つらい生理痛、セックスの満足度…女性の人生と「骨盤」の大事な関係

ライフスタイル

2017/9/29

『女と骨盤』(片山洋次郎/文藝春秋)

 「骨盤」と聞いて思い浮かぶのは、「骨盤が縮むと痩せる“らしい”」とか「骨盤のゆがみが不調の原因“らしい”」とか、ダイエットや健康に大きく関係している“らしい”ということ。よくよく考えてみると、けっこうな頻度で話題にしているわりに、骨盤そのものの構造や仕組みについて、知らないことの方が多いのである。

 そんな知っているようで知らない「骨盤とは何たるか」を教えてくれるのが『女と骨盤』(片山洋次郎/文藝春秋)である。本書は、整体の現場の第一線で40年近く活躍している片山洋次郎氏が著したもの。とくに骨盤の動きに着目し、深い呼吸を引き出すアプローチが高い評価を受けている。骨盤の働きや身体に与える影響をわかりやすく示した前作『骨盤にきく』がベストセラーとなったことも記憶に新しい。

 著者いわく骨盤は「まるで顔の表情のように日々刻々とバランスを変える」もので、「体調と骨盤の動きは一体」となっているという。また、男性より女性の方が骨盤の動きによる影響を受けやすいのだとか。たしかに、毎月の生理や妊娠・出産など、女性には骨盤にまつわるライフイベントが目白押しだ。そして本書こそ、骨盤の動きと女の人生の関係についてつまびらかにしてくれる一冊なのである。

■骨盤の「いい」「悪い」は何で決まる?

 まず目から鱗が落ちたのが、骨盤の動きは「縮んでいるのがいい」とか「ゆがみがあると悪い」というような「いい」「悪い」では判断できないということ。骨盤は常に動いているのが当たり前なので、ゆがんでいる状態がけっして悪いというわけではない。心身の状態によって、興奮したり緊張したりしていれば縮むし、リラックスしているときにはゆるむ。逆に骨盤の動きが心身のバランスにも影響する。つまり骨盤の状態は「身体が向かいたい方向を読むヒント」なのだ。

 一方で、骨盤の「いい動き」「悪い動き」というのはたしかに存在する。骨盤は扇のような形をしていて、上部と底部、右側と左側がどのように動くかによって、体調に変化が訪れるのだ。たとえば生理のとき。一般的に予定日の3、4日前から骨盤の右側がゆるみ出し、生理が始まると同時に左側もゆるんでいく。この動きがスムーズに行われれば、生理痛に苦しむことはないのだという。

■つらい生理痛、どうしたらいい?

<p.78、79 生理時の骨盤の動き>

 実はPMS(月経前症候群)も、骨盤の動きと大きく関わっている。生理が終わってから排卵日まで、骨盤全体はきゅっと縮んだ状態になるが、排卵後に底部が少しだけゆるむ。このゆるみがうまくいかなかったり、左右で大きく差が出てしまったりすると、さまざまな不調が出やすくなってしまうのだ。

 生理のときの骨盤の動きをなめらかにして、PMSや生理痛のつらさをやわらげるには、骨盤がゆるむときに、心も身体も思い切りリラックスさせることが大切だという。たとえば生理痛は、一番重く感じる1、2日目ではなく、骨盤がゆるんで少し楽になる3、4日目に休息をとった方がいいのだとか。骨盤がゆるむタイミングは、心身ともにゆるんだ状態に向かおうとしているとき。そういうときに、しっかりゆるみきることが、身体のいいサイクルにつながってくるのだ。

■セックスの満足度が変わる?

 また、セックスの快感にも骨盤の動きは大きく関係している。まず性的な興奮を感じたとき、はじめに骨盤底部がきゅっと縮む。ただずっと縮みっぱなしでは快感を得ることはできない。一度きゅっと縮んだ骨盤底部が少しゆるみ、同時に骨盤上部が縮んでいくことで、集中力が研ぎ澄まされる。この動きがスムーズに行われ、集中の波が頂点に達したとき、オーガズムを感じることができるのだ。そして、オーガズムが過ぎたあと、骨盤全体がゆるんで脱力すると、さらに深い快感や満足感につながる。つまり、骨盤がいかになめらかに動くかが、セックスで快感を得るためのカギと言える。

 生理痛やPMSの緩和、そしてセックスの満足感向上と、人生の豊かさに大きく関わってくる骨盤の動き。いかになめらかでスムーズな動きを実現するかが重要だが、そのためには骨盤の「弾力」をチェックし、十分にゆるめておくことが効果的だ。。本書には、骨盤の疲れをとり弾力を回復させるためのメソッドが多数掲載されているので、ぜひ手にとって参考にしてほしい。

<p.56 骨盤(ゆるむ⇔ちぢむ)の弾力チェック法+弾力回復(疲れとり)メソッド>

 骨盤は女の人生を豊かにしてくれる一生のパートナー。本書ではほかにも、妊娠・出産時や更年期、さらにその先の閉経後まで、移り変わっていく女の人生と骨盤の関係をわかりやすく解説してくれている。すべての世代の女性にとって、心強い一冊となるはずだ。

文=近藤世菜