6万部突破で話題のベストセラー『会話の0.2秒を言語学する』の印税100万円を、著者の水野太貴さんが寄付しました!!

株式会社新潮社

公開日:2025/12/17

株式会社新潮社
会話で相手に返事をす るまで0.2秒。その間に起きている奇跡を伝える大興奮の一冊。YouTube登録者数44万人超の「ゆる言語学ラジオ」スピーカーでもある著者が、重版の印税100万円を、「言語学の未来を担う学徒の一助としてほしい」と印税分100万円を寄付する先について募集しました。100件近い応募の中から、言語学専攻の大学院生に、この度贈呈いたしました。その模様をご紹介します!



12月14日(日)、「ゆる言語学ラジオ」の収録を普段行っている、池袋の「ゆる学徒カフェ」にて贈呈式が行われました。
当選された大塚日花里(おおつか・ひかり)さんは、現在、宇都宮大学の大学院に在学中。指導教員の木村崇是先生もご同席くださる中、「¥1000000」と書かれた金の延べ棒パネルを、お花と合わせて著者の水野太貴さんより贈呈いたしました。
※実際の100万円は、振り込みにてお渡しする予定です。

(C)新潮社

贈呈に際して、『会話の0.2秒を言語学する』が読まれている理由、寄付を考えた背景や今後について著者の水野さんにお話を伺いました。

【著者・水野太貴さんコメント】

『会話の0.2秒を言語学する』は、現在、電子を合わせて累計発行部数が6万部を突破しました。本書の終章では、現代日本のコミュニケーションの相対化を試みています。具体的には、応答の速さ、流暢さが重視される風潮を批判しているのですが、刊行後、特に速さや流暢さに適応できていない当事者の方から「よくぞ言ってくれた」という声をいただきます。これはひとえに、まだまだ現代の会話はマイノリティに対して厳しい構造になっていることを示していると思います。
「言語化」が過剰に持ち上げられる今こそ、ぜひ読んでいただきたい本です。

寄付をすることにしたのは、大学の言語学の研究者の方たちに、言語学を学ぶ人を増やすためにはどうしたらいいかと質問をしたら、「現代は、実家が太くないと学問ができない時代ですよ」と生々しいお返事があったことからです。大学院生の時は特にお金がなく、博士課程にいるのは実家が裕福か、実家暮らしの人しかいないというのです。自分がこうして学べてきたのは、自分の能力だけではないことはわかっているので、何か還元したいと思っていました。とは言っても、薄く広く還元しても意味がないので、一人の人に手厚く、100万円を差し上げて自由に使ってもらいたいと考えました。
「100万円」という金額にはあまり確たる理由はなく、正直この本はめっちゃスベる可能性もあると思っていたので、「スベって初版から重版しなくても赤字にならなくて(今思うと税金含めたら赤字リスクもありましたが)、かつキリのいい額」というので100万円としました。

応募理由など100人分くらいを丁寧に読ませていただいたのですが、その中でも一枠しか選べないということなので、最後は私の直感で選びました。その直感を細かく分けると、
・境遇面
・言語学に対する熱意
・研究者としてのポテンシャル
を勘案した、という形になります。

・ご家庭がアカデミズムに対する強い理解があるわけではなく、大学での学究にお金をガンガン出してくれるわけではない
・コロナ禍によって、進学したい大学に行けず、地元の大学に進学することになった。ところが言語学への熱が冷めやらず、大学図書館に通って、限られた言語学系の図書を読み漁った
・発足したての木村ゼミで「国際学会への参加および発表」いう目標を立て、それを叶えている
・周囲の研究者からも、その実力や熱意、ポテンシャルが高く評価されている(これは当選後に知ったことですが)
という事情を知って、「俺はこういう人を支援するために金を儲けているんだ!!」と強く感じた、というのが一番の理由です。応募を一人ずつ見て行って、支援したい人はいっぱいいましたが、枠が一つということもあり、一番を決めるのは全然迷いませんでした。



以下の記事と動画で詳述しています。
▶記事:https://note.com/yurugengo/n/nce0b122a7de5