ブラウザだけで使える無料統計ソフト Reactive stat が、対応のない群間検定機能を大幅強化
エミュイン合同会社
公開日:2025/8/2
異なるグループ間で連続変数の平均値や分布に統計的な違いがあるかを検定する対応のない群間の検定にて、パラメトリック・ノンパラメトリック検定、2群/多群/順序あり多群の検定がワンストップで可能です
統計ソフトウェアの「対応のない群間検定」機能において、研究現場で頻繁に求められる順序データの統計解析に対応した機能を強化いたしました。従来の単純な群間比較に加え、用量反応関係や段階的治療効果など、群間に順序関係がある場合の統計的検証が可能になります。線形傾向分析(パラメトリック)とJonckheere-Terpstra検定(ノンパラメトリック)を搭載し、同一画面で両検定を実行・比較できます。6種類の視覚化機能とRエンジンとの完全連携により、探索的データ解析から論文投稿まで一貫した統計解析環境を提供します。
対応のない群間の検定対応のない群間の検定は、異なるグループ間で連続変数の平均値や分布に統計的な違いがあるかを検定する方法です。
今回、研究現場で頻繁に求められる順序データの統計解析に対応した機能を強化いたしましたのでご報告いたします。
臨床研究や実験研究において、単純に「群間に差があるか」を知りたいだけでなく、「用量の増加に伴って効果が段階的に向上するか」「治療ステップが進むにつれて症状が改善するか」といった順序関係を統計的に検証したいケースは非常に多く見られます。
これまでこうした解析を行うには、複数の統計ソフトウェアを使い分けたり、複雑な設定を行う必要がありました。今回の機能強化により、直感的な操作で高度な順序検定が実行できるようになります。
パラメトリック検定ノンパラメトリック検定
前提条件検定・診断
同等性・非劣性検定(2群のみ)
統合された視覚化機能
データの特性を多角的に把握し、適切な統計手法の選択をサポートする6種類のプロットを同時に表示します。
基礎統計量・効果量の自動算出すべての検定において、統計量が自動算出され、研究結果の解釈をサポートします。
実際の研究への応用例臨床試験での用量設定研究 プラセボ、低用量、中用量、高用量の4群で新薬の効果を比較する際、単純に「4群間に差がある」だけでなく、「用量依存的に効果が増加する」ことを統計的に証明できます。線形傾向分析により傾き係数と信頼区間を算出し、Jonckheere-Terpstra検定でノンパラメトリックな確認を行います。
治療効果の経時的評価 「治療前→治療1ヶ月後→治療3ヶ月後→治療6ヶ月後」のような経時データにおいて、段階的な改善傾向を統計的に検証し、その効果の大きさを定量化できます。パラメトリック・ノンパラメトリック両手法での結果比較により、頑健な結論を導けます。
教育効果や心理学研究 「コントロール群→軽度介入群→中度介入群→高度介入群」といった段階的介入の効果を、順序関係を考慮して統計的に評価できます。6種類の視覚化により、介入効果の分布特性も同時に把握できます。
教育・学習への配慮段階的な学習サポート 統計学を学ぶ学生にとって、パラメトリック検定とノンパラメトリック検定が同一画面で実行され、結果を比較できることは、統計手法の理解を深める貴重な学習機会となります。
詳細な解説機能 各統計手法の理論的背景、適用条件、結果の解釈方法について、分かりやすい解説を提供しています。
研究効率の向上従来、複数のソフトウェアや複雑な設定が必要だった順序データの統計解析が、直感的なGUI操作で完結します。研究者は統計手法の技術的詳細に時間を取られることなく、研究の本質的な部分に集中できるようになります。
特に、医学論文において重要な「用量依存性」「段階的効果」を統計的に証明することで、研究の説得力と学術的価値を大幅に向上させることができます。
この新機能により、研究者・医師・学生の皆様が、より高度で信頼性の高い統計解析を効率的に実行し、質の高い研究成果を創出されることを期待しています。
統計手法一覧・t検定: 二群間の平均値の差が統計的に有意かどうかを検定します。
・Welchのt検定: 二群間の平均値の差を検定します。分散が等しくないことを仮定し、Studentのt検定よりもロバストです。F検定を事前に行わずに使用することが推奨されます。
・ANOVA (分散分析): 三つ以上の群間で平均値に差があるかを検定します。一元配置分散分析 (One-Way ANOVA) と同義です。
・WelchのANOVA: 三つ以上の群間で平均値の差を検定します。等分散性を仮定しないため、Bartlett検定やLevene検定で等分散性が否定された場合に適しています。
・線形傾向分析: 順序付き群(例:低用量 ・F検定: 二つの群の分散が等しいかどうかを検定します。特に Student t検定の前提条件として使用されます (非推奨: Welch t検定を用いるべき)。
・Bartlett検定: 三つ以上の群の分散が等しいかどうかを検定します。ANOVAの前提条件の一つです。
・Levene検定: 二つ以上の群の分散が等しいかどうかを検定します。Bartlett検定と比べ、正規性の仮定からの逸脱に対して頑健です。ANOVAやt検定の前提条件の一つとして使用されます。
・Tukey HSD (Tukeyの正直有意差法): ANOVAの後に行われる、群間の具体的な差異を検証するための検定です。これは本来は等サンプルサイズを前提とした手法ですので、R および Reactive stat では、サンプルサイズが異なる場合には自動的に Tukey-Kramer法が適用されます。
・Games-Howell法: ANOVAの後に行われる多重比較検定の一つです。等分散性を仮定しないため、分散が等しくないと考えられる場合に適しています。Tukey HSDよりも保守的な結果になりやすいです。クラウド R で実行できます。
・Tamhane's T2検定: ANOVAの後に行われる多重比較検定の一つです。等分散性を仮定しない検定法で、Games-Howell法と同様に分散が等しくない場合に利用できます。Games-Howell法よりもさらに保守的な傾向があります。クラウド R で実行できます。
・Mann-Whitney U検定: 二つの独立した群間で、中央値に差があるかを検定します (非推奨: Brunner-Munzel検定を用いるべき)。
・Brunner-Munzel検定: 二つの独立したグループ間の確率的優越性を比較するためのノンパラメトリック検定です。データの分布や分散の等質性に関する仮定が少なく、順序尺度のデータにも適用可能です。特に、小サンプルサイズや非対称分布、外れ値を含むデータに対して有効です。
・Kruskal-Wallis検定: 三つ以上の独立した群間で、分布に差があるかを検定します。特に、中央値の違いに敏感な検定です。
・Jonckheere-Terpstra検定: 複数の群が特定の順序で並んでいるかを検定します。トレンドを検出するのに適しています。
・同等性の検定: あらかじめ適切に設計された臨床試験において、新しい治療法や介入の効果を既存の標準治療と比較する目的で、同等性の検定を行うことができます。
・同等性試験は、新しい治療法が既存の治療法と同等の効果を持つことを示すために使用されます。
Reactive stat とは

ブラウザとデータファイルがあれば、すぐに解析できます
・マニュアル本は要りません。
・すべての統計手法のページには、利用に必要な解説が載っていますし、必要な情報へのリンクも用意してあります。
・PCにソフトウェアをインストールする必要はありません。
・信頼性の高い R での結果が得られます。
・ウェブアプリで結果を得たあとに、そのデータを外部の R サーバーに送信し、その実行結果を得ることができます。
・外部の R サーバーに送信されるデータは、セキュリティを考慮し、数値計算に必要な最小限のセットとしています。また、送信前に内容を確認できます。自動的に送信されることはありません。
・常に最新バージョンのRを利用できます。
・結果がリアルタイムに反映されるウェブアプリですので、統計解析に不慣れな場合でも試行錯誤が容易です。
・データの内容を常に把握しながら作業が行えるように工夫してありますので、どうしたらいいかわからない、という状況に陥ることがありません。
・出力されるグラフはインタラクティブな高機能なものです。
・データファイルを読み込んで利用できます。
・CSV 形式データファイルおよびエクセルファイルに対応
・データファイルはブラウザ内部に読み込まれるだけで外部には送信されませんので、セキュリティの問題はありません。
・日本語のデータファイルを扱うことができます
・海外製のアプリですと、カラム名が日本語だと受け付けられないなどの制約がしばしばありますが、Reactive stat にはそのような制限はありません。
共用PCやタブレットでも
ソフトをインストールできない共用のPCや、iPad などタブレットでも実行可能です。
モバイルデバイスの場合は、 Google Drive, One Drive などのクラウドストレージからファイルを直接読み込むことができます。
読み込んだデータファイルの内容がそのままクラウドに送信されることはありませんので、個人情報を含むデータでも安心して解析できます。 共用PCの場合は、ログアウトすればすべて消去されますので安心です。
なお、R での解析やその結果を AI に解説させる機能では、クラウドに最小限のデータを送信しますが、統計解析に必要最小限のデータであり、個人情報が送信されることはなく、また、送信前にその内容を確認する手順になっていますので安心です。
スマートフォンでも
スマートフォンでも使えるように画面設計してあります!
最終的な統計解析を行うことを想定しているわけではなく、統計に不慣れなユーザーに手軽に親しんでいただくことが目的です。 専用のサンプルデータを解析手法ごとに用意していますし、 膨大な数の R のサンプルデータを簡単に検索して読み込めます。 また、できるだけ詳細に解説を付けてありますので、実際にデータを操作しながら統計を学んでいただくことが可能です。
Google Drive や One Drive のデータファイルを読み込めますので、ご自身のデータの解析して論文の原稿を書くこともできてしまいます!
インタラクティブな解析で理解が深まります
Reactive stat の名前の由来は
データの内容を常に確認しながら設定し、設定を変更するとリアルタイムにグラフなどが変化することが名称の由来です。
常にデータ内容を視覚的に把握しつつ解析を行えます
小さなヒストグラムなどで、しつこいほどにデータ内容を視覚的に示します。
統計処理においては、常にそのデータの性質、すなわち、カテゴリー変数なのか連続変数なのか、どのような分布をしているのかなどを把握しておく必要があります。
常にデータ内容を意識しつつ作業できますので、迷うことなく素早く正しい結果に到達できます。
すべての統計手法にデータと設定のサンプルを用意してあります
すべての統計手法のページには、 サンプルデータと設定の呼び出し ボタンが付いています。 これを押すと、典型的なサンプルデータと、そのデータに対する解析のための設定内容が読み込まれます。
その統計手法を初めて扱う場合でも、 どのような形式のデータが必要なのか、どのような形で結果が得られるのか、 サンプルを読み込んで実際に動かすころで理解が深まります。 そして、ご自身のデータをどう処理すればよいかがすぐに分かります。
信頼できる R の解析結果を AI に解説させて容易に理解できます
Reactive stat では、ほとんどの統計解析を R言語 (統計解析を主な目的とする専門的なシステム) を利用して行うことができます。
R は数多くの専門家が参画して作り上げられたシステムで、信頼性が高く、無料で利用できる素晴らしいものですが、なかなか敷居が高いです。 出力された解析結果も、英語で書いてあってわかりにくいです。
それを劇的に使いやすくしてくれたのが EZR ですが、インストールが必要だったり、やはり統計解析の初心者には難しいという声も聞かれます。
そこで、Reactive stat では、ブラウザでの簡単な操作で、インタラクティブに R による解析が行えるようにしてみました。 さらに、その解析結果を、AI に解説してもらう機能が付いています。
AI による解説には、そこで使われている統計手法の説明から、得られた結果の解釈、さらには学会発表や論文にどのように表現すればよいかまで含まれます。
論文や学会発表の準備が簡単になります
医療統計でよく使う統計手法を網羅しています
特に医療分野で頻繁に使われる統計手法を広くサポートし、また、医学論文で必要なグラフの作成が簡単に行えます。 今後、リクエストがあればさらに拡充してゆく計画です。
また、心理統計の領域で使われる手法も今後拡充してゆきます。
最新の R による解析結果が得られ、論文への記載が容易です
・論文発表や学会発表において、「統計解析はRで行いました」と書くことができます。・Rは通常、毎年2回 (4月と10月) バージョンアップされます。これらのリリースにはバグ修正などが含まれます。
・解析ごとに、R 本体および使用されたすべてのライブラリのバージョンを表示します。
・近年重要視されるようになった効果量の値の計算が多くの統計手法でサポートされています。
・論文にどのように書けばよいか、AI が教えてくれます。
論文や学会発表で必要なサマリー表がすぐに作成できます
ほとんどの臨床系の論文で必要とされる、症例の背景因子の表が、あっという間に作成できます。 一つ一つの因子を統計解析し、その数値をまとめて表にするのは、意外と手間のかかるのもです。 これを、本当にあっという間に作成してくれます。 ぜひお試しください。
ドラッグ&ドロップで項目を入れ替えたり、統計処理がパラメトリックとノンパラメトリックから選べたり、徹底的に使いやすさを追求しています。 使いこなしていただけると嬉しいです。
p値まで含んだ表が出力されますので、学会発表くらいなら統計処理がこの機能だけで済んでしまう場合もしばしばあります。
本当に「あっという間に」思い通りのサマリー表が作成できてしまいます!
多彩なチャートを簡単に作成できます
多く用いられるチャートを簡単に作成できるよう、チャート作成機能を充実させました。
対象ユーザー
・統計学には興味は無いが学会発表があるのでちゃちゃっとデータ処理を済ませたい方
・実際のデータを触りながら統計を学びたい初心者
・手持ちのデータを探索的に把握したい研究者
などなど、(統計学者以外の) あらゆる方が対象です。
統計結果のグラフは、設定の変更をリアルタイムに反映しますから、その理解が簡単です。 上の例にも示すように、ROC曲線における閾値の変化で、感度や特異度がどう変わるのか、実際にサンプルデータで試してみることで、その原理まで理解が深まります。
また、常にデータの内容を視覚的に示しつつ設定を進めてゆくという基本コンセプトですので、どうしていいかわからない迷子になってしまうことがありません。
Reactive stat により、統計嫌いが少しでも減ることを願っています。 そして、皆様の貴重な研究成果の発表のお手伝いができると嬉しいです。