ブラウザだけで使える無料統計ソフト Reactive stat の「対応のある群間検定」機能に順序性検定を本格実装

エミュイン合同会社

更新日:2025/8/3

既存の対応のある群間検定機能を拡充し、群間に順序性がある研究デザインに完全対応! ドラッグ&ドロップ操作で線形トレンド分析とPage検定を簡単実行

当社統計ソフトウェアの「対応のある群間検定」機能に、群間の順序性を考慮した統計解析機能を追加実装いたしました。従来の群間差検定に加え、「治療前→治療中→治療後」や「低用量→中用量→高用量」など、群間に自然な順序がある研究デザインにおいて、線形トレンド分析(パラメトリック)とPage検定(ノンパラメトリック)を実行できます。カラムの順序をドラッグ&ドロップで直感的に設定でき、順序性の有無をチェックボックスで切り替えるだけで、適切なトレンド解析が自動実行されます。用量反応研究、時系列臨床試験、発達研究など、順序性のある測定を扱う研究分野において、統計解析の精度と説得力を大幅に向上させる機能拡充です。

順序性検定機能の追加による機能拡充

統計ソフトウェアの「対応のある群間検定」機能において、研究現場で頻繁に求められる順序データの統計解析に対応した機能を強化いたしましたのでご報告いたします。

従来の単純な群間比較に加え、「治療前→治療中→治療後」「低用量→中用量→高用量」といった順序のある研究デザインにおいて、単調な増減傾向を統計学的に検証できるようになりました。

臨床研究や実験研究において、単純に「群間に差があるか」を知りたいだけでなく、「用量の増加に伴って効果が段階的に向上するか」「治療ステップが進むにつれて症状が改善するか」といった順序関係を統計的に検証したいケースは非常に多く見られます。回の機能強化により、直感的な操作で高度な順序検定が実行できるようになりました。

搭載される統計解析機能

パラメトリック検定

対応のあるt検定:2群間の平均値の差を検定します。95%信頼区間、効果量(Cohen's d)を算出します。
反復測定ANOVA:3群以上の平均値の差を検定します。球面性の検定(Mauchlyの検定)と補正方法を自動実行します。
線形トレンド分析:順序付き群において、線形および二次傾向を検定します。傾き係数と95%信頼区間を提供します。

ノンパラメトリック検定

Wilcoxon符号順位検定:2群間の分布の差を検定します。正規近似法で連続性補正と同順位補正を実行します。
Friedman検定:3群以上の分布の差を検定します。中央値の違いに敏感な検定です。
Page検定:順序付き群において単調トレンドを検定します。段階的な変化を統計的に評価します。

前提条件検定・診断

データの正規性を評価し、適切な統計手法の選択をサポートします。

同等性検定(2群のみ)

新しい治療法が既存の標準治療と同等の効果を持つことを統計的に証明します。TOST法により臨床的意義のある差を考慮した評価が可能です。

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統合された視覚化機能

データの特性を多角的に把握し、適切な統計手法の選択をサポートする6種類のプロットを同時に表示します:

ヒストグラム:各群の分布形状を重ね合わせ表示で比較
箱ひげ図:中央値、四分位数、外れ値を同時表示
バイオリンプロット:密度分布と要約統計量を統合表示
散布図/散布図行列:変数間の関係性を視覚化
並列座標プロット:多変量データの変化パターンを表示
正規確率プロット:データの正規性を線形関係として視覚化

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基礎統計量・効果量の自動算出

すべての検定において、統計量、効果量、信頼区間が自動算出され、研究結果の解釈をサポートします。

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実際の研究への応用例

臨床試験での用量設定研究

プラセボ、低用量、中用量、高用量の4群で新薬の効果を比較する際、単純に「4群間に差がある」だけでなく、「用量依存的に効果が増加する」ことを統計的に証明できます。線形トレンド分析により傾き係数と信頼区間を算出し、Page検定でノンパラメトリックな確認を行います。

治療効果の経時的評価

「治療前→治療1ヶ月後→治療3ヶ月後→治療6ヶ月後」のような経時データにおいて、段階的な改善傾向を統計的に検証し、その効果の大きさを定量化できます。パラメトリック・ノンパラメトリック両手法での結果比較により、頑健な結論を導けます。

教育効果や心理学研究

「コントロール群→軽度介入群→中度介入群→高度介入群」といった段階的介入の効果を、順序関係を考慮して統計的に評価できます。6種類の視覚化により、介入効果の分布特性も同時に把握できます。

教育・学習への配慮

段階的な学習サポート

統計学を学ぶ学生にとって、パラメトリック検定とノンパラメトリック検定が同一画面で実行され、結果を比較できることは、統計手法の理解を深める貴重な学習機会となります。

詳細な解説機能

各統計手法の理論的背景、適用条件、結果の解釈方法について、分かりやすい解説を提供しています。

研究効率の向上

従来、複数のソフトウェアや複雑な設定が必要だった順序データの統計解析が、直感的なGUI操作で完結します。研究者は統計手法の技術的詳細に時間を取られることなく、研究の本質的な部分に集中できるようになります。

特に、医学論文において重要な「用量依存性」「段階的効果」を統計的に証明することで、研究の説得力と学術的価値を大幅に向上させることができます。

この新機能により、研究者・医師・学生の皆様が、より高度で信頼性の高い統計解析を効率的に実行し、質の高い研究成果を創出されることを期待しています。



ブラウザとデータファイルがあれば、すぐに解析できます
・マニュアル本は要りません。
・すべての統計手法のページには、利用に必要な解説が載っていますし、必要な情報へのリンクも用意してあります。
・PCにソフトウェアをインストールする必要はありません。
・信頼性の高い R での結果が得られます。
・ウェブアプリで結果を得たあとに、そのデータを外部の R サーバーに送信し、その実行結果を得ることができます。
・外部の R サーバーに送信されるデータは、セキュリティを考慮し、数値計算に必要な最小限のセットとしています。また、送信前に内容を確認できます。自動的に送信されることはありません。
・常に最新バージョンのRを利用できます。
・結果がリアルタイムに反映されるウェブアプリですので、統計解析に不慣れな場合でも試行錯誤が容易です。
・データの内容を常に把握しながら作業が行えるように工夫してありますので、どうしたらいいかわからない、という状況に陥ることがありません。
・出力されるグラフはインタラクティブな高機能なものです。
・データファイルを読み込んで利用できます。
・CSV 形式データファイルおよびエクセルファイルに対応
・データファイルはブラウザ内部に読み込まれるだけで外部には送信されませんので、セキュリティの問題はありません。
日本語のデータファイルを扱うことができます
・海外製のアプリですと、カラム名が日本語だと受け付けられないなどの制約がしばしばありますが、Reactive stat にはそのような制限はありません。



共用PCやタブレットでも

ソフトをインストールできない共用のPCや、iPad などタブレットでも実行可能です。

モバイルデバイスの場合は、 Google Drive, One Drive などのクラウドストレージからファイルを直接読み込むことができます。

読み込んだデータファイルの内容がそのままクラウドに送信されることはありませんので、個人情報を含むデータでも安心して解析できます。 共用PCの場合は、ログアウトすればすべて消去されますので安心です。

なお、R での解析やその結果を AI に解説させる機能では、クラウドに最小限のデータを送信しますが、統計解析に必要最小限のデータであり、個人情報が送信されることはなく、また、送信前にその内容を確認する手順になっていますので安心です。

スマートフォンでも

スマートフォンでも使えるように画面設計してあります!

最終的な統計解析を行うことを想定しているわけではなく、統計に不慣れなユーザーに手軽に親しんでいただくことが目的です。 専用のサンプルデータを解析手法ごとに用意していますし、 膨大な数の R のサンプルデータを簡単に検索して読み込めます。 また、できるだけ詳細に解説を付けてありますので、実際にデータを操作しながら統計を学んでいただくことが可能です。

Google Drive や One Drive のデータファイルを読み込めますので、ご自身のデータの解析して論文の原稿を書くこともできてしまいます!



インタラクティブな解析で理解が深まります


Reactive stat の名前の由来は

データの内容を常に確認しながら設定し、設定を変更するとリアルタイムにグラフなどが変化することが名称の由来です。

常にデータ内容を視覚的に把握しつつ解析を行えます

小さなヒストグラムなどで、しつこいほどにデータ内容を視覚的に示します。

統計処理においては、常にそのデータの性質、すなわち、カテゴリー変数なのか連続変数なのか、どのような分布をしているのかなどを把握しておく必要があります。

常にデータ内容を意識しつつ作業できますので、迷うことなく素早く正しい結果に到達できます。

ROC曲線と感度・特異度の解析の例

すべての統計手法にデータと設定のサンプルを用意してあります

すべての統計手法のページには、 サンプルデータと設定の呼び出し ボタンが付いています。 これを押すと、典型的なサンプルデータと、そのデータに対する解析のための設定内容が読み込まれます。

その統計手法を初めて扱う場合でも、 どのような形式のデータが必要なのか、どのような形で結果が得られるのか、 サンプルを読み込んで実際に動かすころで理解が深まります。 そして、ご自身のデータをどう処理すればよいかがすぐに分かります。



信頼できる R の解析結果を AI に解説させて容易に理解できます

Reactive stat では、ほとんどの統計解析を R言語 (統計解析を主な目的とする専門的なシステム) を利用して行うことができます。

R は数多くの専門家が参画して作り上げられたシステムで、信頼性が高く、無料で利用できる素晴らしいものですが、なかなか敷居が高いです。 出力された解析結果も、英語で書いてあってわかりにくいです。

それを劇的に使いやすくしてくれたのが EZR ですが、インストールが必要だったり、やはり統計解析の初心者には難しいという声も聞かれます。

そこで、Reactive stat では、ブラウザでの簡単な操作で、インタラクティブに R による解析が行えるようにしてみました。 さらに、その解析結果を、AI に解説してもらう機能が付いています。

AI による解説には、そこで使われている統計手法の説明から、得られた結果の解釈、さらには学会発表や論文にどのように表現すればよいかまで含まれます。



論文や学会発表の準備が簡単になります

医療統計でよく使う統計手法を網羅しています

特に医療分野で頻繁に使われる統計手法を広くサポートし、また、医学論文で必要なグラフの作成が簡単に行えます。 今後、リクエストがあればさらに拡充してゆく計画です。

また、心理統計の領域で使われる手法も今後拡充してゆきます。

Reactive stat 統計手法一覧



最新の R による解析結果が得られ、論文への記載が容易です

・論文発表や学会発表において、「統計解析はRで行いました」と書くことができます。
・Rは通常、毎年2回 (4月と10月) バージョンアップされます。これらのリリースにはバグ修正などが含まれます。
・解析ごとに、R 本体および使用されたすべてのライブラリのバージョンを表示します。
・近年重要視されるようになった効果量の値の計算が多くの統計手法でサポートされています。
・論文にどのように書けばよいか、AI が教えてくれます。

論文や学会発表で必要なサマリー表がすぐに作成できます

ほとんどの臨床系の論文で必要とされる、症例の背景因子の表が、あっという間に作成できます。 一つ一つの因子を統計解析し、その数値をまとめて表にするのは、意外と手間のかかるのもです。 これを、本当にあっという間に作成してくれます。 ぜひお試しください。

ドラッグ&ドロップで項目を入れ替えたり、統計処理がパラメトリックとノンパラメトリックから選べたり、徹底的に使いやすさを追求しています。 使いこなしていただけると嬉しいです。

p値まで含んだ表が出力されますので、学会発表くらいなら統計処理がこの機能だけで済んでしまう場合もしばしばあります。

本当に「あっという間に」思い通りのサマリー表が作成できてしまいます!

サマリー表の作成機能



多彩なチャートを簡単に作成できます

多く用いられるチャートを簡単に作成できるよう、チャート作成機能を充実させました。

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チャート作成機能



対象ユーザー
・統計学には興味は無いが学会発表があるのでちゃちゃっとデータ処理を済ませたい方
・実際のデータを触りながら統計を学びたい初心者
・手持ちのデータを探索的に把握したい研究者

などなど、(統計学者以外の) あらゆる方が対象です。

統計結果のグラフは、設定の変更をリアルタイムに反映しますから、その理解が簡単です。 上の例にも示すように、ROC曲線における閾値の変化で、感度や特異度がどう変わるのか、実際にサンプルデータで試してみることで、その原理まで理解が深まります。

また、常にデータの内容を視覚的に示しつつ設定を進めてゆくという基本コンセプトですので、どうしていいかわからない迷子になってしまうことがありません。

Reactive stat により、統計嫌いが少しでも減ることを願っています。 そして、皆様の貴重な研究成果の発表のお手伝いができると嬉しいです。