煌びやかで華やかな世界の裏側で、もがき苦しむ遊女たち。どんな地獄でも負けない。自分らしく生き抜いてやる『仇討ち遊郭』

マンガ

PR 公開日:2024/12/1

仇討ち遊郭"
仇討ち遊郭』(和田依子/DPNブックス)

 女性の華やかさと壮絶さが同居する場所・遊郭。その世界観で大勢の人々を惹きつける。遊郭を舞台とした作品はこれまで数多存在するが、『仇討ち遊郭』(和田依子/DPNブックス)は廓で気高く生きる遊女の生き様と、謎の深まるミステリー要素も一緒に楽しめる作品となっている。

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 物語の主人公・牡丹は、三巴屋という見世で働く女郎だ。彼女がまだ少女・美代だった頃、十四歳の時に売られた。すでに遊女としてはかなり遅咲きだったが、そんな美代を引き取ってくれたのが後の姉さん・散り菊だった。

 彼女に大きな恩を感じた牡丹は、散り菊が身請けで廓を去った後も、彼女のように気高く遊女としての矜持を保つ。

仇討ち遊郭

仇討ち遊郭

 いつか自分も身請けされることを夢見て日々頑張っていたが、過去に将来を誓い合った幼馴染・蒼太郎と再会し、彼女の運命は少しずつ変わっていく。だが時を同じくして散り菊が身請け先で亡くなったことを知り、牡丹は絶望する。

 しかしひょんなことから、散り菊が元遊女であった実母と同じ死に方だったと知り、ふたりは同一人物に殺されたのでは、と推測。大事な人をふたりも奪われた牡丹。そこから彼女の“仇討ち”が始まる。

 作品の魅力のひとつは、やはり遊郭の華やかな世界観。それと対比するように描かれている、遊女という生き方を背負わされた女性たちの過酷な運命だろう。

 そして、物語の舞台が遊郭である以上、避けて通れないのはやはり男と女の色恋模様だ。大胆な振る舞いの女郎・牡丹を気に入り、なんだかんだと彼女のもとに足繁く通う京の役人・金原。普段は勝気だがふとした時に弱みを見せる牡丹に彼はどんどん惚れてしまう一方で、牡丹は数奇な縁で再会した幼馴染・蒼太郎のことを振り切れないでいる。

仇討ち遊郭

 一方で蒼太郎もまた、幼馴染だった美代を救えなかったことを悔い、成人してなお美代を思い続けていた。彼が純粋に牡丹への想いを寄せ続ける一方、ふたりの仲を邪魔しようとした牡丹のライバル・胡蝶が、徐々に真摯でまっすぐな蒼太郎へと惹かれていってしまう。幾重にも交差する、男と女の一方通行な想い。その行く末がどうなるかも、本作の続きが気になる理由のひとつだろう。

仇討ち遊郭

仇討ち遊郭

 そしてもうひとつの見どころは、やはり牡丹の“仇討ち”の結末だ。彼女が遊郭へ身を落とす直接的な原因となった、元遊女の実母の死。自らを拾い育て上げてくれた彼女の心の拠り所、姉さん女郎の散り菊の死。ふたりとも苦界と言われた遊郭から身請けされ、愛する人のもとで幸せになったはずだった。その先の凄惨な結末に、牡丹が仇討ちを志すのも無理はない。

 物語を追うにつれて、徐々に怪しく、きな臭くなってくる牡丹の周囲の人々。彼女が属する見世・三巴屋を極端に嫌う蒼太郎の父。同時にどうやら、牡丹自身の身にも危険が迫っているらしく…?

 三巴屋には一体、どんな秘密が隠されているのか。はたして牡丹は無事仇討ちを遂げ、自身も幸せになることができるのか。物語は全11巻で完結。ぜひそのストーリーを、ラストまで見届けてほしい。

文=ネゴト / 曽我美なつめ

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