「和」と「モダン」が織りなす新感覚アート! 駿府博物館「Love Art Peace」展が問いかける、伝統文化の未来

公益財団法人 静岡新聞・静岡放送文化福祉事業団

公開日:2025/10/6

企画展「Love Art Peace~きらめく立体切り絵とアートGETA~」展は、美術に初めて触れる方や地域の方々にも気軽に足を運んでほしいという願いを込めました。異なるルーツを持つ2つの「和のモダンアート」が織りなす世界を体感してください。

光と影で世界を創る!立体切り絵・濱直史の世界

約13年間、独自の表現を追求してきた濱直史さんの代名詞は「立体切り絵」。元々は音楽活動をしていた彼が、30歳で表現の限界を感じ、紙での創作に移行したという経歴の持ち主です。

その作品は、紙を切ってから折り上げることで立体的な世界を生み出します。特に重要な要素は「光と影」。二重三重に重ねられた切り絵が落とす影は、平面の切り絵とは全く異なる奥行きと世界観を創り出し、見る角度によって印象が劇的に変化します。

「見たことのないものを見る驚きや感動を与えたい」と語る濱さんの作品は、緻密で繊細な仕事ぶりでありながら、観る者の想像を超えたスケールで迫ってきます。

下駄をキャンバスに!塗下駄アーティスト・鈴木千恵の挑戦

一方、鈴木千恵さんが表現の場として選んだのは、日本の伝統文化である「下駄」です。元々靴のデザインに興味があったという鈴木さんですが、日本独自の下駄の魅力に惹かれ、これをキャンバスとして活用する独自の道を開きました。

彼女の作品は、伝統的な下駄のフォルムに、現代的なデザインや立体的な要素を融合させたもの。伝統工芸品という枠を超え、ファッション性やアート性を追求するそのスタイルは、下駄を履かない世代や海外の人々にも「日本の粋」を伝えています。「自分が見たいもの、作りたいものを表現している」という彼女の作品は、ワイルドで大胆な表現が魅力。伝統的な下駄に新たな命を吹き込む、挑戦的な作品群に注目です。

異分野の化学反応!コラボ作品「共存共栄」

今回の展覧会の目玉の一つが、2人のアーティストによる共同制作作品「共存共栄」です。大胆な表現の鈴木さんがデザインした下駄に、繊細な濱さんが切り絵を施すという、まさに異分野の化学反応です。