『フルーツバスケット』カフェがオープン! 高屋奈月先生がこの日のために15点描き下ろし! 「兄命」オムライスやニラ玉丼も楽しめる!

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更新日:2021/4/7

フルーツバスケット

 4月1日から5月9日までの期間限定で、『フルーツバスケット』のカフェがオープンする。『フルーツバスケット』、通称フルバは90年代後半~00年代にかけて『花とゆめ』を読んでいた者たちにとってのバイブル的存在。全世界でも3000万部超えの人気漫画である。

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 読者の間では、主要キャラの2人である草摩由希と草摩夾、自分はどっち派で、主人公の本田透は最後にどちらと結ばれるのか、大激論が交わされていた。主要キャラ以外にも、十二支になぞられた魅力的なキャラクターが多数登場する本作は、思えば「推し文化」の先駆け的存在だったのかもしれない。

 当時、少年少女たちは『花とゆめ』を片手に80円切手を数枚握りしめて、応募者全員サービスに申し込んでいたのだ。少なくとも私はそうだった。夾くん(推し)のテレフォンカードがほしくて、何度自宅の切手を掠め取っていたことか。(※当時の応募者全員サービスの景品はテレフォンカードが多く、代金は封筒に金額分の切手を入れて送る仕組みだった)

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フルーツバスケット

 20年以上も前の作品であるフルバのカフェが、なぜ今オープンするのか。実はこのカフェ、出版社である白泉社の公式常設カフェ「Cheer fancle cafe」なのだ。白泉社が、コラボカフェを全国に展開するシーレ株式会社ともに立ち上げた共同事業だそうだ。

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 その常設カフェの第一弾として『フルーツバスケット』が選ばれている形であり、今後は約1ヶ月単位で作品を変えてあらゆるコラボカフェを開催する予定になっている。

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 とはいえ、このコロナ禍で飲食店をオープンするのは思い切ったことのように思えるが……。

 白泉社・冨岡幸雄氏(以下、冨岡)「実は意外にも、コロナ禍においてコラボカフェの売り上げはあまり低迷していないんです。私たちも昨年は、様々な展示やイベントが延期になり、試行錯誤を繰り返してきました。その中で、お客さんにご迷惑をおかけしない形でやってみよう、と」

 シーレ・森本重久氏(以下、森本)「カフェは昼間にいらっしゃれて、お客様の単位も一人~少人数なのは大きいです。また、コラボカフェには限定感があり、そこでしか手に入らないグッズがあります。今回は版元の公式カフェというのもありまして、そこが何よりの強み。ほかのコラボカフェではできないこともできそうです」

フルーツバスケット

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 実際、今回のフルバカフェでは作者の高屋奈月先生描きおろしは15点、さらに新規SDキャラも登場! 食事やドリンクを注文するとランダムで一つもらえるコースターのデザインも、今回の初出し。また、高屋先生のTwitterによると、先生が自主的に「ウェルカム色紙」を用意してくださっているようだ(カフェ予約来場者のみが閲覧可能とのこと)。

https://twitter.com/n_takaya77/status/1374298384538898437?s=20

 冨岡「先生にこんなにご協力いただいて、ご迷惑になっていないか心配になるくらいです(笑)。現段階(オープン前)は秘密ですが、カフェのオープン日までには、初出しの原画(複製)を多数展示し、原画展+カフェのような空間になります」

 森本「コラボカフェには“フードファイト” “ドリンクファイト”という文化もありまして、特典グッズを入手するために、食事やドリンクを注文し続けて、『今からフードファイト始めます』などとSNSに投稿いただく方も多くいらっしゃいます。今回のカフェでも、そういった楽しみ方をしていただくのは大歓迎です」

フルーツバスケット

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 今回、私+ダ・ヴィンチニュース編集部が注文したのは「由希を一人にしないという清らかな誓いのオムライス」「あみだくじで決まったニラ玉丼」「夾の猫パンケーキ」「マブダチトリオの3色団子」「透のおにぎりホワイトスムージー」「君のような星空ラテ」の6つ。メニュー名にも作品愛が込められているのはもちろん、注文の品が置かれる際には、「言葉を喋れなくなった杞紗のために、透があみだくじで決めたニラ玉です」などと由来となったシーンについて説明してもらえる。

フルーツバスケット

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 ニラ玉丼を食べながら、杞紗のエピソードを思い出したり、「ニラニラニラニラニラニラ……」と青ざめる夾の顔がよぎったり。「兄命」の文字が目を惹くオムライスからは、「案ずる事はない! ボクがあまりにも的確かつ正確に由希の心の声を代弁した結果が【兄命】さ……っ」とかいう声が聞こえてきそうである。

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 改めて読み返してみると、『フルーツバスケット』は今この時代にこそ触れたい物語だと強く思う。続編の『フルーツバスケットanother』含め、フルバは作品を通して一貫して「そのままの自分でいいんだよ」というメッセージを伝えてくれている。「十二支の絆」というファンタジー要素に絡めて描かれるのは、家族やしきたりに縛られる「呪い」、虐待、過干渉、“異端”なものへの差別。人権や差別についての問題が取り沙汰されることが増えてきた昨今、十二支の物の怪(もののけ)に憑かれているがゆえに親族や友人から“排除”されてきたフルバのキャラクターたちに、何を思うだろうか。

取材・文=朝井麻由美

フルーツバスケット

Cheer fancle cafe
住所:東京都千代田区神田淡路町1-4-1 友泉淡路町ビルB1階
営業時間:11:00~20:30 ※予約制