嫌いになる「壁」がわかればスグ! 30日分のドリル形式で小学生の算数から学びなおす! 【テッパン公式】

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公開日:2017/6/21

『オトナのための算数・数学やりなおしドリル』(桜井進/宝島社)

 年々歳を重ねてくると「あのとき大人が言っていたこと」が分かるようになってくる。「大学生のうちに遊んでおけよ」「友達は大事にしろよ」「世界中を旅行しろ」などなど。言われている当時は全く耳を貸さなかったが、今になって「素直に大人の言うことに従っておけばよかった…」と、ちょっぴり後悔してしまう。失った時間や機会は取り戻せない。

 しかし今から取り返せるものもある。そのうちの1つが勉強だ。あんなに嫌っていた、滅べばいいと思っていた学校の勉強だが、いつかを境に「学校の勉強…きちんとやっておけば良かったな…」と思い始める。もし読者が勉強について後悔が残っているなら、ぜひ一念発起して勉強をやり直してはいかがだろうか。勉強は荷物にならないので、何歳から始めようが邪魔になることはない。勉強を始めることはメリットしかないのだ。そこで『オトナのための算数・数学やりなおしドリル』(桜井進/宝島社)をご紹介したい。

 本書は、塾講師であり、サイエンスナビゲーターとしてテレビ・新聞・雑誌で活躍する桜井進氏が執筆した「オトナのための数学ドリル」だ。忙しいオトナのために、たった30日間で小中高の算数・数学をしっかり学び直せる構成となっている。1日に勉強する量は1単元。単元ごとに用意している問題量も5分で解ける内容でまとめてくれているので、これならなんだかできそうだ。本書をやりこめば、1か月後には数学が解ける大人になっているかもしれない。

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 学生の頃、数学が嫌いになる「壁」はいくつもあった。そのなかでも多くの人が粉々に砕け散った「因数分解」について、本書の内容よりほんの少しだけご紹介したい。

「展開」と「因数分解」の基本を思い出してみよう。式の( )を外すことを「展開」、反対に( )を使った式にまとめることを「因数分解」という。


 展開や因数分解を行うには、基本となる公式を覚える必要がある。それが以下の5つだ。


 この5つの公式が展開や因数分解を解くカギだ。本書では、ここから因数分解のコツである「たすきがけ」について説明している。気になる方は本書でチェックしてほしい。

 読者は「和算」をご存じだろうか。江戸時代に日本で独自に発展した数学のことだ。本書ではこの和算の1つ「ねずみ算」を紹介している。

〈問〉
ねずみの夫婦が正月に子を12匹産み、親子で14匹になりました。2月になると、ねずみは親子ともに12匹ずつ子を産み、親・子・孫の数は合計で98匹になります。この規則に従って次々に12匹ずつ子を産んでゆくと、12月には合計で何匹になるでしょうか?

 この問題、数学の知識がない人には難しい。等比数列を使わないと解けないのだ。しかし本書をやりこむと、等比数列についても学ぶので、上記の問題が解けるようになる。ちなみに答えは…276億8257万4402匹だそうだ。「ねずみ算」恐るべし。

 人生とは不思議で、今までできなかったことができるようになると、急に目の前が明るくなる。本書によって数学ができるようになると、子どもの頃から抱えていた「苦手意識」が消え去って、ちょっぴり心が軽くなるかもしれない。何かを取り返す機会というのは、意外とどこにでもある。

文=いのうえゆきひろ