最近よく聞く「スーパーフード」 そもそもどんなものなの? 

健康・美容

公開日:2017/3/9

    『からだのなかから、きれいに、輝く スーパーフードの教科書』(生活の木、小林理恵/マイナビ出版)

 最近日本では「スーパーフード」がブームだ。チアシードやアサイー、キヌアなどなどすでに各メディアが大きく取り上げているものも多い。コンビニやスーパーなどの小売店では、スーパーフード入りを謳ったドリンクやフード、健康食品の姿も目立つ。

 スーパーフードという言葉には、健康や美容に良さそうなイメージがつきまとう。しかし、そもそも「スーパーフード」とはいったい何者なのか。そう訊かれて、答えられない人は意外に多いのではないだろうか。

 そこでおすすめしたいのが本書『からだのなかから、きれいに、輝く スーパーフードの教科書』(生活の木、小林理恵/マイナビ出版)だ。チアシードやキヌアなど話題のものから日本ではまだあまり知られていないものまで、51のスーパーフードを取り上げ、そのレシピや活用法を紹介している。「教科書」というタイトルにふさわしく、それぞれのスーパーフードの効能や栄養価などがコンパクトにまとめられている。スーパーフードに興味のある人にとって、辞書的に使える一冊といえよう。

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 実は「スーパーフード」には、はっきりとした定義はない。この言葉が食事療法のプロたちの間で使われだした当初は、「有効成分を多く含む食品」くらいの意味しかなかったのだ。そこで本書ではスーパーフードを次のようにとらえている。

スーパーフードは、はっきりと特定の食材を定義したものではありませんが、本書では「長く人類が親しんできた栄養価の高いもの」、「健康に良い成分を多種含んでいるもの」、「体に良い成分の含有量が多いもの」を、スーパーフードとして取り上げ、期待できる効果や活用レシピを紹介しています。

 本書によれば、スーパーフードはサプリメントではない。それぞれの地域の人々が長年親しんできた伝統的な食品の中で、特に栄養価の高い、あるいは健康によい成分が含まれている食品が、スーパーフードということになる。現在市場に出回っている「スーパーフード」には、これまでほとんどの日本人に知られていなかったような食材も多い。珍しいフルーツなどを加工したフリーズドライパウダーや濃縮エキス、古代人の愛した穀物……。これら新しく日本にもたらされた「スーパーフード」は、往々にして、普通の食品に比べるとかなり高価で、手の届きづらいものだ。

 ただ本書を読めば、こうした高級食材としての「スーパーフード」はほんの一部ということがわかるだろう。すべての「スーパーフード」が高価で、特別感のあるものとは限らないのだ。

 たとえば、味噌や甘酒、梅干し、玄米、納豆、緑茶、そばといったものが、スーパーフードとして紹介されている。アサイーボウルやおしゃれなスムージーに夢中になるのもいいけれど、和の素材だって決して捨てたものではないのだ。そのほか、くるみゆべしの「くるみ」や杏仁豆腐のトッピングの定番「クコの実」など、もともと日本人にとってなじみのある食材の中でスーパーフードとされているものは多い。

 そう考えると、スーパーフードはまったく特別なものではない。むしろ驚くほど私たちの日常に根付いているもの、とさえ言えるのではないか。

 日本に限らず、各地域で伝統的に食べられてきた食材。その栄養価がたまたま高いと判明したとき、それは「スーパーフード」となる。スーパーフードを知ることは、各地に伝わってきた食文化を知る、あるいは再発見することでもあるのだ。

 美容や健康のトレンドと関連づけて語られがちなスーパーフードだが、その世界は意外なほど奥が深い。1つ1つのスーパーフードに物語があり、そして先人たちの知恵が詰まっている。本書は、スーパーフードの誇る素晴らしい効能と同じくらい、そのことを教えてくれる。日本に生きる我々の場合には、伝統的な和食の持つパワーを改めて確認することにもなるだろう。健康食品やスーパーフードに興味がある人はもちろん、食文化一般に興味がある人にもおすすめしたい一冊だ。

文=遠野莉子