「USBケーブルを舐めたい」0歳児。怒る姿もかわいい! 子どもとのかけがえのない時間を描いた癒やされ必至の子育てエッセイ

マンガ

公開日:2024/6/18

理想の父にはなれないけれど

 かわいらしい子どもの言動を見ると、ほっこり温かい気持ちになれることが魅力の育児エッセイ。子どもたちとの日々を丁寧に描いた、じゃんぽ~る西さんの育児エッセイ『理想の父にはなれないけれど』(KADOKAWA)も、子育ての大変さに共感でき、子どもの可愛さに癒される作品だ。


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 自分は一般的に日本で思われている“理想の父親”ではないと思いながらも、愛情いっぱいに子育てするじゃんぽ~る西さん。フランス人ジャーナリストの妻との間に2人の男の子を授かり、日々育児に奮闘している。本作は、そんなじゃんぽ~る西さんが子育てを通して感じたことや子どもたちのかけがえのない時間をオールカラーで丁寧に描いている。

 独身時代は、働きながらの子育てを見て大変そうだと思っていたじゃんぽ~る西さん。しかし、自分も父になったことで、その過密スケジュールを実際にこなすことに。夕方から夜にかけては奥さんとの見事な連携プレーで、お互いが子どもの対応をしている間にできることを済ませていく。子育て中の人にとっては当たり前のスケジュールなのだろうが、当事者以外からするととても大変そうに感じるだろう。

理想の父にはなれないけれど

理想の父にはなれないけれど

 特に0歳児の育児は大変だ。明日も仕事なのに、夜泣きで全然親を寝かせてくれない。どんなにかわいい赤ちゃんでも、親はボロボロになってしまう。しかし、じゃんぽ~る西さんは、そんな0歳児のケアが楽しいというのだ。

 感触を確かめるためにUSBケーブルを口に入れようとしたのにそれを止められたことで、ブルブル震えて怒る次男(0歳児)。そんな次男をかわいいと思って笑顔になっている姿を見ると、こちらまでほっこりさせられる。大変な育児の中にもこうした小さな喜びや楽しみを見つけて向き合う姿勢は、思わず見習いたくなる。

理想の父にはなれないけれど

 じゃんぽ~る西さんだけでなく、奥さんの育児にも見習いたいと感じることがある。それは、子どもがあまりにも酷いいたずらをしたときの対応だ。ティッシュを全部出してまき散らす、目を離した隙にキッチンを油まみれにするなど、子どもの悪質ないたずらは枚挙にいとまがない。実際に被害に遭うと、心から絶望してしまうだろう。

 しかし、そんな時、じゃんぽ~る西さんの奥さんは爆笑するというのだ。もちろん最初は叱るのだが、それがあまりにも酷いと笑いだしてしまうという。確かに、子どものしつけで家の中が険悪な雰囲気になるより、その酷さを笑い飛ばしてしまった方がよほど心に良い気がする。みんなで笑った後、一緒に片付けをすればそれも思い出のひとつになるのではないだろうか。

理想の父にはなれないけれど

 じゃんぽ~る西家の子どもの成長を見守れることも、本作の魅力のひとつといえる。序盤はあんなに小さかった次男もいつの間にか二足歩行が当たり前になり、酷い偏食がはじまっていく。どんなに丹精込めて料理を作っても、ひと口も食べない次男。一番酷いときは、チョコスナック菓子以外は何も食べなかったという。

 そんな次男のために、小学生になった長男は卵料理を作る。すると、バターと卵を炒めた長男作のスクランブルエッグ(?)を次男は完食したのだ。弟のために料理をしようと思える優しいお兄ちゃんに成長した長男の姿に、思わず心が温かくなるだろう。あまりにもかわいらしい姿を見られるだけでなく、こうしたきょうだいの成長を感じてほっこりできるのはとても楽しい体験だ。

理想の父にはなれないけれど

理想の父にはなれないけれど

 じゃんぽ~る西さんが息子たちに手を焼きつつも、今だけの時間を大切にしてきたことが各ページの端々から伝わる作品だ。まるで親戚のような気持ちで子どもたちの成長を見守れるので、かわいらしい子どもたちの姿に癒やされながらほっこりしてもらいたい。

文=ネゴト/ 押入れの人

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