給湯マークの火を吹き消そうとする息子がかわいすぎ! 日常の中のやさしさに気づくハートフルコミックエッセイ

マンガ

公開日:2024/5/5

いつかのやさしさに、今日も救われてます るしこの子育て日記3

 大人になるとできることも増えるけどしんどいことも増えていく。そんな時ふと心をあたためてくれるマンガをあなたは心のどこかで求めていないだろうか。

いつかのやさしさに、今日も救われてます るしこの子育て日記3』(KADOKAWA)は、るしこさんの子育て日記シリーズの3作目。かわいいジュニアくんに、本作では猫のテオくんが家族に加わり、さらにかわいさ増し増し。子どもの無邪気な仕草や猫ちゃん特有の振る舞いに癒されてしまうのは間違いない。

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 たとえば、「おいで」というエピソードではジュニアくんがブロックで遊んでいたのですがうまくいかずに不機嫌モード。るしこさんがなぐさめるためにおいでと言うと、駆け寄ってきたのは猫のテオくん! 呼んだのはキミじゃないけど、膝に乗るテオくんがかわいすぎる!

いつかのやさしさに、今日も救われてます るしこの子育て日記3

 こんな感じでジュニアくんとテオくんのあまりのかわいさについつい語りたくなってしまうのだが、このマンガのもうひとつの良さも語らせてほしい。それは「やさしさに気づく」ということ。

 タイトルにも含まれている「いつかのやさしさに、今日も救われてます」。著者のるしこさんが子育ての日々を送る中で出会った人々のやさしさが描かれている。るしこさんがジュニアくんを抱っこして電車に乗っていると席を譲ってくれる学生さん。ここまでならありそうなんですが、このあとが面白いところ。すると周りの学生さんたちもこっちの席の方がいいと譲ってくれて、みんな我も我もと席を立ってしまう。ありがたいけどちょっと申し訳ないような恥ずかしいような、でも幸せな気分になりそうな瞬間だ。

いつかのやさしさに、今日も救われてます るしこの子育て日記3

 こんな風にこのマンガにはやさしさが描かれていてそれを感じることができる。私たち読者は、るしこさんの子育ての日々をマンガで楽しむ。そしてやさしさに出会っていく。それは著者の視点を通して「やさしさに気づく」ということなのだ。

 大人になった僕らの生活はできることも増えますが大変なことも増えていく。子育てしている方はもちろんそうではない方も。ひとそれぞれの大変さがあってそれでも頑張らなきゃいけない時がある。つらいこと、しんどいことばかりが目に入る日々はしんどくて、精一杯になりがちだろう。

 でも、本当はそんな日々にも、まだ気づいていない「やさしい瞬間」はきっとあるはずなのだ。あなたを支えてくれていたささやかな「それ」の在処を。このマンガを読むことで気づくことができるに違いない。

 やさしさに気づくというのは実は大変なことだ。ポジティブでなければポジティブの灯火には気づかないように、心が元気じゃないと中々気づきにくいことはきっと少なくない。だから作品を通じて、何気ない日常の中には至る所にやさしさの種があるんだってことを知れることは、とても幸せなことだろう。それに、気づくとなんだか心が軽くなる。なんだ人生そこまで悪くないなと。

 やさしさに気づけることはやさしくないとできないことだと私は思う。この『いつかのやさしさに、今日も救われてます るしこの子育て日記3』でやさしさに気づけたなら、あなたもきっとやさしい人なのだ。

 最後にちょっとジュニアくんかわいすぎエピソードを。るしこさんとお風呂に入ったジュニアくん。するとお風呂をあたためるために自動で点灯する火のマーク。それを見たジュニアくんはふーっして火のマークを消そうとしちゃう! 子どもならではのエピソードがかわいすぎて癒された。

いつかのやさしさに、今日も救われてます るしこの子育て日記3

 癒されながら作中のやさしさに気づく。あなたの周りのやさしさに気づき、あなた自身のやさしさに出会う。そんな素敵な作品でした。

文=ネゴト/ カリス魔王TK

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