お金をかけずにダイエットや若返り!? 話題の“ヨーグルト歯磨き”の効果とは? 現役歯科医師が教える、笑って学べる歯科エッセイ

健康・美容

公開日:2017/8/27

『たいへん申し上げにくいのですが… 雑学だらけの歯科エッセイ』(野村洋文/秀和システム

 歯は人間にとって大切な存在だ。うっかり放置してしまうと歯周病や口内炎、口臭とさまざまな悩みに苦しめられ大きな後悔をするはめになる。誰しも“歯”とは長く良い関係でありたいもの。しかし健康な歯を維持するために知識を得ようと思っても歯について書いた本は素人には不向きな専門書であったり、「歯磨きを一生懸命にすれば人生の悩みがすべて解決できる」といった突飛な発想のタイトルだったりして、なかなか手にする気が起きない人もいるのではなかろうか。

 そこでご紹介したいのが笑って学べる歯科エッセイ本『たいへん申し上げにくいのですが… 雑学だらけの歯科エッセイ』(野村洋文/秀和システム)だ。専門的な用語が並ぶ専門書とは異なり、度々脱線する著者の話を面白可笑しく読み進めていくうちに歯や口に関する悩みの解決へとつながる知識や、ちょっと人に話したくなるような雑学を学んでしまえる本なのである。著者の野村洋文先生は埼玉県入間市にある歯科医院の勤務医として日々ご活躍している現役の歯科医師。ただ他とちょっと違うのはとてもユニークでサービス精神が多い方であるという点だろう。

 歯医者に治療に行くと歯科医師から日常の歯のケアについて聞くことがある。しかし、「歯周病原因菌は唾液の交換により人から人へとうつります。夜の営みでご注意いただきたいのですが、キスはレモンの味がするライトキスまでにしてください。ディープキスは歯周病の原因になりますから極力控えてください」などと親切にアドバイスを受けたことがある人はいるだろうか。まぁ、普通はいないだろう。

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 虫歯菌はキスではうつらないが歯周病原因菌はキスなどによる唾液感染でもうつるという。しかし歯科医師が患者の夜の営みについて口を出そうものならセクハラで訴えられかねない。そこで本当に言いたいことは心にとどめておき、こういうそうだ。「歯周病は、主に唾液の感染でうつります。食事時、ご家族のあい箸で唾液の交換がされてしまいますから、旦那様やお子さんも、悪い菌がいるかどうかお調べいただいた方がよいと思います」と。

 しかし本音を明かしてしまえば、「あい箸での唾液交換なんぞ、ディープキスでの唾液交換に比較すると微々たるもの」であるとのこと。「僕の本心を察していただき、ご自身で解釈して」ほしいと思っているそうなのである。もし、ご家族とのあいばしについて歯科医師からご注意を受けた方がいたらどうぞご察しください。

 美しくなりたいという想いは多くの女性にとっての願いだと思う。しかし、エステだ、高性能化粧品だといったものは高くて手が出ないという人もいるだろう。そんな人でも無料でできる美容法があるという。それは、“噛む”ことだそうだ。そんなことかなどと思ってはいけない。これがまた馬鹿にできない方法なのである。よく噛むことで肥満の原因である“早食い”を避けることができる。胃から分泌するホルモンが噛めば噛むほど食欲を抑制して、満腹感を高めてくれるのだそうだ。さらに噛むことで口周辺の筋肉が鍛えられ、顔のたるみの改善や小顔効果も期待できる意外に身近にある美容法。いつでも、どこでも、無料でできる噛む美容法を一度試してみてはいかがだろうか。

 最近話題の「ヨーグルト歯磨き」。歯磨き粉による通常の歯磨きの後にヨーグルトを歯ブラシにつけて磨き、そのまま放置するか飲み込むことで歯周病を予防するという方法だ。この方法は歯周病原因菌と虫歯菌を退治してくれるロイテリ菌入りの無糖ヨーグルトを使用することで効果が期待できるという。ただしヨーグルトはそのまま放置すると硫黄臭を発生させるとのこと。ヨーグルト歯磨きはヨーグルトを口内に停滞させることがポイントであるため、人と会う前には避けた方が良いようだ。

 他にも、インプラントやブリッジ、入れ歯のリスクやリターン、歯の治療が怖い人におすすめの治療方法、猫舌や歯ぎしりの治し方、口臭の原因と予防になる食品のほか、「酒飲みは麻酔が効かない」「虫歯がひどい人は歯周病にはなりにくい」といった噂の真相などがたっぷりと紹介されている。ぜひ私たちの健康にとって切っても切れない歯と口内について本書で楽しみながら学んでみてはいかがだろうか。

文=Chika Samon