真夏のベビーカー「対面タイプ」と「背面タイプ」赤ちゃんにとってはどちらが暑い? -対面型は熱がこもりやすく、背面型は紫外線を浴びやすい-

株式会社アクションリサーチ

更新日:2025/7/28

株式会社アクションリサーチ代表取締役 北 徹朗(武蔵野美術大学身体運動文化教授・博士(医学))は、暑熱環境下におけるベビーカー走行時の、赤ちゃんの頭部ならびに足元周辺の温度上昇・紫外線暴露量の観察を行いました。

データ検出位置

ベビーカーに乗車させた赤ちゃんマネキンの頭頂および脛にセンサーを取り付け、データロガーで10秒ごとに温度と紫外線情報を収集した。


図1.データ検出位置



①頭部周辺温度は「対面型」が高くなる

・赤ちゃんマネキンの頭部周辺温度は「対面型ベビーカー」の方が高温になっていた。
・60分間のデータ平均値を比較すると「背面型」が36.6℃、「対面型」が38.3℃となった。両者間の温度差(1.7℃)には統計学有意差(p


図2.赤ちゃんマネキンの頭部周辺平均温度の比較


・頭部周辺における対面型ベビーカー内温度の最大値は42.1℃、背面型ベビーカーでは39.5℃であり、対面型の方が高温になっていた(+2.6℃)。


図3.ベビーカー走行時における赤ちゃんマネキン頭部周辺温度の推移



②足元周辺温度も「対面型」が高くなる

・赤ちゃんマネキンの足元周辺温度についても同様に「対面型ベビーカー」の方が高温になっていた。
・60分間のデータ平均値を比較すると「背面型」が35.3℃、「対面型」が36.3℃となった。両者間の温度差(1.0℃)には統計学有意差(p


図4.赤ちゃんマネキンの足元周辺平均温度の比較


・足元周辺における対面型ベビーカー内温度の最大値は39.0℃、背面型ベビーカーでは37.3℃であり、対面型の方が高温になっていた(+1.7℃)。


図5.ベビーカー走行時における赤ちゃんマネキン足元周辺温度の推移



「背面型」は紫外線を浴びやすい

・データロガーに10秒おきに送信される紫外線量の累積値が最も多かったのは「背面タイプの足元」であった。次いで「対面タイプの足元」多かった。このデータからもわかるように、ベビーカーの足元には幌がないため、対面・背面を問わず、紫外線対策が必要であろう。
・3番目に紫外線累積量が多かったのは「背面タイプの頭部」が多く、最も少なかったのは「対面タイプの頭部」であった。

まとめ

①対面タイプは熱がこもりやすい
・「対面タイプ」のベビーカーは熱がこもりやすい。
・特に、頭部周辺温度が高くなりやすいので、ベビーカー用扇風機などで風を循環させ、温湿度を抑える工夫が必要である。

②背面タイプは紫外線を浴びやすい
・「背面タイプ」のベビーカーは、走行時に風が入りやすい一方、赤ちゃんに降り注ぐ紫外線量が多くなる。
・赤ちゃん用の日焼け止めなどを適切に使用するなど、対策が必須であろう。


図6.ベビーカーのタイプと1時間走行時の平均温度



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※実験概要※
実験日時:2025年7月20日(日)11時45分~12時45分
実験開始時のWBGT:33.3℃(風速0.38m/s)
実験終了時のWBGT:30.7℃(風速2.22m/s)
実験場所:東京都内の大学
実験方法:同型・同色のベビーカーを用意。一方は対面仕様、もう一方は背面仕様とし、赤ちゃんのマネキンを乗車させた上で、同時に走行させた。
検証内容:
①頭部周辺の温度
②足元周辺の温度
③頭部周辺の紫外線量
④足元周辺の紫外線量