アジア地域の菓子類市場、成長率回復で過去最高水準へ

ユーロモニターインターナショナル

公開日:2025/10/2

・市場回復の牽引役は、前年比成長率5.7%のチョコレート・ガム・砂糖菓子
・フィリピン・ベトナム、年平均4%超の成長見込み―アジア平均を上回る伸び
・世界消費者調査―衝動買い派は減少傾向、過去6年で5ポイント低下
・スーパーからEコマースへのチャネルシフトは、日本の菓子ブランドの海外展開に有利に


【東京】
英国の市場調査会社ユーロモニターインターナショナル(以下、当社)は、ウェビナー「2025年菓子類アジア市場のトレンドと展望」(2025 Asia Pacific Outlook: Snacks trends and opportunities)を実施いたしました。

アジアの菓子類市場、2025年に回復へ

過去4年間、アジア地域の菓子類市場(※)は、厳しい経済状況の中で生活必需品ではないと認識されていたこともあり、低成長が続いていました。しかし2025年には、前年比成長率が2021年以降最も高い4.2%となり、市場規模も1億6600万米ドルに達し、過去最高水準を記録する見通しです。
(※)①チョコレート・ガム・砂糖菓子、②アイスクリーム、③塩味菓子、④焼き菓子・スナックバーを含む

市場回復を牽引するのは、チョコレート・ガム・砂糖菓子のカテゴリーで、ココアや砂糖の価格上昇にもかかわらず、2025年の前年比成長率は、他のカテゴリーを上回る5.7%を記録する見込みです。ブランド同士のコラボレーションや、アジアの他の地域由来の国際色豊かなフレーバー、形状・食感の拡充など、新商品の開発・展開が市場成長を後押ししています。

当社の松永芽恵シニアコンサルタントは次のように述べています:「多種多様なフレーバーの登場からプライベートブランドのチョコレートまで、消費者の嗜好には大きな変化が見られます。ドバイチョコレートやバクラヴァフレーバーのように中東の素材を取り入れた国際色豊かなフレーバーの広がりは、この地域における新商品の需要の高さを物語っています。」

 

フィリピンやベトナムで高い成長の見込み

アジア地域全体の菓子類市場の今後5年間の年平均成長率は、実質値で1.9%が見込まれています。二大市場である中国と日本では同期間の年平均成長率が0.8%と低成長が見込まれますが、フィリピンやベトナムといった国々では、若年人口の拡大や可処分所得の上昇を理由として、4%以上の高い成長が見込まれています。

消費者は割安感重視、Eコマースがスーパーのシェアを奪う

変化する消費者の生活習慣や購買行動、それに伴う小売の動向は、企業にとってますます重要なテーマとなっています。当社の実施した世界消費者調査「ボイス・オブ・ザ・コンシューマー:ライフスタイルサーベイ」(40か国、各国約1,000名を対象)2025年版によると、アジア地域の消費者のうち「よく衝動買いをする」と答えた人は19%で、2019年の24%から5ポイント低下したことが判明しました。これは、価格に敏感で計画的に購買する消費者が増えていることを示しています。

また、小売チャネル別売上をみると、消費者は、割安感のある商品を提供する小売チャネルへと移行しており、価格面でのメリットを武器にEコマースがスーパーマーケットのシェアを奪っていることがわかります。2025年の菓子類アジア市場の小売チャネル別売上シェアでは、Eコマースのシェアが2020年と比べて2.6ポイント増加しているのに対して、スーパーマーケットのシェアは6.4ポイント減少しています。

松永は、以下のように述べています:「Eコマースの拡大に伴い、アジアの菓子類市場の購買行動が大きく変化している。ShopeeやLazadaなどの越境ECの拡大により、店舗に商品が陳列されるまでの現地流通との交渉を含む様々なプロセスをスキップし、海外消費者へ直接的かつ迅速に商品を販売できるようになった。また、頻繁な新商品の投入という日本の菓子市場の特徴は、トレンド感度の高い消費者層に強いアピール力を持つ。このチャネルシフトを戦略的に活用することで、日本の菓子ブランドは海外市場への展開を加速できるはずだ。」



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