会社を失っても人は離れない。挑戦を続ける三代目の道

日本漬物株式会社

公開日:2025/10/2

鹿児島・霧島で漬物をつくる日本漬物株式会社は、三代目・後藤浩孝の“再創業”に込めた哲学と、看板商品「薩摩しぼり」の背景を公開します。本リリースでは、単なる家業承継に留まらない「ゼロからの挑戦」と、人が人を呼ぶ“人徳の経営”、そしてこれからの取り組みをお伝えします。

三代目にして創業者。箱が消えても、人が残った

福岡県出身。大学卒業後は一般企業に勤め、1997年に家業の後藤漬物へ入社。東京赴任で販路拡大に携わり、市場の声を聞きながら漬物の新しい可能性を模索しました。
しかし、時代の変化やコロナ禍の影響、家族経営の方向性の不一致や後継体制の混乱などが重なり、後藤漬物は事業継続が困難に。会社は一度幕を閉じましたが、「会社というがなくなっても、志に人は集まる。もう一度、仲間とゼロから始められる。」を見つめ直す契機となり、2024年、新たに日本漬物株式会社を設立し再出発しました。



薩摩しぼりは30年。年間60万本の大根を使用

看板商品「薩摩しぼり」は誕生から30年。年間約60万本の大根を使い、札幌から沖縄まで全国で販売しています。主な取引先は関東の卸売市場。塩ではなく砂糖で水分を引き出す独自製法で、旨味を凝縮し歯切れのよい食感を実現しました。噛むほどにご飯が進むその味わいは、多くのファンに支持されています。



人が育ち、地域が回る仕組みへ

私が大切にするのは「人が育ち、地域が回る仕組み」。農家と作柄や規格を調整し、ロス削減と安定経営に貢献。現場では少量多品種と繁忙期対応を両立し、小回りの利く体制を整えています。直売や催事、SNSで顧客の声を吸い上げ、商品改善に即反映。さらに、未経験者でも1年で製造を習得できるOJTを導入し、人材育成にも注力しています。
伝統は守るものではなく、回すもの。地域や農家、お客様との循環の真ん中に、私たちの仕事を置きたいと考えています。「伝統を回す」考えは、日本の食文化を未来へ繋ぐと信じています。