「伝わる英語力」が身につく!メールやプレゼンでも要注意な“日本人が陥りやすい”英語の落とし穴”とは?

ビジネス

公開日:2022/12/26

ビジネスで使える! ハーバード流 世界標準の英語表現
ビジネスで使える! ハーバード流 世界標準の英語表現』(左門新/すばる舎)

 自分の英語はうまく伝わっているはずと思っていても、伝わらないどころか誤解されてしまった経験はないだろうか。「文法や構文はばっちりのはずなのに一体どうして?」と疑念を抱いたことがある方にチェックしてほしいのが『ビジネスで使える! ハーバード流 世界標準の英語表現』(左門新/すばる舎)だ。

 著者の左門新氏はハーバード大学に留学し、医師・研究者として世界中の人々と英語で交流したり、WHOなどの国際機関で活動したりする中で日本人が陥りやすい、英語に関する3つの落とし穴を発見したという。本書では日本人特有の落とし穴を徹底解説し、ネイティブに伝わる英語を具体的に紹介している。

日本語発想の英語が誤解されやすいワケとは?

 日本人の英語が上手く伝わらなかったり、誤解されたりするのは、日本語発想で英文を考えていることに原因があると著者は指摘する。日本語には日本語の発想があるように、英語にも英語の発想があるため、日本語を直訳しても通じる英語にならず、むしろ誤解されてしまうのだそう。

advertisement

 例えば、入試でよく出題される「私の言うことを理解してもらえなかった」という日本文を英訳する問題。正解は、「I could not make myself understood.」。こういった設問ではこの言い方を知っているかどうかを問うているのだが、文字どおり英訳しようとすると「I could not make him [her] understand what I said.」となる。このように英訳すると、ネイティブ・スピーカーに変な言い方だと思われてしまうのだそう。日本人がネイティブな英語を話すには、まず頭を英語思考に変えなければならないのだ。

 また、英文のネイティブ感は「トピック文」を知っているかによっても変わってくるという。トピック文とは、段落で提示する1つのアイデアをまとめて表す段落の最初に置く一文。下記の文でいえば、「Man and woman differ.」がトピック文だ。

例:Man and woman differ. Man is muscular, but woman is less muscular. Man is hairy, but woman is less hairy.
(男性と女性は異なっている。男性は筋肉が多いが、女性はそんなに筋肉質ではない。男性は体毛が濃く、女性はずっと薄い。)

 日本では作文の授業以外で日本語の書き方を教わることはないが、英語の書き方には学問体系があり、どの本や英語講座でも同じ基本が述べられている。欧米のほとんどの大学では英文の書き方の授業は必須科目で、英文を読み書きする時は基本に従うのだそう。

 英文を書く際、重要になるトピック文だが、トピック文の欠如も、日本人が陥りやすい落とし穴であるそう。段落の構成に関して日本語思考を捨てることが大切なのだ。

日本人だからこそ陥りやすい「冠詞の誤用」

 通じる英語力を身に着けるには、冠詞を気にかけることも重要だと著者は言う。なぜなら、日本語には冠詞がないためか、多くの日本人は不用意に冠詞を使う傾向があるという。

 例えば、「昨日大きなリンゴを1個買い、今日その大きなリンゴを1個食べた」という文を、「Yesterday I bought a large apple, and today I ate a large apple.」と英訳する人は少なくないが、これを英語脳で日本語に訳すと、驚き。「昨日大きなリンゴを1個買い、今日別の大きなリンゴを1個食べた」というように、別のリンゴを食べたことになってしまう。

 この英訳の場合、正解は「Yesterday I bought a large apple, and today I ate the large apple.」。買ったものと同じリンゴを食べたため、初出の名詞につく不定冠詞の「a」や「an」ではなく、定冠詞の「the」を用いるのがポイントなのだ。

「the」は単数、複数、抽象名詞でも使える定冠詞であるため、使用頻度が高くなりやすいが、使い方に注意。実は既出とは限らず見たり聞いたりして双方が理解していることに対して付くという基本ルールがあるそう。

 そのため、著者は、書き手と読み手、話し手と聞き手の間に、「あれね!」という共通の認識があれば定冠詞、なければ不定冠詞にしようと、アドバイスしている。また、無冠詞は「目的」や「状態」を表すことがあるため、冠詞の付け忘れにも注意したい。

I go to school every day.
(毎日勉強をしに学校に行く)
→無冠詞で「目的」を表す

I go to the school every day.
(毎日(子どもを)学校に迎えに行く)
→定冠詞なので、「毎日(子どもを)迎えに特定の学校に行く」という意味になる。

I go to a school every day.
(毎日(仕事などで)あちこちの学校に行く)
→不定冠詞の「a」なので、仕事などであちこち不特定の学校に行くというような意味になる。

 冠詞が変わるだけで驚くほど意味が変わってしまうのだ。日本人だからこそ陥りやすい冠詞の罠を知っておくだけでも、英語力は飛躍的にアップするだろう。

【英語力アップ】「人」や「形のある物」を主語や目的語にしない

 著者は、学校で習った英文法から離れたネイティブな英語表現にも多く触れている。中でも驚いたのが「人」や「形のある物」を主語や目的語にしないというテクニックだ。

 日本人は英語の主語を人や形のある物にしやすいが、現象、概念、抽象名詞などに変えると、単純な語順の文型でも、より英語らしくなるのだとか。

例:「人→事」にした場合
I was impressed deeply by his speech. → His speech deeply impressed me.
(私は彼の演説に深く感動した)

「物 → 現象」にした場合
Windows were smashed by angry people.→ Anger in people induced smashing of windows.
(怒った民衆によって窓が割られた)

 本書には他にも、There is (are)の書き換え法や接続詞の使い方、現在分詞の活用法など、目からウロコな英語テクニックが満載。学校で習った知識にとらわれず、楽しみながら英語力を磨いていこう。

文=古川諭香

あわせて読みたい