発売前の本を読んで本の応援&プロモーションに参画!「NetGalley」ついに上陸!

ビジネス

2018/2/6

 帯や書店のポップ、出版社のサイトに並ぶ新刊への“応援メッセージ”は、読み手にとって、本をセレクトするときの貴重なガイドラインだ。そのメッセージを、出版社が集めるためには、刊行前の紙媒体による校正刷り(ゲラ/Galley)を、目利きの書店員や書評家らに配り、読んでもらうというプロセスがあった。作品の魅力を、プロの読み手たちの生の声を通し、広めていくその手法は、これまで広く浸透してきたプロモーション活動。だがその枠組みを拡大してSNS時代に呼応させた画期的なサービスが昨年10月よりスタートし、大きな話題を呼んでいる。

 それが、発売前の本を全ページ、インターネット上で公開する「NetGalley」。会員登録を行った人が、サイト上に掲示されたなかから、読みたいゲラをリクエストし、版元である出版社に承認されれば、デジタルデータのゲラを無料で読むことができるというサービスだ。その大きな特徴のひとつは、書店員や書評家など、選ばれた読み手だけではなく、一般読者にも、その扉が広く開かれている点。最新作のゲラを読み、レビューやメッセージを出版社に届けることで、その声が出版社のサイトや書店での販促活動につながっていったり、自身のSNSやブックレビューサイトへの投稿によって、本の応援活動に参加することのできる楽しさは、本好きの心を大いに刺激するはずだ。

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www.netgalley.jp

 アメリカで2008年からスタートした「NetGalley」は、本国ではすでに300社以上もの出版社が参加。サイトに掲載される年間2万点の本には、月間5万件以上ものレビューが投稿され、もはやアメリカ出版界ではなくてはならないサービスに成長している。日本でも、スタートから4カ月で、すでに幻冬舎、講談社、光文社、集英社、小学館、筑摩書房、KADOKAWAをはじめ31の出版社が参加。そして、ゲラが公開されている作品には、道尾秀介、宮下奈都など人気作家、待望の新作も!

POP画像
書いたレビューがPOPに使用されることも!

 そのなかには独自に設立した“新井賞”が毎年、話題となっている三省堂書店神保町店の名物書店員・新井見枝香さんの初エッセイ『探してるものはそう遠くはないのかもしれない』も。これまで数多くの新刊ゲラを読んできた新井さんも、いちはやく「NetGalley」の会員に登録。プロの読み手としてレビューを寄せる一方、自著の新刊ゲラを同サイトで公開。そこに寄せられた数多くの感想は、プロモーション活動の際、大いに参考になったという。

 そんなカリスマ書店員と同じように、誰もが新刊ゲラを読むことのできるサービスは、〝本が売れない〟と言われて久しい日本の出版界に、“読み手”の力で変えていく新たな流れを作り出してくれるかもしれない。

文=河村道子

 

■NetGalley掲載作品はこちらから

 

三省堂書店書店員 新井見枝香さん

三省堂書店書店員 新井見枝香さん

 休日、書店員の友達と待ち合わせをすると、開口一番「今、何読んでる?」という話になる。お互い、やけに大きめのカバンから取り出したのは、発売前の小説のゲラ。2、300枚、多いときには500枚近くのコピー用紙を、クリップで留めただけの束だ。それは仕事と趣味を兼ねたワクワクの塊だが、いかんせん重く、嵩張る。混雑した電車では、開くこともできない。でもこれからは、どんどんNetGalleyで読みたいものが読めるようになる。私たちがスマホやタブレットだけで、もっと身軽にお出かけできるようになる日も近い。

『探してるものはそう遠くはないのかもしれない』書影

『探してるものはそう遠くはないのかもしれない』
新井見枝香 
秀和システム 1000円(税別)