一つ。

 そうして猫をもし飼うこととなったら、とよたさんの本には末永く飼い主と幸せな関係が築けるヒントが詰まっている。猫を飼っている人も、なんとなく飼いたいと思っている人も、それにとよたさんいわく「マジメな人も」、不マジメでいいことを教えてくれる猫との暮らしぶりを覗いてみてほしい。

文=松山ようこ