10代に両親が離婚、“本当の自分になれる”と信じ、世界最年少で「七大陸最高峰」を達成した女子大生の行動力

ライフスタイル

2017/9/13

『自分を超え続ける』(南谷真鈴/ダイヤモンド社)

 「探検家グランドスラム(エクスプローラーズ・グランドスラム)」という言葉をご存じだろうか。テニスやゴルフのグランドスラムには馴染みがある人も多いだろうが、探検家のグランドスラムとは世界七大陸の最高峰に登頂し、さらに北極点と南極点にも到達するという、壮大なスケールのグランドスラムだ。

 七大陸最高峰とは…

1. アコンカグア(南米大陸最高峰・アルゼンチン)
2. キリマンジャロ(アフリカ大陸最高峰・タンザニア)
3. ビンソン・マシフ(南極大陸最高峰)
4. カルステンツ・ピラミッド(オセアニア最高峰・インドネシア)
5. エルブルース(ヨーロッパ大陸最高峰・ロシア)
6. エベレスト(アジア大陸最高峰・ネパール)
7. デナリ(北米大陸最高峰・アメリカ)

 これら七大陸の最高峰登頂だけでもすごいことだが、これに加えて、さらに北極と南極、2つの極点に到達して初めて「探検家グランドスラム」達成となる。

 2015年1月、アコンカグアへの登頂を皮切りに、2017年4月の北極点到達までのわずか2年あまりで「探検家グランドスラム」達成の世界最年少記録を樹立したのが、『自分を超え続ける 熱意と行動力があれば、叶わない夢はない』(南谷真鈴/ダイヤモンド社)の著者、南谷真鈴さん。現在20歳の大学生だ。本書冒頭、19歳の誕生日にケーキを前に満面の笑みを浮かべた写真がある。登山家というよりは、女子大生が旅行先のカフェでお茶している、という風情だが、実はそこは南極大陸最高峰を目指す前のベースキャンプなのだ。

 世界七大陸最高峰は、先に挙げたエルブルースではなく西ヨーロッパ最高峰のモンブランを、カルステンツ・ピラミッドではなく、オーストラリア大陸最高峰のコジウスコを最高峰とする場合もあるそうだ。しかし、南谷さんはこの2つの山も上記の山への登頂の間にキッチリ制覇しているから、誰にも文句はつけられない。世界七大陸最高峰どころか9つの最高峰登頂に成功しているのだ。

 南谷さんがこの偉業を成し遂げた根本にあるのは、彼女にとって山こそが“自分としっかりと向き合える最良のツール”であったこと。香港で過ごした10代半ばに両親が離婚するという、子どもにとっては非常にショッキングな出来事を経験したことも、少なからず影響を与えたようだ。

いつか絶対にエベレストに登ろう。
この山に登ったら、本当の自分が誰なのかがわかるし、本当の自分になれるかもしれない。

 世界最高峰の山頂へと登りながら、南極点を目指して黙々と進みながら、南谷さんは自分との対話を続けていった。いくつもの身体的・精神的危機を乗り越え、世界で一番高い山エベレストの頂上に立ったその時、彼女はどういう心境になったのか…。

 人生を山登りに譬えるは、あまりにも手垢のつきすぎた比喩だが、本書を読むとやはり共通点は多いと思わざるを得ない。登山を知らない筆者にも、心に響く言葉がいくつもあった。南谷さんと同世代の若い読者だけではなく、人生経験を積んできた大人の読者にも、手にとってもらいたい本だ。

文=森野 薫