就職を控えた障害のある学生3人をパネラーとして、オンライントークイベントを開催しました
株式会社ここだな
公開日:2025/4/14
「ここが変だよ 障害のある学生の新卒就活2025」開催レポート
株式会社ここだな(代表:菅野智文)は、昨年の初開催に引き続き、2025年3月20日(国際幸福デー)にオンラインパネルトークイベント「ここが変だよ 障害のある学生の新卒就活2025」を開催しました。 本イベントでは、障害のある学生の新卒就活が少しでも良くなるように、障害のある学生当事者が就職活動中に「ここが変だよ」と感じたことを発信しました。
名称:ここが変だよ 障害のある学生の新卒就活2025
開催日時:2025年3月20日(木・祝)15:00~17:00
主催:株式会社ここだな
(※当事者事前アンケート・イベント内容(詳細)はこちらをご確認ください)
イベントでは、まずは主催者からの概要説明と、パネラーの自己紹介を行いました。
パネラー(ハンドルネーム)
・のこ|文系・学部4年生障害の種類:双極性障害 一般採用と障害者採用に応募。一般採用で内定した企業に入社予定。・mrx|理系・修士2年生障害の種類:広汎性発達障害就職活動では障害者雇用にのみ応募。公務員として働く予定。
・ひかり|文系・学部4年生障害の種類:発達障害就職活動では一般採用から障害者採用に途中で切り替え。障害者採用で内定した企業に入社予定。
その後、メインテーマであるパネルトークへ。当事者事前アンケートによって集まった「就職活動中に『ここが変だ』と感じたこと」のリストの中から、パネラーが話したいものを選び、意見交換を行いました。
1.パネルトーク「ここが変だよ 障害のある学生の新卒就活」
・エージェントから「障害への理解が深い」と聞いた企業の面接で、「ご自分の病気が治らない理由は何だと思っていますか」と聞かれた。・一般雇用向けの会社説明の際、多様性への取り組みを紹介するなかで、「障害のある方にはオフィスで提供されているハーブティーを作ってもらっています!」と高らかに言われた。障害者には企業の業務内容として全く無関係なことをさせていると宣言することが、この企業にとっては多様性への取り組みとして胸を張れることなんだなと一気に熱が冷めてしまった。
・Instagramに何故か、とある大手人材企業による企業向け障害者雇用コンサルの広告が出てきて、障害者を扱いやすさ(使いやすさ?)でランク付けするような図解資料が載せられていた。ダイバーシティの推進って綺麗事なんだな(扱いやすい人しか採用しないんだな)と企業の本音を見てしまった気分。その会社の障害者雇用エージェントは良いサービスをしていただけに、求職者には見せない裏側を知ってしまってショックだった。
障害について知ることや、ラベリングせずに学生一人ひとりを見ること、また、採用に当事者が関わったり、当事者の視点を入れたりすることの重要性を認識するパネルトークとなりました。
続いて、参加者とのQ&Aを行いました。
2.参加者とのQ&A
以下では、参加された方々からの質問の一部を紹介します。
・自分は精神障害があるのですが、障害のある方の就活に関する悩みや苦労をたくさん聞いて、「精神障害をオープンにして就活するのってやっぱり怖いな…」と思ってしまいます。一般採用のほうが職種も広く、差別を受けることもなく働けるのでは?と思ってしまうのですが、「自分の障害をオープンにして就活していこう!」と皆さんが考えた経緯を、そう決めるまでにどのような葛藤があったのかなども含めて教えてもらいたいです。・同じ障害を持っていて就活を頑張っている仲間や、就活を終えた先輩と繋がりたいのですが、どうしたらいいのでしょうか?
・逆に、就活の場面で“ここは良かった”と思われたことがありましたら教えてください。
・入社予定企業への入社を決めた理由と、その会社の最初の印象を話せる範囲で教えていただきたいです。
・採用された企業で長く働くためには、どのようなサポートが大切で必要だと思いますか。
最後に、パネラーの皆さんから一言ずつ感想やメッセージをいただきました。
3.パネラーからのメッセージ
・私は学内に知り合いがおらず、誰とも情報交換をせずに就職活動をしたので、今日、同じような立場の人の話を聞けて、チャットでも『あるある』と言ってもらえて、仲間がいたことを今更ながら実感した時間になりました。一つ補足すると、私はかなりの数の企業の選考を受けましたが、それはうまく自分の体調をコントロールできたタイミングだったからこそです。なので、長期的に見れば、自分の体調を優先して行動することが最善につながると思います。応募企業数には左右されずに、体調優先で取り組みましょう。・今日いろいろな話を聞いて、僕が一つ幸運だったんだなと思ったのは、『ここが変だ』と感じることがないまま就職活動を終えることができたということです。障害者採用において理不尽な目に遭わなかったことは大きな幸運だったんだなと今更のように感じています。そして、今日話したり、チャットの反応を見たりしていると、程度の差はあれ自分と似たような経験をした人が多いのかなと感じたこと、また、障害のある学生の就職活動に関心を向けてくださる人がいることが嬉しかったです。人間捨てたものじゃないなと思わせられました。
・ 障害者採用での就職活動には理不尽なこともいろいろとあるけれど、悪いことばかりじゃないということは、最後に伝えておきたいことです。というのは、私が入社予定の会社の人たちは、障害についてだけでなく私自身が学生時代に取り組んできたことや得意なことについていろいろと聞いてくださり、その結果として、私の苦手が悪い方向に影響しづらく、私と相性のいい職種を見つけてくださいました。会社の価値観や風土も自分が大事にしたいことに合っていて、配属予定の部署の方の雰囲気も自分と合っているなど、いろいろなことが積み重なって納得して入社を決めることができた企業です。こういった出会いもあることはお伝えしたいと思います。
参加くださった方々は、感じたことや得た学びをそれぞれの場所に持ち帰り、改善できることから着手でしていただければと思っております。
この企画は、今後も「ここが変だ」がなくなるまで、年1回、国際幸福デーである3月20日前後に実施していく予定です。
以下では、参加された方々からの感想の一部を紹介します。
・1つの出来事に対してどう感じたのかが、3者それぞれ素直にその時の気持ちや思いを伝えてもらえたため、良かったと感じました。・それぞれのやり方で障害者というハンディキャップを乗り越えているということをお聞きし、私自身も就活において自分の持っている能力を最大限に発揮する自信がつきました。
・就活が近づく中で、インターネットで調べると身体障害の方の就職に関するポジティブな情報を得ることは可能でも精神・発達障害に関してはネガティブな情報が多く、強く落ち込んでしまうことが多かったです。また、精神・発達障害の学生の就活に関する情報がほとんど無く、本当に就職できるのか、どのように進めたら良いか不安でした。その際にGATE-Cや今回のイベントを知り、同じような境遇の学生の方の実体験を聞くことができ、とても勉強になりました。
・どこに大変さを感じているのか人それぞれ違うこと、頑張らないとできないことがあること、大変参考になりました。一見普通に見えていても、その裏でとても頑張っていたり無理をされていたりするという視点をもつことが大切だと感じました。働く上でキャリアデザインがあることはモチベーションに繋がりますね。
・本日、お話を聞いていてもまだそんな会社があるのかと感じるぐらい世の中の理解が遅れているところがあるんだと感じています。本日のような機会をいただけるのは企業にとっても有意義なことだと感じておりますので、また参加したいと思います。
・当事者の率直なお話を伺い、胸を掴まれる感覚になりました。自分がわかったフリをしていることに気付かされたように思います。そして、私たちはどうであり変化し続けられることに希望を持てる時間でした。
・障害者だからといって不公平に扱われてはいけない、またハンディキャップを自分のやり方で打ち破ることが大事である、ということが強く伝わりました。
・大学のキャリア支援を長くしておりますが、当事者の方々のお話を聞けたのは初めてでした。率直な思いや考のみならず、採用面接やエージェントの現実を知りました。世の中で言われているダイバーシティとはなんなのか考えさせられました。目の前の学生が固有であることを肝に命じて併走していきたいです。
・特に多様性については言葉だけ先行し、実態の伴わないことにならないように、考え続けることが大切だと感じました。
・それぞれの登壇者の実体験に基づくお話をされていて、また、登壇者同士のトークを通じて、登壇者の方ご自身でも、気づきや解釈もされており、コミュニケーションの難しさをベースにしつつも、採用側・支援者側として、「目線の置き方」や「当事者意識にも寄り添う大切さ」を改めて考える機会となりました。
・日々勉強するなかで、「ASDの方はこの職種が向いている」というステレオタイプ情報を沢山目にします。分からない世界ゆえ、どうしても構造化して知りたくなってしまいますが、パネルトークでも会話されていたように、一人ひとりとちゃんと向き合って理解しないといけない事を、改めて痛感しました。
本件に関するお問い合わせ
会社名:株式会社ここだな
担当:菅野(かんの) 智文
問い合わせフォーム:https://kokodana.co.jp/contact
E‐Mail:career_assist@kokodana.co.jp
株式会社ここだな 障害のある学生支援事業について
障害のある学生当事者の声を起点とし、一人ひとりから具体的な課題を直接聞き、企画・プログラムを実施しています。学生当事者、大学支援者、企業の参加費は全て無料で、金銭的な負担はございません。
また、学生同士が情報を共有し合えるコミュニティを通じて、日常生活やキャリア形成において相互に支え合う環境を整えています。
このサービスを通じて、一人ひとりがその可能性を最大限に発揮できるよう支援しております。
▼サービスの特徴
1. 学生当事者を起点学生当事者の視点とニーズに基づいて企画・プログラムを設計しています。学生一人ひとりの声を直接聞き、直面している具体的な課題に基づいて支援を形成していきます。2. 無料の包括的サポート学生当事者、大学支援者、企業の参加費は一切無料です。法人・個人の支援から資金を確保し、全ての利用者が金銭的な負担なくサービスを利用できるようにしています。
3. コミュニティの促進学生同士が互いに支え合い、情報を共有できるコミュニティを大切にしています。このコミュニティは、日常生活や学業、キャリアの各面で相互支援の支えとなります。
▼サービスサイト:障害のある学生のための『GATE-C』はこちら
障害のある学生のための『GATE-C』は、多くの法人・個人の皆さまに支えられて活動を続けています。障害のある学生が、自分らしい働き方の扉を開けて、前に進むために、就職活動のサポートに加えて、対人コミュニケーションやセルフケアのためのプログラムを開催しています。
活躍できる可能性のある学生が、活躍する機会に巡り合えるように。
理想の実現に向けた行動を継続していくために、GATE-Cの活動を支えていただけませんか。
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