長崎県新上五島において藻場再生・保全活動に参画し「Jブルークレジット発行書」を取得!!
㈱E-SYSTEM
公開日:2025/5/20
~株式会社E-SYSTEMが音響探査技術を活かして海洋環境保全×脱炭素の実現へ新たな一歩~
・認証を取得した事実株式会社E-SYSTEM(本社:福岡県福岡市、代表取締役:藤本 尚伸)は、長崎県新上五島町(上五島地区・有川地区)における藻場再生・保全活動に当社の音響測量技術を活かして参画。この度、新上五島町(代表申請者)、上五島町漁業協同組合(所在地:長崎県南松浦郡、代表理事組合長:畑村 信昭、以下 上五島町漁協)、株式会社東陽テクニカ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:高野 俊也、以下 東陽テクニカ)と共同申請し、当該地区における漁業関係者による藻場保全の取り組みや東陽テクニカと当社が担当した藻場生態系の調査結果が評価され、2025年3月に国土交通大臣認可法人ジャパンブルーエコノミー技術研究組合より「Jブルークレジット発行証書」を取得いたしました。
・どんな事業か本プロジェクトでは、地元漁業の潜水部会による藻場再生活動の結果、繁茂した小型褐藻類を当社と東陽テクニカが植生探査ソナーや目視により藻場の分布面積を調査し、CO₂吸収量を算定しました。その結果を町、漁協と共同でジャパンブルーエコノミー技術研究組合に対してJブルークレジット認証申請を行い、発行証書を取得したものです。藻場生態系の調査は、いろいろな方法で行われていますが、当社と東陽テクニカが共同で実施した植生探査ソナーによる方法は、広い海域を迅速かつ目視では難しい深い海底まで探査することが可能です。
・どんな価値があるのか漁業者などによる藻場再生活動により取得したJブルーカーボンクレジットの販売により得た資金を次の藻場再生活動に利用することにより、持続的な藻場の維持・保全体制の構築することが可能になります。
これは海洋生態系によるCO₂吸収・固定の成果に対し、信頼性のあるカーボンクレジットを創出する制度です。海洋環境保全に寄与するとともに、企業や自治体のカーボンオフセットニーズにも応える重要なステップとなります。
【背景】
新上五島は、水産業が主要産業ですが、近年、磯焼け減少により豊かな藻場が消失したため、漁協の潜水部会が中心となってウニ駆除などを行ってきました。その成果として小型褐藻類が出現し始め、アミジグサの繁茂が見られるようになりました。そこで町が中心となり、地元漁協と企業が連携して、Jブルークレジットを申請することとなりました。
・なぜブルーカーボンに取り組んだのか当社は、これまで当該町内で音響探査機器による海底調査の業務を行ってきた経験から、町が計画したJブルークレジット取得に向けた申請作業に当社の音響探査技術を生かせることが、地域の課題となっている活動に参画できることであり、また地元漁協や大学との連携が図られ地域への貢献にも繋がるものと認識し取り組みを行いました。
・認証取得までの経緯や努力植生探査ソナーを藻場生態系の調査に実用として使用したデータはないため、実際に活用可能性を確認する必要がありました。当初ナローマルチビームでの探査を試みましたが、データ処理に適さないと判明。そこで、東陽テクニカが導入を進める植生探査ソナー[DT―X]を利用することにしましたが、国内測定データがなかったため、実証試験を実施して可能性を確認後に採用が決定されました。植生探査ソナーによる藻場生態系の測定方法は、Jブルーカーボンクレジット申請における海域の効率的な調査・算定への貢献が期待されています。
・地域やパートナーとの協働新上五島町の担当課を中心に関係する上五島町漁協や有川町漁協と連携して、現状やこれまでの成果を確認するとともに、同町内で海藻育成について研究を続けている長崎大学とも情報交換をしながら、当該地区に合った調査方法を模索しました。
【今後の展望】
今回の認証を契機に、植生探査ソナーを活用した藻場生態系の効率的な調査方法により、引き続き当該地区におけるJブルークレジットの取得の増大に貢献します。また、当該地区での実績を活かして、他地区でのJブルーカーボンクレジットの申請活動にも参画し、効率的な調査を担当することでクレジット発行証書の取得も行います。今後も海藻の被度探査などの課題を解決し、その結果として、企業の脱炭素ニーズに応えるとともに地域資源を活かした環境ビジネスの展開をさらに加速してまいります。
【代表コメント】
「この認証は、当社にとって新たな事業を始めるひとつの節目であり、海洋資源と地域社会、企業活動を結びつける“未来への入り口”でもあります。ブルーカーボンは、脱炭素社会の実現に向けた希望の光であり、私たちの音響探査技術がその一端を担えたことに大きな意義を感じています。
特に今回の取り組みは、地元漁業者の長年にわたる努力、自治体の柔軟なリーダーシップ、大学との知見の共有といった、多様なプレイヤーの連携があってこそ実現したものです。
私たちは技術提供者であると同時に、こうした地域との協働を通じて学び、育てられた立場でもあります。
今後も地域資源の価値を可視化し、信頼性のある環境価値として社会に還元していくことで、自然と共生する循環型社会の構築に向けて、着実に歩みを進めてまいります。」(代表取締役 藤本 尚伸)
【Jブルークレジットとは】
Jブルークレジットは、海藻や干潟など海洋生態系によるCO₂吸収・固定量を定量化し、第三者認証を受けて創出される環境価値です。企業のカーボンオフセット手段として活用できる他、地域資源の活用や教育分野での活用も期待されています。