ダ・ヴィンチ、ちゃん?【FGO特集番外編】

マンガ

公開日:2020/8/1

ダ・ヴィンチ2020年9月号
『ダ・ヴィンチ』2020年9月号(8月6日発売)

 そうしたキャラクターが存在することを、弊誌のメンバーはだいぶ前から知っていた。

 雑誌の編集者というのは発売日にもなれば、SNSで誌名を検索するものである。

 筆者の場合、打ち込むワードは「ダヴィンチ」「ダ・ヴィンチ」の2つで、雑誌の正式名称は後者である。「ダビンチ」は案外数が少ないので除外している。

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 しかし数年前から発売日当日にも関わらず、スクロールすれどもすれども目当ての感想が見つけられなくなった。あろうことか誌名の後ろに「ちゃん」がつき、それが「推し」とか「可愛い」とか、そういう言葉とセットでつぶやかれているのだ。

 閑話休題。

 間桐桜と15年前に出会っていたら、と人生の別ルートを妄想するくらいの自由は大人にも許されるはずである。

 今回の特集で取材させて頂いた島﨑信長氏は、まさに黎明期のTYPE-MOONによって人生のifを歩むこととなった一人であろう。インタビューの語り口が、もはやプロモーションのそれではない。言うなれば奈須きのこという創造主の熱に浮かされ、自ら海を渡った宣教師のそれであった。

 そんな創造主・奈須きのこもまた、出会いによって人生を変えられた一人だという。今回、単独では独占の貴重なインタビューとなったが、武内崇という盟友、菊地秀行、山田風太郎、綾辻行人という鬼才が、ひいてはFateという作品を世にもたらしたとも言える――――そう捉えられるような発言を潔く出来るところが、このクリエイターの底知れないところではないだろうか。

 そんな前人未到の異才・奈須きのこへのインタビューで明かされたのが、FGO第六章の「もうひとりの功労者」の存在だ。

 ついにその公開日が12月5日と発表された『劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 前編Wandering; Agateram』、その元となるゲームFGO第六章のシナリオを奈須に書かしめたのは、同劇場版の主題歌を務める坂本真綾であったというのだ(詳細は本誌でチェックしてほしい)。

 そんな坂本と宮野真守に縁あって表紙を飾って頂いた特集号。二人が選んだ本は宮澤賢治の「よだかの星」(『宮澤賢治全集』所収)と尾田栄一郎『ONE PIECE』だ。そのセレクトの理由も本誌で明かされている。

 本特集をきっかけに普段アニメやゲームに触れない読者にも、新たなifが生まれることを願っている。