伊集院静『美の旅人 イタリアへ』 ──スペイン、フランスに続く美を巡る旅、最終章。 未完の遺稿を収録し、三部作完結篇 ついに刊行!

株式会社小学館

公開日:2025/11/19

株式会社小学館
延べ30年に及んだ「運命の一枚」に出逢う旅




“この作品に出逢うために旅に出たのかもしれない” 
伊集院静氏はイタリア篇の執筆にあたり、こう綴りました。「運命の一枚」に出逢うために、スペイン、フランスと30年以上にわたり、旅を続けた「美の旅人」シリーズ三部作の完結篇です。

天才レオナルド・ダ・ヴィンチを生んだイタリア・ルネサンスとはいったい何だったのか。その本質を紐解きながらレオナルド・ダ・ヴィンチを中心に、ミケランジェロ、ラファエッロ、ボッティチェリ、カラヴァッジオ、ジオットが生んだイタリア芸術の名作を巡ります。

本書の執筆にとりかかるも病魔に襲われ、未完となってしまった遺稿を収録した最終章です。生誕の地であるヴィンチ村から、フィレンツェ、ミラノ、ローマ、ボローニャ、そして最期の地、フランス・アンボワーズまで、ダ・ヴィンチの生涯を辿った渾身の絵画紀行。取材のため三度訪れたイタリアでの著者の写真も多数収録したオールカラー保存版です。




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美の旅人 イタリアへ
 伊集院静
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定価:9,680円(税込)
発売日:2025年11月19日
判型:菊判
頁数:352頁
ISBN:978-4-09-379896-9
発行:小学館
https://www.shogakukan.co.jp/books/09379896




二十人余りの鑑賞者が、一瞬、息を止め、静止するのを感じた。私も同じだった。足を止め、目の前の壁画に目を見張った。皆立ちつくしていた。(ダ・ヴィンチ『最後の晩餐』)
 
未完はメディチへの画家の反逆だったのかもしれない。(ダ・ヴィンチ『東方三博士の礼拝』)
 
画家が未熟であるのに、ワインで言えば驚くほど熟成している印象があるのだ。(ラファエッロ『美しき女庭師の聖母』)

マリアの顔は実に美しく、「東洋美」を持ち合わせている。(ミケランジェロ『ヴァチカンのピエタ』)

私はミケランジェロという作家が実は生まれついて持っていた、“哀しみのかたち〞が見えるような気がするのだ。(ミケランジェロ『ロンダニーニのピエタ』) 

ミケランジェロが神聖なるものの存在を大前提にしているが、ダ・ヴィンチは神の存在についてすら解明できると信じているふしがある。(ミケランジェロ『トンド・ドーニ』/ダ・ヴィンチ『岩窟の聖母』) 


『モナ・リザ』が未完であるのなら、彼の作品のすべてが未完ではないのか。あの “まなざし” と “微笑” はたしかに鑑賞者になにごとかを与えている。(ダ・ヴィンチ『モナ・リザ』)



写真/太田真三


写真/太田真三


【著者紹介】
伊集院静(いじゅういん しずか)
1950年山口県防府市生まれ。1981年「皐月」で作家デビュー。1991年『乳房』で吉川英治文学新人賞受賞。1992年『受け月』で直木三十五賞受賞。1994年『機関車先生』で柴田錬三郎賞受賞。2002年『ごろごろ』で吉川英治文学賞受賞。2014年『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』で司馬遼太郎賞受賞。2016年紫綬褒章受章。2021年野間出版文化賞受賞。2023年11月24日逝去。2005年スペイン絵画読本『美の旅人』、2007年『美の旅人 フランスへ』を上梓。本書は『美の旅人』シリーズ三部作の未完の完結篇。


伊集院静、イタリア取材映像を公開。
https://youtu.be/l3X0aNDt9H8