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ライフネット生命会長・出口氏が座右に置く最強の中国古典! 「組織はリーダーの器以上のことは何一つできない」

 本を読む時間がない日々忙しい人のために、ロングセラー、ベストセラー、話題の本etc.…ダ・ヴィンチニュース独自の視点で選書した名著を紹介! 第8回は、ベストセラー『人生を面白くする 本物の教養』をはじめ、数多の著作があるライフネット生命会長・出口治明氏の『座右の書「貞観政要」』です!

 

 本書『座右の書「貞観政要」』(KADOKAWA)はライフネット生命の会長である出口治明氏の「座右の書」という中国の古典『貞観政要』から、マネジメントの原理原則が語られている部分を出口氏が厳選して抜粋。読みづらい、わかりづらいと敬遠されがちな古典をわかりやすく解説している。『貞観政要』は唐(618~907年)の第2代皇帝、太宗・李世民と、彼を補佐した重臣たちの言行録であり、「貞観」はもっとも国内が治まった時代であった当時の元号(627~649年)のこと、「政要」とは政治の要諦(物事の肝心なところ)という意味だ。

『座右の書「貞観政要」』
【新しさ】★★★☆☆
(歴史上の偉大な指導者たちも読み、参考にしたという究極のリーダー論、組織論)
【実用性】★★★☆☆
(物事の捉え方、考え方を変えればすぐにでも実行できることばかり)
【納得度】★★★★☆
(語りかけてくるような文体で内容も平易、腹落ちしやすい構成になっている)
【重要度】★★★★☆
(「これを読め」と無理に勧めない出口氏が、唯一勧めた本が『貞観政要』)
【わかりやすさ】★★★★★
(最初に背景が説明されるので、『貞観政要』の内容がスッと頭に入ってくる)

 

■歴史に苦手意識のある人も大丈夫!

 本書はまず「序章」で、2世紀半ばの寒波襲来によってユーラシア大陸の大草原に住んでいた民族が大移動を開始する歴史から始まり、そこからどうやって唐が成立したのかまでの時代背景、登場人物などを紹介してから本編へ入る。古典を理解するには、その作品が書かれた時代背景を知ることが大切という出口氏の説明によって、歴史に苦手意識のある人でも、その後に展開する『貞観政要』の内容がスッと頭に入ってくるような構成となっている。

 

■器は大きくならない、中身を捨てよ!

 『貞観政要』はビジネスの最良のケーススタディであり、リーダーシップ論、組織論の教科書という出口氏。「組織はリーダーの器以上のことは何一つできない」ものであり、しかも器は持って生まれたものなので、簡単には大きくはならない。なので器は大きくしようとせず、器の中身に入っている見栄や思い込み、こだわり、好き嫌い、欲求といったものを捨てて空っぽにし、新しい価値観や考え方、部下からの直言や諫言を受け入れること。またリーダーの大事な仕事は「事情がわからない中で右か左かの判断を迫られること」であり、そのためには情報がたくさんあったほうがいいので、リーダーは相手を選ばず人の話に耳を傾けることが肝要である。

 

■良い意思決定に不可欠な「3つの鏡」を持つべし

 『貞観政要』に登場するエピソードである「三鏡」は出口氏の座右の銘だという。これは「3つの鏡を持ちなさい」という教えで、元気で明るく、楽しい表情をしているのか自分を映してチェックするための「銅の鏡」、そして過去の出来事と今の状況とを照らし合わせて将来を類推するために、過去の事例・歴史を学ぼうという「歴史の鏡」、厳しい直言や諫言をしてくれる人を自分の身近に置き、その言葉を受け入れよという「人の鏡」がある。これは良い意思決定をする上で必要な心構えとなる。

 

■興味を持ったら『貞観政要』の原典に触れてほしい

 『貞観政要』には古語から引用した「君は舟なり、人は水なり」という言葉がある。君主は「舟」で、人民は「水」であり、舟は水があると浮くが、なければ浮きも進みもしない。そして正しい行いをすれば舟は安定するが、思いつきで何かを命令したり圧政を行ったりすれば転覆してしまう。リーダーは「この人についていきたい」と思われる人物になること。そのためには常に勉強を続け、部下への手出しや口出しは最小限に抑え、思いつきでの指示は厳禁、そして広く人の意見を聞き、正しく意思決定することが求められている。出口氏はいつも『貞観政要』を見えるところに置き、自らを戒めているという。また本書で興味を持ったら、ぜひ原典に触れてほしいと結んでいる。

 

【まとめ】 出口氏は「どんな部下でも信頼した方が得」と考えているという。初めに上の者が下の者を信頼するから、下の者が上の者を信頼する(その逆はない)。もし仮に裏切られても、信頼した自分が悪いと割り切る。そもそも人を疑えば、誰も自分のことなど信用してくれないのだ(『貞観政要』には李世民が敵方の有能な人物を重用して政治に活かしたとある)。本書は基本的にビジネスの話でまとめられているが、人生のあらゆる局面に役立つ内容が詰まっている。しかも説明は平易で、重要な部分にはあらかじめ傍線が引いてあるので、ポイントも理解しやすい。また本書では人に納得してもらうためには、ロジックに加えてたとえ 話や比喩、故事、逸話などを上手に使うという『貞観政要』で頻出するテクニックが全編にわたって 駆使されている。理論や抽象論だけでは人は動かない。「どうもうまく話が通じない」と悩んでいる人も、ぜひ参考にしてほしい一冊だ。

 

文=文=圧縮小太郎(あっしゅくしょうたろう)



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