・2024年のソフトドリンク世界市場は、金額ベースで過去5年間に21％増加し、1.1兆米ドルに成長
・健康志向の高まりを受け、電解質パウダーを中心とした粉末濃縮飲料やスポーツドリンクといった機能性飲料が好調
・今後5年間の年平均成長率を地域別でみると、中東・アフリカは6.3％、アジア太平洋は5.0％で世界平均の3.7％を上回り、インドは調査国中最高の13.0％
・インド市場の成長要因には、一人当たり消費量の増加、若年層の多さ、電化の進展、高温気候などがあり、今後も小容量包装やクイックコマースを中心に二桁成長が続くと予測される

【東京】英国の市場調査会社ユーロモニターインターナショナル（以下、当社）は、「ソフトドリンク世界市場レポート」2025年版を発表しました。

同レポートによると、2024年のソフトドリンク世界市場の総販売額（外食産業と小売産業の合計）は、2019年から2024年の間に21％増加し、2024年には1.1兆米ドルに達しました。この成長は、単価の上昇と、機能性飲料や持続可能な選択肢への需要といった消費者の嗜好の変化によって促されており、世界中の企業に新たなビジネスチャンスをもたらしています。

また、イノベーションが市場成長の鍵を握ることについても言及しています。高まる健康志向やカロリーを意識した商品、環境に配慮した包装へのシフトが進む中、変化する消費者ニーズに対応するため、戦略を見直す企業が増えています。

当社のソフトドリンク部門調査統括マネージャーのハワード・テルフォードは、以下のように述べています：「2025年、世界のソフトドリンク業界は戦略的な転換期を迎える。新興市場では販売量の増加が成長を牽引する一方、成熟市場では機能性や高付加価値といった健康志向商品に注力することで、成長の維持を目指す」

機能性飲料市場が大きく成長

健康志向の高まりを受けて、2024年は機能性飲料の販売が伸び、エナジードリンクや粉末濃縮飲料（主に電解質パウダー）の総販売額は前年比8％、スポーツドリンクの総販売額は前年比6％、それぞれ増加しました。ビタミンやアダプトゲンなど、健康をサポートする成分を含む製品は、競争力を高めたい企業に成長の機会をもたらしています。また、低糖の炭酸飲料も世界的に総販売額が前年比7％増加し、消費者の健康志向やカロリーを意識した選択肢への関心が反映されています。

持続可能な飲料包装の新たな需要

2024年、ボトルウォーターの総販売額は前年比4.5％増加しました。特に、再利用可能な包装を使用した環境配慮型の商品への消費者の関心が、この成長を後押ししています。テフォードは「サステナビリティは企業にとって責務であると同時に成長のチャンスでもあり、各社は消費者の期待に応えるべく、革新を進めている。また、特にマイクロプラスチックに関する健康への懸念が高まる中、安全で無害、かつ持続可能な飲料包装への需要が新たに生まれている」と述べています。

数量ベースで力強い成長が見込まれるインド市場

ソフトドリンク市場総販売量の年平均成長率（2024年―2029年）を地域別に見ると、一番成長率の高い中東・アフリカでは6.3％、アジア太平洋では5.0％と、世界平均の3.7％を上回っています。また、インドの年平均成長率は、調査国の中で一番高く、13.0％と見込まれています。

インドのソフトドリンク市場の成長要因について、インド市場担当のシニアコンサルタント、アムルヤ・パンディトは以下のように述べています： 「インドのソフトドリンク市場は、2024年、外食産業・小売販売とも二桁成長を維持した。成長の背景には、

・一人当たり消費量の増加（未だ世界平均の年間104リットルを大きく下回るものの、2024年には前年比12％増で22リットルとなった）
・若年層の多さ（ミレニアル世代3億人、Z世代3.92億人）
・電化の進展（都市部99%、農村部95%が電気を利用可能）
・高温の気候（2024年は熱波の日数が24日）

などがある。特に、若年層の多忙なライフスタイルが、手軽に飲めるソフトドリンクの需要を押し上げている」

また、インドのソフトドリンク市場の今後の成長について、パンディトは、「今後も小容量包装を中心に二桁成長が続く見込みだ。また、クイックコマースが小売市場で存在感を増し、大手企業もこの分野への投資を強化している」と述べています。

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