「これぞ日本の文化」『サザエさん』意外と知らない“お月見”の意味とは?

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公開日:2020/10/4

サザエさん
『サザエさん』14巻(長谷川町子/朝日新聞出版)

 9月27日のアニメ『サザエさん』では、お月見のエピソードが放送された。視聴者からは、改めてお月見という行事の素晴らしさに気が付く声が多くあがっている。

 話題のエピソードは、作品No.8163「今どきのお月見」。明日のお月見を心待ちにしている波平とマスオ。カツオから「月見酒を楽しみにしてるんだから」とちゃちゃを入れられると、波平はゴホンとひとつ咳をついて「そのためだけじゃないぞ」と否定し、「人や社会はどんどん変わっていくが、月だけは変わらん」とロマンを口に。続けて、「原始時代から現代までそれぞれの時代の人たちが、同じ月を眺めていたと思うと感慨深いものがあるじゃないか」と熱弁すると、ノリ気でなかったカツオも俄然楽しみになるのだった。

 当日の昼。マスオは子どもたちを連れて近所の家へススキを貰いに行くと、その家には既にススキやお月見団子の他、季節の野菜や果物がお供えされていた。一行が野菜の存在を意外に思っていると、その家の住人は「お月見は収穫に感謝して、この時期のとれた野菜や果物をお供えする習わしもあるんですよ」と説明。これにはカツオも「初めて知りました。お月見って深いな」とひとつ勉強になったようだ。

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 そしてその夜、磯野家の縁側からは立派に輝くお月様の姿が。ススキとお団子を囲みながら、マスオとノリスケは「月に観光旅行で行けるかも」と他愛のないことを話し、波平は俳句を詠んでいる。和気あいあいとみんな並んで月を見上げたところで、エピソードの幕切れとなった。

 今年の十五夜は、去る10月1日。都内では雲ひとつなく、くっきりと鑑賞するとこができたが、現代においてススキや団子さらには野菜まで用意してお月見に臨んだ家庭はそう多くはないだろう。しかしながら、サザエさんの世界では、諸準備をした上で親戚同士が集まり縁側で並んでお月見をするという“日本らしい”光景が繰り広げられた。

 視聴者からは、「今時、お月見をキチンとしてる家庭は少ないと思われる中、キチンとお月見をするサザエさんは、お月見の文化が絶えないように頑張っているのかも知れません」「こんなに物知りになれるアニメやっけ! とおもった、きっと大人になって視点が変わったんやろうなあ」「日本の文化の形を分かりやすく残す為にもサザエさん必要だなと感じた ※酔ってます」「お月見という一般的には馴染みが浅くなってしまった風習をド定番な行事としてお話を作るサザエさん素晴らしい 逆にこれでお月見の時期とか習わしを学べるしなぁ」などと反響があがっている。

 観て楽しいだけでなく、奥深き日本文化をも学べるとは、さすがは放送50周年を迎えた国民的アニメだ!