サンタから学ぶ「リーダーシップ論」

ビジネス

2016/12/13

『「最高のリーダー」の秘訣はサンタに学べ』(エリック・ハーヴェイ/文響社)

 12月に入り、年末進行まっただ中。仕事の終わりが見えない中で、管理職はいかに部下のモチベーションを維持するかに腐心していることだろう。

 毎年12月に繁忙期を迎えるサンタクロースは、クリスマスの風習が始まって以来数百年にもわたり、仕事を手伝ってくれるエルフやトナカイを率いてきた、世界で最高のリーダーの一人といえるかもしれない。『「最高のリーダー」の秘訣はサンタに学べ』(エリック・ハーヴェイ/文響社)は、そんなサンタクロースをモデルにして、「最高のリーダーになる秘訣」を紹介している。

 サンタクロースは、十数億人の子どもたちという顧客に愛され続けている。しかし、顧客に愛されるまでに事業を成功させるには、従業員の献身が欠かせない。本書によると、サンタクロースは、従業員であるエルフやトナカイから「こんな上司と働きたい」と思われるために、多大な努力を払っている。

 その一つは、キツい仕事でも従業員がモチベーションを維持できるよう、仕事に対する満足感や達成感が味わえるようにしていることだ。本書のサンタクロースは、1月半ばから届き始めるたくさんのお礼の手紙を、従業員の目に留まるよう、プレゼント工場の大きな掲示板に貼り出し、「私たちはおもちゃを作って配送するのではなく、幸せをつくって運んでいる」という「使命」の共有化を図っている。

 また、従業員への感謝も絶やさない。本書のサンタクロースは過去、ソリにプレゼントを詰め込んでいるときに、一人のエルフからこう言われた。

「ねぇ、サンタクロース。いい子にしていたら、子どもたちはプレゼントをもらいますよね? それならいいエルフやトナカイは、何をもらうんでしょう?」

 このとき、サンタクロースは「よい仕事には報いるべき」というビジネスにおける基本的な前提を痛烈に思い出し、その一件があってからは従業員に感謝の姿勢を示すことに注力している。

 本書によると、リーダーにも従業員にもメリットしかない「感謝」が、なぜ多くの企業で見落とされがちなのか、それは「感謝すること」に2つの誤解があるからだという。

一)与えられることやお金、時間が限られている
二)管理職の仕事で、管理者の数は限られている

 つまり、感謝を示すには多くのお金や時間が必要となり、さらには感謝を示すのは管理職がするべき行為だが、肝心の管理者の数が足りないので、多くの企業で感謝を従業員に示せていない、というロジックが誤解だというのだ。

 本書によると、低コストで効果的な感謝の示し方はさまざまある。本書のサンタクロースは、手紙や表彰状を贈る、特別なプログラムや望むスキル研修を提供する、駐ソリ場の優待スペースを設ける、牛乳とクッキーをおごるなどしている。そして、限られたお金や時間の中で、折り合いをつけて感謝を「形として示す」ことの大切さを強調している。

 また、感謝を示すべきなのは管理職のみであるという固定観念を捨て去り、従業員全員がちょっとしたことでも他者に感謝や尊敬の気持ちを口に出す雰囲気を作ることで、従業員が困難な仕事に取り組むモチベーションが引き出されるとしている。率先して感謝を口にすべきなのは、リーダーであるサンタクロースだ。

 本書のサンタクロースは、顧客である世界中の子どもたちだけでなく、従業員のエルフやトナカイたちにも「いつも見られている」ことを意識し、自らが常に「いい子」であり続けようとたゆまない努力をしている。世のリーダーたちにとっても、重要なことだろうと思う。

文=ルートつつみ