試食がカギ?MIHASで見えた海外展示会攻略のポイント(マレーシアレポート1/4)
一般社団法人ハラル・ジャパン協会
公開日:2025/10/3
イスラム市場を狙う各国の企業が集まり、食品から化粧品、日用品に至るまで、多彩な商品が所狭しと並びます。
弊会も今年、ジャパン・ハラル・ショーケースとして会員企業とともにブースを出展しました。
現場で感じたのは、「人気が出やすい商品」と「苦戦しやすい商品」が非常に分かりやすく分かれる、ということです。
まず人気を集めやすいのは、お菓子・スナック・ゼリーなどの“即食系”の商品です。試食が可能で、見た瞬間に用途が伝わりやすいことが大きな理由です。特に海外バイヤーはブースを短時間で回るため、立ち止まって口に入れてすぐ味を理解できる商品は圧倒的に有利です。
さらに試食を配ると、自然と人が集まり、ブースが一気に賑わいます。実際に食べた方からは「買いたい!」「この商品はどこで売っているのか?」「現地で購入できるのか?」といった声を数多くいただきました。試食は単なるサンプル提供ではなく、購入意欲を具体的な質問につなげる最強の営業ツールになります。
今回、羽二重餅のような日本の伝統菓子は特に評判がよく、柔らかな食感や上品な甘さはアジア圏の消費者に強く響いていました。また、ワサビ味のスナックなど「味の個性がはっきりしている商品」も受け入れられやすい印象がありました。ブースに訪れたバイヤーからは「このフレーバーは珍しい」「SNSで話題になりそう」といった声も聞かれ、味の明確なインパクトは商談をスムーズに進める大きなきっかけになりました。
一方で、日本国内では日常的に使われる調理を前提とする食材系アイテムは、残念ながら立ち止まりが少ない傾向が見られました。理由はシンプルで、「どうやって食べるのか」「どんな料理に使えるのか」が海外の来場者には直感的に伝わらないからです。調理法を説明するパネルや試食があれば印象は変わったかもしれませんが、即食系と比べると訴求に時間がかかるため、展示会のスピード感の中では埋もれがちになります。
改めて分かったことは、MIHASのような国際展示会では「直感的に理解できること」がとても重要だということです。商品の背景や魅力を説明する前に、まず「これは何?」「どう食べるの?」が一瞬で理解できなければ、バイヤーは次のブースへと歩いていってしまいます。
また、海外の展示会では「デザイン」も軽視できません。機能や味が良くても、パッケージが地味だと注目を集めにくいのが現実です。今回の出展でも、デザイン性の高い商品ほど人が集まりやすく、商談につながる確率も高いという手応えがありました。
MIHASの現場で得られるこうした学びは、日本の中にいると気づきにくい点です。国内で「当たり前に知られている商品」ほど、海外では逆に伝わらないケースが多い。展示会に出て初めて分かる消費者の反応や、リアルなフィードバックは、今後の商品戦略を考える上で貴重な材料になります。
ハラル市場に挑戦したい日本企業にとって、展示会はまさに「試金石」です。人気が出やすい商品の傾向を理解し、事前に戦略を組み立てることが成功の第一歩になります。弊会では、MIHASをはじめとした海外展示会の出展サポートから現地でのテストマーケティングまで一貫してご相談いただけます。ぜひ一度、ハラル・ジャパン協会までお問い合わせください。
文責
ハラル・ジャパン協会
ハラルビジネスコンサルタント 田上明日菜