女性は「失われやすい身体」の持ち主。流行の健康法にトライする前に改めて知っておきたい、“食事”のキホン

健康・美容

2016/12/18

『「食事」を知っているだけで人生を大きく守れる』(細川モモ/ダイヤモンド社)

「食事のコントロールは美容と健康の要」という意見に、異を唱える人はほとんどいないのではないだろうか。正しい食生活は、生活習慣病やがん、将来の寝たきりといった健康リスクを下げるだけでなく、毎日ハツラツと動くためにも役に立つ。さらに適切な体型や綺麗な肌といった魅力的な外見を維持し、自分に自信を持つためにも必要だ。

 では、正しい食生活とは? この文章を読んでいる人の中には、筆者自身も含めダイエットや健康上の理由から、食生活の見直しを計画している人もいるだろう。世の中には、朝食抜きや糖質制限、断食とさまざまな「健康やダイエットにいい食事法」が溢れている。雑誌やテレビ、ネットの健康情報は流行り廃りが激しく、識者による意見もバラバラだ。こうしたことから「何を信じたらいいのか分からない」と迷う人は意外に多いのではないだろうか。

 確かにそれぞれの食事法には、それぞれの根拠がある。しかしここは、ぜひ一度基本に立ち返ってみたい。特に若い女性の場合、プチ断食など極端な食生活に走ると、将来の妊娠や出産に支障をきたす可能性がある。あとで後悔しないためにも、「これは危険」というラインをはっきりと意識しておくことは大切だ。本書『「食事」を知っているだけで人生を大きく守れる』(細川モモ/ダイヤモンド社)が、これから妊娠・出産を望む女性たちを対象として書かれているのも、こうした理由からである。

 著者は、若い女性たちの食と健康について、これまで一貫して警鐘を鳴らし続けてきた。女性の社会進出が進んだ結果、仕事の忙しさから食生活が乱れがちなこと、さらに、日本特有のやせ信仰から食事制限主体のダイエットに走りやすいことがその背景にある。著者が行なった調査によれば、丸の内で働く多くの女性が肩こりや冷え、貧血といった身体の不調に悩まされているらしい。彼女たちの大半はやせ型の、いわゆる「スタイルのいい」女性たちだ。彼女たちは食べる量自体が少ないうえ、栄養のバランスが偏りがちなために、栄養失調状態に陥っている。そのせいで毎日のプチ不調はもちろんのこと、卵巣の老化や糖尿病、骨粗しょう症といった将来の健康リスクにまでさらされている……。

 本書によれば、女性は「入ってくる栄養を制限する」、つまり食事制限を伴う健康法を実行する際には注意が必要だという。女性と男性では身体の作りが大きく違うため、男性に合った健康法が女性に合うとは限らないのだ。毎月の生理に伴って、女性の身体からは大量の栄養が失われていく。また女性は筋肉量も男性とくらべて少なく、さらに筋肉そのものがつきにくいため、ちょっとしたことで筋肉が減ってしまいやすい。栄養や筋肉が「溜まりやすい身体」を持った男性に対して、女性は「失われやすい身体」の持ち主なのである。そのため、女性は栄養を体内に入れないのではなく、逆に不足しやすい栄養素を「溜める」ことを考えるべきだ、と著者は主張する。運動は健康にいいというイメージがあるが、栄養が足りない状態で運動をすることはかえって身体の害になるとも。男性にくらべて、女性は無理がきかない。食べ過ぎもダメだが、食べなすぎもNG。オーバーウェイト気味の人がダイエットをする場合でも、男性以上に食事のバランスや量には気を使った方が良さそうだ。

 ビタミンやミネラル、たんぱく質といった不足しがちな栄養をしっかり摂ること。そして質のいい脂質や糖質を適量にとり、乳酸菌や食物繊維で腸内環境を整えること。基本的なことばかりだが、正しい食生活はここから始まる。毎日の食事は、現在の健康状態だけでなく、健康寿命や子供を授かる能力といった「未来の自分」にもダイレクトに関わってくるものだ。本書のタイトルにあるとおり、正しい食事によって「人生は大きく守れる」のである。ここまで女性についての話題を中心にとりあげてきたが、その点では男性もなんら変わるところはない。未来の幸福を守るためにも、食事に関するリテラシーは現代を生きる我々にとって必須の教養といえよう。流行の健康法にトライする前に、まずは「王道」を説く本書の一読をおすすめしたい。

文=遠野莉子