小学生1~3年生とその親1,200組に聞いた「2025年版/小学校の荷物重い問題 最新レポート」

フットマーク株式会社

公開日:2025/4/23

平均は4.13kg→3.94kgで2年連続の減少、それでも“重い”と感じる子どもは9割超

フットマーク株式会社(本社:東京都墨田区、代表取締役社長:三瓶 芳)は、通学にランドセルを利用している小学1~3年生とその保護者1,200組を対象に「ランドセルの重さに関する意識調査」を実施いたしました。同調査は今回で4回目で、教科書を入れた状態でのランドセルの重さの平均は4kgを切ったことが初めて確認されました。しかし依然として多くの小学生が通学時にランドセルを重いと感じていることが分かりました。 調査結果について、長年ランドセルの重さと児童への影響を研究している大正大学の白土健先生(以下、白土先生)に解説および、ランドセルの重さ問題についての解決策をお聞きしました。

【調査サマリー】

ランドセルの平均の重さは94kg二年連続減、しかし小学生の約9割がランドセルが重いと実感。

小学生の90.4%が「ランドセルが重い」と感じていると回答。保護者の85.8%もランドセルが重すぎるのではないかとかと感じていることが分かりました。ランドセルの平均の重さは3.94kgで、昨年の4.13kgより減。これは二年連続減っている結果に。



置き勉禁止は減少傾向。ランドセル以外に荷物を持ち運びしている小学生は、ほぼ横ばい

置き勉の禁止については前回の31.5%から29.6%と減少傾向ですが、禁止はされていないけれど持ち帰りをしている子どもは64.2%。また90.7%の子どもがランドセル以外のカバンを持ち運びしており、調査開始以降、ほぼ横ばい。荷物の二個持ちは当たり前である結果に。



入学後にランドセルの買い替えを検討したことがある親は2%で昨年の120%増

前回の7.6%から120%増の9.2%の親が入学後買い替えを検討したことがあると回答。その理由は「カバン自体が重いため」が一位。さらに革製以外のランドセルの存在を認知している親も前回55.2%から64.6%にアップ。ランドセルの選択肢の多様化が感じられる結果となりました。



■ランドセル重い問題:平均の重さは初の4kgを切るも、9割が“まだ重い”と実感

昨年の調査よりランドセルの平均の重さ(教科書を入れた状態)は4.13kgから3.94kgに減。初めて4kgを切る結果となりました。白土先生はこの要因について「置き勉が推奨されてきていることや、各社の企業努力でカバン自体が軽量化してきていることも要因のひとつ」とコメント。

2024年からパソコンやタブレット端末に文字や画像を表示して使う「デジタル教科書」が学校現場で本格導入され、現在は紙の教科書との併用が望ましいとされています。調査の回答からもタブレットやPCと紙の教科書を併用している子どもは8割を超えており、さらには64.9%が持ち運んでいる結果でした。



■学校での状況:置き勉禁止は減少傾向。ランドセルとサブバッグの二個持ちは常態化。

荷物の重さに大きく影響しているのが「置き勉」の可否ですが、禁止されている子どもは32%。しかし禁止されていないが、「家庭学習のため」「何となく持って帰ってきている」が62.1%でした。「過渡期で重さが増す状況となっている中、子どもは忘れ物をしないために、過剰な荷物を入れている傾向が見られます。帰宅後ランドセルをまったく開けないケースもあるようで、保護者がまず子どもの荷物の中身を把握してあげることが大事です。さらには一緒に時間割を見て、該当科目のみを入れることを提唱したい」とコメントされました。

またカバンの中身については「水筒」が減、一方で「防犯対策のためのアイテム」が増。これについて白土先生は「コロナ禍では水筒持参が必須でしたが、徐々に学校内の水飲み場などが開放されていると考えられます。また、防犯意識は昨今の痛ましいニュースなどからの対策ではないでしょうか」と推測しました。

ランドセル以外に荷物を持ち運びしている子どもは90.7%とランドセルとサブバッグの二個持ちは常態化しています。

 


■選択肢の多様化:買い替え検討は過去最大。前年比120%、2021年比で約3倍に。布製ランドセルの認知も増

今回の調査では9.2%の親が「入学後に買い替えを検討した」と回答。理由は「カバン自体が重いから」続いて「子どもの身体の負担を減らすため」。この数字は年々増加しており、調査開始の2021年と比較すると約3倍に増えていることが分かりました。一方で「革製のランドセル以外にナイロン製・ポリエステル製のランドセルがあることを知っている」親は64.6%で、前回の55.2%から117%増という結果でした。白土先生は「ランドセルの購入対象者は毎年変わります。いざ自分が当事者にならない限り自分ゴトにはならないと思います。その中で収集していく情報がすべてで、子どもが使い始めて実態を知ることも多いはずです。またSNSの情報やそれによる同調圧力がラン活の早期化の一因でもあるのでは」との見解を述べました。

さらに重さ対策の一つとして、「セカンドランドセルを使用する人もいます。荷物が重たい曜日や蒸れやすい夏場だけ変えるなど、臨機応変に使い分けをしている声も聞きます。革製以外の選択肢も増え、周囲の目も気になりにくくなったなど環境の変化もそうした動きを後押ししているのではないでしょうか」と白土先生は解決策を述べました。



また近年は自治体が新一年生に軽量カバンを提供するケースも見られます。「背景にはランドセルの購入価格の高額化も影響のひとつであると考えられ、格差の象徴となり得る懸念もあります。一方で祖父母から贈られる“入学祝いの定番”としての風習も、なお根強く残っていますので、各ご家庭に合わせた選択性の自治体の動きは大変良い傾向だと思います。」と白土先生はコメント。

最後に「現場の工夫、カバンの改良などでランドセルの重さが軽くなっていることは良い傾向です。数年前は異質なものとして見られていた革製以外の選択肢が一般化してきているも要因の一つであると考えられます。次に必要なのは、荷物を取捨選択し、いかに上手に整理整頓できるかということではないでしょうか。ぜひご家庭でもお子さんと一緒に知恵を出し合う時間を取っていただきたいです。そしてより楽しく登校ができることを願っています」とコメントしました。

【監修者プロフィール】

白土 健(しらど・たけし)大正大学副学長 地域創生学部地域創生学科教授

明治大学政治経済学部卒、多摩大学大学院経営情報学研究科修了。株式会社プリンスホテル、財団法人日本ホテル教育センター(現一般社団法人日本ホテル教育センター)企画開発室長、シダックス株式会社社長室、育英短期大学、松蔭女子大学を経て現職。子どもの関わる消費ビジネスを主に研究し、小学生のランドセルの重さに関する調査を実施。



【調査概要】

タイトル:2024年度ランドセルの重さに関する意識調査

調査対象:通学にランドセルを使用している小学校1~3年生とその親1,200組

調査期間:2025年3月12日~24日

調査方法:インターネットによる調査(クロスマーケティング)

調査地域:全国

実施機関:フットマーク株式会社