メンタルは強弱じゃなくて柔らかさが大事? 『迷ったら、自分を好きでいられるほうを選べばいい』に癒される!

暮らし

公開日:2022/7/13

迷ったら、自分を好きでいられるほうを選べばいい
迷ったら、自分を好きでいられるほうを選べばいい』(馬場啓介/あさ出版)

 「どんな学校に行ったらその後の人生うまくいくんだろう」「どんな会社に入れば充実した毎日が送れるんだろう」「誰といたら幸せになれるんだろう」…誰しも、このような迷いを感じたことがあるのではないだろうか。

 毎日もやもやした気持ちを抱えつつも、自分と向き合うことを避け、その場その場で不安に対処することしかできずに、これまで生きてきてしまった。そんな状態にある全ての人に寄りそってくれるのが、この本『迷ったら、自分を好きでいられるほうを選べばいい』(馬場啓介/あさ出版)だ。

 著者は、経済産業省や大手企業の人材育成担当を務める傍ら、コーチングスクールを運営するキャリアコーチの馬場啓介氏。

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 一貫して伝えているのは、「自分と向き合うポイント」。今まで、自分と向き合うことをないがしろにしてきた人は、自分と向き合う方法がわからなかったのではなかろうか。もしくは、そもそも「自分と向き合う」ことを思いつかなかったのかもしれない。

 馬場氏は、冒頭で「『自分の正解』で生きていくことを選択し、本格的に『自分と向き合う』ことを始めようとする方のために書かせていただきました。」と、本書の目指すところを説明している。さらに、「自分との対話が楽しくなると、無駄に自分を責めたり、嫌ったりする時間も減り、自分と仲良く、ご機嫌でいられる時間が増えます。」と自分と向き合うことのメリットを強調する。

 本書に書かれているのは、迷ったとき、困ったとき、あなたの背中を押してくれる50のメッセージだ。ひとつひとつのメッセージは、わたしたちが普段目を背けがちな、自分と向き合う上で出てくる「問い」について、著者が一問一答形式で答えていく構成になっている。

 悩みを抱えた状態で、ひとりでどうしたらいいものか迷っていると、出口が見えず途方に暮れ、気が重くなってしまう。そんなとき、今自分が抱えている悩みと関係しそうなメッセージを読んでみるのが、おすすめの使い方だ。

 例えば、仕事で成果を出して他の人より突き抜けるために、「人より頑張らないと」「人と違うことをしないと」、と焦りを感じている人は多くいることだろう。こういった悩みに対して、馬場氏は以下のメッセージをおくっている。

「人と違うことをしなきゃ……」

「みんなと同じことをしても、きみと他とは違うよ」
(中略)
「みんなが右に行くなら、左に行く」で、個性やオリジナリティが生まれ、希少価値になるわけではなく、気づけた「小さな違い」を大切に育てていくうちに、だんだん希少価値になっていくことも知っておくと良いでしょう。

 このメッセージを読んで、わたしの心はすっと軽くなった。今まで、自分の周りで活躍している人を見ていると、誰もやっていないことにチャレンジしている姿や、その人の表面的な個性ばかりに目がいって、「成果を出すには、人より努力して、自分の希少価値を高めないと!」と思い込み、いらぬ焦りを募らせてしまっていたことに気づけたからだ。

 自分と向き合うことを通して、思い込みに気づくことは、ご機嫌でいるために必要なのだなと「自分と向き合う大切さ」を痛感した。ほかにも、自分の思い込みに気づかせてくれたメッセージがある。

「もっと心が強ければ……」
「強弱ではなく、柔らかくすればいいんだよ」
(中略)
そもそも心は折れるような硬い棒でもなければ、痛みを感じる個体でもない。
心は変幻自在の柔らかいもの。
心が痛まないようにする秘訣は、できるだけ柔らかくしておくことです。

 つらいことがあって心が折れそうなとき、もっと心が強ければ耐えられるのに…と思ったことがある人は多いはず。だが実際は、心に強いも弱いもないし、心は折れるような硬い棒ではなく、変幻自在の柔らかいものだったのだ。これがわかっているだけで、心が痛んだとき、「自分のメンタルが弱いからいけないんだ!」と自分を責めてしまうことはなくなるだろう。

 このように自分を責めずに「自分と仲良く」ご機嫌でいられるヒントが散りばめられている。「自分の機嫌は自分でとろう」というよく耳にするフレーズがあるが、そのために具体的にどうしたらいいのかまでは教わったり、学んだりする機会は少ないのではないだろうか。本書をこれからの人生の味方にして、ご機嫌な毎日を過ごしていきたいものだ。

文=あんず

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